明大教授の司法試験問題漏えい、解答の完成度高すぎてバレた

2015年9月9日6時0分  スポーツ報知

 東京地検特捜部は8日、国家公務員法(守秘義務)違反などの疑いで、教え子だった受験生の20代女性に司法試験問題を漏えいしたとされる考査委員の明大法科大学院・青柳幸一教授(67)に対する捜査を始め、近く立件する方針を固めた。司法試験委員会は同日、同法違反の疑いで刑事告発し、教授は考査委員を解任された。司法試験委員会による試験問題漏えいをめぐる告発は初めて。教授と女性はともに、漏えいを認めている。教授は解答のポイントについて、複数回、女性の指導をしていた疑いもある。

 法務省などによると、67歳の青柳教授は、教え子だった20代女性に、憲法に関する公法系科目の論文式試験問題の出題内容を教えた。100点満点で、過去に自治体が推進する事業に反対したことを理由に、その自治体の職員に採用されなかったことに関し、憲法上の問題を論じるもの。法務省は、女性の解答は完成度が極めて高く、「情報漏えいがなければ作るのが困難な内容だった」と判断した。

 問題作成などを担当した青柳教授は、漏えいだけでなく、答案の書き方の直接指導まで行っていた。関係者によると、青柳教授は複数回にわたり、試験に出題される憲法に関する論文に記載すべきポイントを具体的に示して、女性を指導していた疑いがある。地検特捜部は考査委員だった青柳教授の指導が解答にどう反映されたかなど、漏えいの詳しい経緯を調べる。

 法務省によると、考査委員は法相が任命する非常勤の国家公務員で守秘義務が課される。法科大学院の教授や裁判官、弁護士などから毎年任命され、今年は132人が試験の問題作成や採点を担当した。そのうち、憲法分野担当は13人。青柳教授は取りまとめをする「主査」の立場だった。

 今回の問題は、憲法分野の他の考査委員から「出題内容が漏えいした可能性がある」と司法試験委員会に情報提供があり、発覚した。

 明大広報課によると、大学側が青柳教授と連絡が取れたのは、8日午前0時ごろ。教授は「大学と社会を騒がせて申し訳ない」と謝罪。漏えいを認めたが「東京地検の捜査を受けているので詳しく話せない」と説明した。大学側は、漏えいと指導を受けた女性とは連絡が取れていないという。捜査の経緯を見ながら、厳正に対処するとした。

 法務省は「漏えい先は1人に限られており、全体の合格判定に影響はなかった」とも説明。この女性は採点対象から除外され、今後5年間は司法試験の受験を禁止される。

 司法試験委員会は、考査委員が受験を控えた修了予定者や修了者に指導をしないよう、順守事項として求めている。明大広報課によると、青柳教授は昨年10月、今年の考査委員に任命された。

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