3日時点で「おわび」はあった
とはいえ、報道によって状況が変わることはよくあること。朝日の報道をきっかけに閣議決定をした方がよいという意見が官邸内で強まり、安倍も考え方を徐々に変えていったのは事実だ。この点では朝日に全面的に非があるわけではない。
しかし、9日付朝刊1面の「安倍談話『おわび』盛らず 首相原案、公明『侵略』明示要求」は「誤報」だ。
《安倍晋三首相が14日に閣議決定する戦後70年の談話(安倍談話)をめぐり、首相が7日夜に自民、公明両党幹部に示した原案には、戦後50年の村山談話や戦後60年の小泉談話に盛り込まれたアジア諸国への「おわび」の文言が入っていないことが分かった。公明は、おわびの気持ちを伝えるとともに、「侵略」という文言も明確に位置づけるよう注文を付けたという》
ご承知の通り、70年談話には「おわび」が盛り込まれていた。私の取材では、70年談話の原案は7月中旬には出来上がり、同下旬には閣議決定することが固まっていた。
そして、8月3日、官邸で開かれた「正副長官会議」で原案が提示された。正副長官会議とは、首相を中心に官房長官・菅義偉、官房副長官・加藤勝信、世耕弘成、杉田和博、それに今井が加わる官邸の司令塔だ。ほぼ連日、内々に開かれている(この会議の詳しい内容は拙著『安倍官邸の正体』を参考にしてほしい)。
この原案は、その後、5日午前に自民党幹事長・谷垣禎一、総務会長・二階敏博、広島から帰京後の6日午後に副総裁・高村正彦、政調会長・稲田朋美、総務相・高市早苗、公明党出身の国土交通相・太田昭宏、7日夜に公明党代表・山口那津男、井上義久に、10日夕にケネディ駐日米大使らに事前に示された。
原案はすべて回収された。安倍は14日夕に記者会見して談話を公表したが、13日までの段階で原案を持っていたのは安倍、今井、佐伯の3人だけだった。3日に正副長官会議で示された原案と、実際に発表された談話は違っていたのか。正副長官会議に出席した6人のうち複数のメンバーはこう断言している。
「まったくと言っていいほど変わっていない」
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