3月でケイブを退職しました。
五年ほどケイブで働いてきました。アメリカに9年弱滞在して、大学出て帰国してからふらっと就職したという感じですが。
色々多岐に渡る仕事をさせて頂きまして、iアプリやiOS、Android、PC(AIRアプリ)それぞれのクライアント開発、バックエンド開発、企画、シナリオ(脚本)、コンテ、設計、運営、ディレクション、付随するイベント企画や運営、グッズ制作、SE作成、などなど。 スタジオで声優さんと収録したり。翻訳や通訳もしましたね。
あまりにも色々経験させてもらいまして、ケイブには本当に感謝しています。仲間も一緒にやってて頼もしい人が多かったです。
ボク自身は、早くからGoogleからGoogle API Expertという大きな看板を背負った事もあり、 Android SDK Japanや日本Androidの会、Tokyo GTUGやGadget1など、色々なコミュニティやイベントを運営する流れになり、やはり少なからずケイブの仕事に割ける時間が減っていったという面もありました。もちろん、やるべきことはやっていましたが、他の社員と比較して会社にいない時間が多かったのも事実で、そこはいろいろ迷惑をかけてしまったかなあ、と反省しています。当時もいろいろそこは気にかけながら仕事していたのですが。
それでも、本のお仕事を個人的にいただいたときも高野会長(当時は社長)をはじめ役員の方々は快く承諾していただいて本当に今も足を向けて寝られないです。
ただ、そんな「お前は自由にやってて良い」という状況にいつまでも甘えてるわけにもいかず、やはりこのような変則的な働き方になってしまうからこそ、一度社員を辞めた上で、もっとも自分に合った働き方とは何なのだろうということをあれこれ試しながらじっくり考える必要があるだろうと。
特に昨今のスマートフォンの普及、拡大により、今までは会社組織でないとできなかったような事が個人でも非常にやりやすくなりました。参入障壁が非常に低くなりましたし、開発に必要なセットアップ費用も格段に安いです。なので、個人あるいはほんの会社の体をなさない数人で作っていくのが面白い。 一方で、条件が同じなら会社の方がノウハウがある分、有利な面も大いにありますが、マネージャーを経験したことのある人なら実感としてわかるかと思いますが、なにしろ一番のコストは人件費です。人月計算ですね。工数がどうのこうの、というアレなんですが、ずっとディレクションしてきて思うのはあの人月とかいう計算方法は非常に管理する側からは「計算が」楽なのですが、どうにも今の時代に合っていない気がしてならないです。じゃあ何か良い代案があるのかというと特に思いついてもいないわけですが。ただ、一つの妥協案というか、良い代案だなと思うのはGoogleが施策してることで有名な20%ルールというやつです。詳しくは書きませんが、あれは色々な問題をいくつか一度に解決できる中々優れた方法だなと改めて感じます。ただ、経営に余力がないとできないのも事実ですが。ともかく工数ベースで計算するとなると個人に太刀打ちできない規模のプロジェクトでないと勝負しづらい時代になっています。
話はそれましたが、既に3月からフリーでいろいろ仕事をさせていただいてまして、それで今漠然と感じるのは、休みなんかなくなるし、頻繁にプロジェクトごとに頭切り替えていかなければならないし、あっちこっち行って打ち合わせしなければならないし、普通に会社員だった人からすると、これは猛烈に忙しくなるということなんだろうなと。
ただ、「普通に会社員だった人からすると」の話であって、ボクの場合は、上記したように、既にケイブ社員だった頃からあれこれ社外活動を行なっていたので、正直あまり変わってないんですよ。それどころか、今まで収入になっていなかった時間が直接収入になるようになったので、成果がわかりやすいです。
そんな話を少し前、声優さん達としていたら、「私たちはいつもそんな感じですよー」と言われたわけです。なるほどたしかに改めて考えてみると、演者さん達は、声優に限らずアーティストやタレントさんなどもそうです。ある程度規則性があるとはいえ異なる仕事を毎日、こなしている。ただ、開発者(エンジニア)の場合は仕事の性質上、個性が出にくい(むしろ個性が出ない方が良いケースが多い)ので、必ずしも全てがそういうシステムに置き換わるのが幸せとは言い切れないですけど、何らかの付加価値を持つことができているのなら良い手段ではないのかなと実感しています。
ボク自身、働き方ということに関してはまだはっきりと答えが出せていませんが、以前エンジニアtypeのインタビューで言ったとおり、会社の中にいないとできないことはあると思いますし、実際そうでした。ただ一方で、会社員でありながら個人的に活動をしていく中で、軸をどっちに置くのかは両方経験してからの方がはっきりと見えるだろうと感じてもいました。なので、プロジェクトが一段落ついたところでこの機会に退職したというわけです。今もケイブは大好きですし、お声がかかればなんらかの形で参加したいと思ってます。
しかし想像以上にフリーというのは心細いもんです。後ろ盾がないので、今まで以上にいろいろとマメにやらなければならないです。開発や企画だけしていればいいもんでもない。毎日、異なるクラスタの人と異なるプロジェクトを進めていくのはデメリットを凌駕する楽しさですけどね。
ゲーム脳なんで、何らかの問題を解決するために一人で装備を整えてレベル上げしつつミッションを制覇していくというのは憧れがあるわけです。そうなれたらかっこいいなと。思うわけです。
で、実際そうなってみると、これが面白いほどにそんなRPGにそっくりで、ちょっとレベル上げをおろそかにしてると死にそうになるし、パーティ組んでないと自分で回復呪文覚えておくか回復アイテムしこたま持っていないと遠征は無理だし、パーティも組み方によってはどうにもならないし、死にそうになっても誰も助けちゃくれないし死んでも誰も骨は拾いません。一方で城にいる兵士とかは城壁に守られているし、数も多いし、食い扶持を自分で分捕りに行かなくていいし、町民は毎日同じ事言ってればいいし…。
とりとめない話になってしまいましたが、現在はフリーとしてマッドハニーエンタテインメントシステムアンドパブリッシュメントという凶悪に長い名前の小さな会社でいろいろ企画や開発をしつつ、他にも現在はプロジェクト単位で2社ほどとお仕事しています。
来月からもまた別の会社さんで働く事になっておりますし、本も(相変わらずAndroidですが)2冊ほど並行して作っています。
基本的にどれも期間の長いものではないので、面白いお話やお仕事等ありましたらひとまず連絡いただけると嬉しいです!
まったく構成を考えずに思いついたまま書くというのもたまには。