下地毅
2015年9月9日18時46分
福井・東尋坊にある「心に響くおろしもち」が今春、引っ越した。といっても、これまでの建物から隣へと移っただけ。店構えはひときわ立派になった。人命救助・自殺防止にとりくむNPO法人「心に響く文集・編集局」の最前線拠点という使命はそのままだ。
茂幸雄さん(71)と川越みさ子さん(62)が、東尋坊での自殺を減らそうとNPO法人「編集局」をつくったのは2004年4月。東尋坊タワーのたもとに常駐店舗「おろしもち」も構えて、11年間の救命者は526人にのぼる。
東尋坊にさまよう人の多くは空腹だ。見回りボランティアに声をかけられて「おろしもち」へと誘われ、名物おろしもちを食う。あふれてくる涙は、ぴりりと辛い大根おろしのせいよりも、訴えに耳を傾けてくれる人とようやく巡りあえた安心感からだ。
旧店舗は古びた事務所然としていた。それなりに味わい深かったが、新店舗は広く明るくなった。新調されたテント看板も「ここは天下の東尋坊」「終着駅は始発駅」と大書され、目立つこと間違いなしとなった。今回の引っ越しによって入り口の向きが変わったため、「『おろしもち』は無くなったの」という声をたまに聞く。ご安心を。
川越さんには「生涯忘れることのできない出来事」がある。
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朝日新聞社会部
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