法科大学院に関する法科大学院長からのお知らせ
2015年6月16日更新
國學院大學は、「地域」とともに生き、「地域」に寄与し貢献できる法曹(ホームロイヤー)の養成を目指して専門職大学院法務研究科(法科大学院)を平成16年に開設し、以来10余年、37名の法曹を輩出し、当初の司法制度改革の一端を担ってまいりました。教育を展開する上で、広く社会から人材を求めるために、未修者の教育に重点を置き、一人一人の学生に丁寧な教育を施すために、少人数教育を行い、理論と実務の架橋を求められた法科大学院教育の実現のために、カリキュラムには公設法律事務所(渋谷パブリック法律事務所)と連携した臨床法学教育(リーガルクリニック)を導入しております。実際に現場経験を積んで法曹界に進むという方法を採用したことはその一つの現れでもあります。リーガルクリニックの成果として、これまで数十名に上る渋谷区在住の皆様にご協力いただき、毎年、公開模擬裁判員裁判を実施しております。正課に法教育を取り入れるとともに、渋谷区の中学校等で実践していることも教育成果の社会還元であります。
修了生法曹の中には地方で活躍する弁護士が10余名おり、法テラスなど、それぞれの出身地とは異なる地域で活躍していることは、本法科大学院が目指した「地域」とともに生き、「地域」に貢献できる法曹の養成が実を結んだことの証左でもあるといえます。一方、本法科大学院を修了し、公務員や企業の法務部門で活躍されている方も少なくなく、それぞれの進路において、学びの成果を実践されていることは疑う余地がありません。
さて、本法科大学院では、開設当初からの延べ志願者数は2,295名、そのうち354名が入学しております。
しかしながら、法科大学院を取り巻く環境は急激に悪化し、開設当初は740名であった志願者数は、11年後には31名まで落ち込み、歩留率も77.5%であったものが、40%前後となったことにより、定員割れが続く状況となりました。過去2年の入学者数も平成26年度8名、平成27年度は5名であり、この結果、授業運営にも支障をきたす事態となってきました。
僅か3年前の平成24年度には、公益財団法人 日弁連法務研究財団による認証評価を受診し、法科大学院として「適合」との評価を受けております。司法試験合格者数、合格率としては十分な結果を得られておりませんが、教育体制そのものは法曹養成機関として機能しているものと評価をいただきました。しかし、それだけでは今後の教育体制を保持することが極めて困難となってきたこともまた事実なのであります。
これらの状況に鑑み、これから志願しようとしていた皆様、在学生、修了生をはじめ関係各位にはご迷惑をおかけいたしますが、今般、平成28年度以降の募集を停止することとなりました。
在学生、修了生の皆様は、本法科大学院に対して、各人さまざまな思いを抱かれていることと推察いたします。母校の募集停止を聞き、心穏やかではない方もおられるかと思われます。本法科大学院はその点について深くお詫びする次第であります。
今後は、在学生が全て修了するまでは教育機関としての体制を維持し、設置当初の理念に基づいた法曹を養成するために必要なプログラムを継続してまいります。また、司法試験受験のためのサポートも継続し、1名でも多くの法曹を輩出できるよう不断の努力を重ねてまいりますので、ご理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、リーガルクリニックの任に当たってくださいました、渋谷パブリック法律事務所、東京弁護士会、さらに、本法科大学院をご支援くださいました、すべての方々に心からの御礼を申し上げます。
平成27年6月16日
院長 武 田 誠
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