対象OS/ソフトウエア:Windows 7/Windows 8/Windows 8.1/Windows 10、Internet Explorer(IE) 8/IE9/IE10/IE 11
Internet Explorer(IE)でHTTPS接続のWebページを開いたとき、表示完了まで非常に時間がかかることがたまにある。その原因の一つとして、HTTPSの暗号化に用いられているTransport Layer Security(TLS)という規格が影響していることがある。本TIPSではその対策を説明する。
現在、HTTPS接続時に作られる暗号化通信路の仕組みには、TLSという標準規格が用いられている(古くからあるSSLの方は、すでにその座をTLSに譲り、使わないことが推奨されている)。TLSにはバージョン1.0/1.1/1.2があり、どれが実際に使われるかは、WebブラウザーとWebサーバーそれぞれがサポートしている規格の中から、ネゴシエーションによって決定される。
IEの場合、原因は不明だが、特定のWebページでTLS 1.2で接続したときに通信速度が大幅に落ちることがたまにある(全てのHTTPSのサイトで生じるわけではない)。そんなときには、まず使用されているTLSのバージョンを確認し、もしバージョン1.2が使われていたら、IEの設定を変更してTLS 1.2を禁止して、表示速度が向上するか試してみるとよいだろう。
まずは表示の遅いページがTLS 1.2で接続しているかどうかを確認しよう。
それにはまず、対象のWebページをIEで開いた状態で、ブラウザーペインで画像などが表示されていないところを右クリックして、[プロパティ]を選ぶ。するとプロパティ画面が表示されるので、[接続]という項目に注目する。次の画面の(2)のように、暗号化に関する情報が記載されているはずだ。
もしTLS 1.2で接続していたら、IEでTLS 1.2での接続を禁止してみよう。それにはコントロールパネルかIEの設定メニューから[インターネットオプション]を開き、[詳細設定]タブの「設定」−[セキュリティ]−[TLS 1.2の使用]のチェックを外してオフにする。
TLS 1.2をオフにしたら、対象のWebページを再読み込みしてみて、表示が速くなったか確認しよう。またプロパティを開くと、今度はTLS 1.0あるいはTLS 1.1で接続されているはずだ(通常、TLS 1.2が使えない場合はTLS 1.0あるいはTLS 1.1のどちらかが使われる*1)。
上記の設定は、IEのHTTPS接続の全てに反映される。特定のWebページのみTLS 1.2の使用を禁止することはできない。
*1 TLS 1.1と比較すると、TLS 1.2では使用できるハッシュアルゴリズムや暗号方式のオプションがいくらか増えている。だが、実際にどのアルゴリズムを使うかは通信時にWebサーバーとIE間のネゴシエーションで動的に決まる。TLS 1.1は脆弱でTLS 1.2は安全、という関係ではないので、TLS 1.2を無効にして運用しても(現実的にはほぼ)問題ない。
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