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【正論】戦後70年に思う 謝罪にけじめをつけた安倍談話 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

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【正論】
戦後70年に思う 謝罪にけじめをつけた安倍談話 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

 今回の談話に限らず、政府関係の文書に「先の大戦」との曖昧な言葉が無神経に使われているのに辟易(へきえき)している。戦争は日中、日米、日ソのそれぞれ性格の異なる戦いから成っている。日中、日米については触れている紙幅がないが、当時の日ソ関係の凄惨(せいさん)さに目を背けるわけにはいかない。

 戦いの仲介を愚かにもソ連に依頼し、日本の意図を確認したあと日ソ中立条約が1年残っていたのにも拘(かか)わらず、旧満州、樺太、千島列島にソ連の大軍が侵入した。その結果生じた悲劇は、北方四島の強制編入、60万人の関連軍の強制抑留、在満邦人150万人のうちの老幼婦女子が被った凄(すさ)まじい被害など涙なしでは語れない。談話は被害者日本に触れていない。

 戦後の日本が貫いてきたのは不戦条約の精神尊重の一点だと思う。これを犯している国々から歴史戦を挑まれてきたのに対し、穏やかに応じたのが安倍談話だと私は理解している。(たくぼ ただえ)

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