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誰かの妄想・はてな版

2015-05-26

「きれいなヘイト」を定義するならば

普通に丁寧な言葉遣いで、ネガティブな表現・言葉を使わずに、ネガティブな文意を作り出すヘイトスピーチ手法、とでも言えるでしょうか。

意図的にやる人もいますし、無意識でやってる人もいるでしょうね。

簡単な事例として挙げるなら、こんなの。

海外で日本人に対して、

「君は日本人にしては良い奴だなぁ!」

これ表面的には誉められているわけですが、素直に喜べますかね?

多分、釈然としない思いを感じるのが普通だと思います。だって、この言葉の背景には日本人に対する低評価が横たわってるわけですからね。しかし、これに反論するのも難しく、「日本人を低評価しないでほしい」と言えば、「俺はお前を誉めてるのに何怒ってるんだ。」に「これだから日本人は!」とか付けて返されるかもしれません。「他の日本人が悪い奴らみたいに聞こえるから、その言い方はやめてくれないか」と言えば、「俺は他の日本人のことなんか言ってない。お前の考えすぎだ。」とかわされるかもしれません。

そもそも言外に日本人に対する低評価が感じ取れるため、自分まで低評価されないように言葉を濁して曖昧にしてしまうのが、その場をやり過ごす一番良い方法ということになるでしょう。

ところで、木村幹氏の「河野談話はどこで「連合国の戦後処理」を含む問題へとすり替わったのか――従軍慰安婦と河野談話をめぐるABC」という記事は、ネガティブな表現・言葉を使わずに、朝鮮人慰安婦らに対するネガティブな文意を作り出すもので、まさに「きれいなヘイト」だと思いますよ。

具体的な指摘内容については、1年前の記事などを参照してください。

「とりあえず“責任の所在を曖昧にしておけば”どうにかなるだろう」から始まった(木村幹氏の記事の問題点)

河野談話はどこで“強制連行の有無”の問題へとすり替わったのか・1(木村幹氏の記事の問題点)

河野談話はどこで“強制連行の有無”の問題へとすり替わったのか・2(木村幹氏の記事の問題点)

木村幹氏の記事の問題点・要約

あなたは正直者ですね。この「きれいなヘイト」を差し上げましょう。


そう言えば、私は木村氏にこんな風に批判されましたけど。

Kan Kimura (on DL)

‏@kankimura 某コラム続き。このコラムの特徴は「外交」を見ていないこと。加藤談話の後、韓国政府は「強制連行」の認定を執拗に求めてきている。また、当時の日韓両国の新聞もこの点について繰り返し論じている。史料を見ないで歴史について論じるのは無意味。http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20140410/1397061581

https://twitter.com/kankimura/status/454161028025040896

私の記事のどの部分が「「外交」を見ていない」のかについては、碌な説明が無かったですね。そもそも「「外交」を見ていない」ってどういうことなんですかね。少なくともネガティブな文意だと感じますけど。

ちなみに加藤談話の直後に韓国政府が出した報告書では、慰安婦募集の方法として奴隷狩りのような形態以外に(詐術あるいは威圧的雰囲気による方法)や(事実上動員の方法)について言及されており、これらを含めて韓国外務部亜洲局長が「慰安婦は強制的か、それに近い形で集められました。」と発言し、それは当時テレビで報道されていました。*1 *2

史料を見ないで歴史について論じるのは無意味」とおっしゃってる木村氏は当然それをご存じのはずなのになぁ。

kiya2015kiya2015 2015/05/27 11:33 水商売でホストやキャバ嬢が「ウチの客はみんなウザいけどあなただけは別だよ」と言って客に貢がせるなんてザラだし、
「君は日本人にしては良い奴だなぁ!」を素直に喜ばないレベルに知的な日本人なんてそんなに多くないと思う。
はてサは高学歴ばかりだから日本人の知的レベルを高く見積もりすぎなのでは?
馬鹿ばっかだよこの国。

匿名匿名 2015/05/27 15:34 今朝も早くから木村幹は連続ツイートで反論しています。更なる反論を御願いします。少なくとも「scopedog先生が中立を装っているように見せている」という印象操作に走っているのは、木村が大学教授失格、人の金で海外旅行するのを自慢するな、という根拠になると思うので。

サトぽんサトぽん 2015/05/27 22:31 木村幹さんというと、安秉直の「慰安所管理人の日記」の日本への紹介者でなんだけど、それでありながら、「強制連行」の有無について、いまさらウダウダと語ると言うのは、どういうもんなんですかね。

「慰安所管理人の日記」によって、米軍の尋問調書に書かれていた朝鮮軍から依頼された業者によって、ダマされてビルマに連れていかれた703人の朝鮮人女性の存在は、完全に事実として確定しました。これなんか、慰安婦問題にとって、(秦郁彦氏の発明した)広義狭義の強制連行なのかは、全然、問題ではないことを如実に示すもので、彼女らはラングーン港からビルマ各地にくじ引きで振り分けられていったあげく(文玉珠さんの証言)、現地で兵士達に強姦され、慰安婦に仕立てあげられました。というか、被害者女性達の証言に、最初に慰安所管理人に強姦されて、「慰安婦」にさせられた例なんかほとんどありません。最初の相手は、まずほとんどが兵士です。つまり、ある夜、ビルマ全土に、703人の日本軍兵士に強姦される朝鮮人女性の悲鳴が響き渡ったということですね。

最初に兵士の強姦によって女性をあきらめさせ、強制売春を強要するシステムが、陸軍の慰安所では確立されていたちゅうことですが、ビルマの例の一年前の1941年には、関特演に伴う三千人の朝鮮人女性が慰安婦に仕立て上げられた例がある。これなんかも、悪徳楼主が最初の女性になるには、人数的にも無理があるので、まずマチガイなく、ほとんどの場合、最初の相手は兵隊さんです。

この三千人の女性達が、ほとんど素人女性だったということは、機会を見て、改めて論じますが、慰安婦問題の核心は、国家が作り上げた戦時強制売春システムの問題であり、木村さんのような論者は、秦郁彦先生のソフト版に過ぎません。形式的にしろ、当人の同意を確認する必要があった、公娼施設とは違い、慰安所で女性の「自由意思」を確認した例は、ほとんど(積慶里慰安所の山田清吉の一例のみ)ありません。

ちゅうようなことを、木村先生お気に入りの朴裕河氏の「帝国の慰安婦」のレビューで書こうと思ってたのですが、あそこは朴さんの信者が多いので、気乗りしないということもあり、ついでだから、便乗させてもらうことにして、こちらに書かせて頂きました。

忘れたらいけないので、メモ代わりに書いておきますが、ビルマ戦線の米軍の尋問調書の存在が知られたのは、1992年の話で、それまでは、ビルマ戦線の拉孟騰越の慰安婦の話と言えば、元の出所が辻政信、脚色が伊藤桂一といったヨタ話に毛が生えた程度のことしか、知られていませんでした。つまり、ビルマ全土に、703人の強姦される朝鮮人女性の悲鳴が響き渡ったというイメージは、文さんの証言や、「慰安所管理人の日記」などの、最近の研究成果から導かれるもので、そんなに古い話ではありません。河野談話の発表後も、少しずつ、決定的な研究の積み重ねがあるということです。

本人は先頭走ってたつもりだが、気がついてたら、一気に周回遅れになっていたと言うのが、朴祐河さんなのですが、木村さんはどうでしょうかね。いえ、私は木村さんには素直に転向して頂ければ、何も言うことはないのですが、ツマンナイ話だと思いますが、学者のメンツってのがあるんでしょうかね。

本当に木村さんが、朴裕河のように慰安婦問題を認識しているならば、こりゃ学者の看板を下ろす必要があるでしょうね。

サトぽんサトぽん 2015/05/28 21:15 ちょうどいい合いの手が入った。少し補足したかったんだよね。

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まあ、そもそも加藤談話以前にアメリカ公文書館を調べるということをしていない方が驚愕ですよね。加藤談話の半年前の1991年12月21日には駐米韓国大使館が、日本軍が朝鮮人従軍慰安婦の管理に関与した内容の米軍の調査報告書を発見したと報道されています*3。このような報道を見ても、米公文書館を日本側も調べるという発想が出来なかったとしたら間抜けすぎです。実態としては、単に日本政府にやる気がなかったということでしょう。木村氏は「日本政府がそれまで明らかに手抜きをしていた調査を、92年1月の日韓会談の後本格化」させた」*4と言っていますが、本格化した調査が行われた1992年1月〜7月の間に誰もアメリカ公文書館を調べることを思いつきもしなかったのでしょうか?

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20140412/1397232106
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この資料の「発見」は、1992年1月31日に 共同通信が配信して、日本でも周知のものとなり、吉見義明氏が編集した「従軍慰安婦資料集」大月書店(1992/12)に収録され、一躍、有名になったわけなんだけど、それまで、ビルマ戦線の慰安所の資料としては、当の慰安婦女性の証言や、米軍関係の資料なんかは、全然見つかってなかった。

日本軍関係者による、朝鮮人慰安婦女性は、日本人慰安婦と対抗意識があって張り合っていたが、最前線では、玉砕はしなかったとか言う、身勝手な話が、普通に語られていたワケね。

ところが、文玉珠さんが、当のビルマ戦線の慰安所に送られた当事者だと言う証言し、西野瑠美子氏らによる、ビルマ戦線の当事者への聞き取り調査が進んでいく。尋問調書に書かれている、朝鮮軍に雇われた楼主によって「703人のダマされてビルマに連れて行かれた朝鮮人女性」の存在というのは、ようやく戦争の傷が癒えて、徐々に口を開き始めた関係者によって、次第に鮮明になってきた。20数年経って、ビルマ戦線の慰安所については、動かしがたい驚愕の事実が次々に明らかになってきている。

日本の陸軍の慰安所システムっていうのは、既存の公娼制度の女衒のネットワークを駆使して、各戦線に「慰安婦」女性をばらまき、女性に戦地での売春を強制していった、巨大な国際売春シンジケートのようなもんなのだが、これは、千田夏光の「従軍慰安婦」(1973年)の頃から、ある程度は実態は知られていた。千田の頃と違うのは、慰安所の実態が、専門の研究者により、公文書などの資料によって、精緻に裏付けられているということ。

その一方、被害者女性達のカムアウトと、決定的な公文書の発見と完全に逆行するように、秦郁彦氏らによって、この日本軍の「恥部」を、徹底的に隠蔽する工作が、日本において徐々に進行していく。これが、功を奏して、秦先生の大勝利に終わったのが、昨年の朝日「誤報」騒動というわけだ。

ワタシャ、木村さんのこと、あまり知らんし、難しい学術的な話に興味もないんだが、ざっと読む限り、秦先生の系譜にいることは明らかな気がするね。朴祐河さんも、秦先生に「立派な歴史家」とか言われていたし。

ほんと、勘弁してくれ。

エヴァエヴァ 2015/05/28 23:58 >馬鹿ばっかだよこの国。

これはヘイトスピーチといえるか?
日本国民は馬鹿という意味と取れれば、ヘイトスピーチと解される余地はある。

しかし、似たようなことはよく聞く。

 馬鹿ばっかだよこの会社
 馬鹿ばっかだよこの学校。
 下手くそばっかだよこのチーム

これを言っただけで、ヘイトスピーチか?ヘイトスピーチを取しまる法律を作る際は、定義をきちんとしないと、言論が委縮される恐れがある。

sutehunsutehun 2015/05/29 18:08 議論をする際に相手が自分と同等かそれ以上に知的であることを期待するのは単に誠実な態度であるだけであって、高学歴かどうかとか、サヨクだからどうだとか、そういうことではないと思う。
もしそうでないとするならば、低学歴であったり右翼であったりする人は知的に誠実でないってことになってしまわないかな。これは非常に危険な観念だと思う。

…自覚的にエスノセントリズムに走るようなクソばかったれどもが右翼的思考傾向を持つことは、まあ否定しない。
でもそれはイコール右翼はエスノセントリズムにかぶれたドクズどもだってことにはならんよね。

falcon3falcon3 2015/06/02 00:24 海外で「君は日本人にしては良い奴だなぁ!」と言われたら。
「いやいや、君こそ●●人にしては親切な奴だよ!」と答えるだけでしょ。

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物事を説明するときには例を出さないほうがベターです。
なぜならその例に対する思い・感じ方・捉え方が個人で異なっているので、
あなたが意図した働きをしてくれないことが多いからです。

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