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■職員の平均年収は１千185万円
ＮＨＫは２月12日、「基本賃金の10パーセント削減」を含む給与制度改革案を発表したが、
本当に改革が実現するかどうか正念場にさしかかっている。
もはや税金ともいっていい、視聴者からの受信料で運営されるＮＨＫ職員の給与は、
一般的な雇用者報酬（約440万円）と比べて格段に高く、平均年収１千185万円（平成23年度実績）という厚遇ぶりだ。
このことが’12年３月に国会で問題視され、松本正之会長が給与制度の見直しに言及し
「平成24年度中に成案を作る」と答弁して今回の改革案が作られた経緯がある。
「給与カットにまで踏み込む改革は、これまでＮＨＫ内部の人間が皆タブーにしてきたこと。
ＪＲ東海副会長から不退転の決意で転身した松本氏の強い意志を感じる」（全国紙社会部記者）という評価もある一方で、
早くもＮＨＫ内部の“抵抗勢力”が蠢いているという情報もある。
ＮＨＫの給与制度の問題点は大まかに分けて
�’�功序列＆横並び出世、
�∪�度が複雑で、手当などの支給制度が多すぎる、
�Ｅ抄个�あるため全国一律賃金で、地域間格差をまったく考慮していないことだった。
そのため今回の改革案でも基本給１割削減以外に、管理職登用に試験制度を導入するほか、各種手当の見直しや廃止が実施されるという。
ＮＨＫ職員の給与は「高額な給料水準にある民放と比べれば突出した数字ではない」（ＮＨＫ関係者）
という見方もあるが、ＮＨＫはスポンサーからの広告収入を必要としないだけに、批判の対象にもなる。
しかもＮＨＫには例年35億円前後の交付金収入など、実質的な・血税・が投入されている。
そんな団体の職員が高額年収を得ていることは、おかしいという指摘はもっともだ。
ところで今回の改革案は、実はＮＨＫの労働組合である日放労（日本放送労働組合）に対して、
賃金の１割削減を提示したにすぎない。ＮＨＫ広報局がこう説明する。
「給与削減は正式に１割削減が決まったわけではない。日放労に対して賃金削減の申し入れをした段階であり、
交渉はこれからです」
実はこの改革案は削減が実現するとしても５年先の話の上、組織力が強い日放労がすんなり受け入れるとは思えない。
日放労側は「（新たな給与制度が）視聴者の信頼を得られる業務体制に影響するかどうか見極めたい」と話しているが、
「松本会長の任期が終われば、何事もなかったかのように改革案は却下される」（前出のＮＨＫ関係者）という声もある。
■教育手当や寒冷地手当も支給
他国を見れば、イギリスの国営放送ＢＢＣは、’09年に幹部640人分の人件費を25パーセント削減した。
世界的に影響力を持つＢＢＣでさえこうした改革に踏み切っているのに、ＮＨＫは、自己保身に余念がない。
ＮＨＫ職員の待遇問題について、民放関係者が語る。
「ＮＨＫは民間と役所の良いとこ取りの“亜種公務員”といえる。賃金が高額になるのも、公務員並みの諸手当が充実していることにある」
その最たる例が、長年批判されてきた４、10月の年２回、４万２千円が支給される「クリエイティブ手当」（’13年度から廃止）だろう。
「職員の自己啓発など」が目的というこの手当の使い道は自由で、要は飲み食いに使っても問題はない。
しかも全職員に一律支給で、これだけで年額40億円を計上する。
視聴者は職員のつかみ金を受信料として払ったようなものだ。
また、赴任地の地理条件や生活環境によって支給される「ハードシップ手当」は毎月３〜６万円、職員の23歳未満の子女に支給される「教育手当」は毎月７万円。
さらに今や地方自治体ですら廃止傾向にある「寒冷地手当」など、掘り下げればいくらでも手当が出てくる。
民放並みの高額給与に加え、公務員以上の手当と身分保障という民間、
公務員双方メリットが与えられているのがＮＨＫなのだ。
ＮＨＫは子会社、関連団体を合わせて27団体、１万６千630人（’11年度）からなる巨大グループで、
全体の総収入は約１兆円にのぼっている。
グループ企業の社員は６千236人だが、そのうちＮＨＫ本体からは790人、転籍者は１千293人（’11年度）に及ぶ。
つまり、本体→グループ会社への天下りが日常的に行われているといえるが、この点も公務員の天下りに似た構造がある。
こんな体質では、現状の公務員制度を批判することなどできないだろう。
しかもＮＨＫはグループ企業において、その看板をフルに活用している。ＮＨＫ子会社の一つに「ＮＨＫ文化センター」があるが、
同社はＮＨＫの番組に関連した歴史講座、旅行などを実施する生涯学習教室だ。
この売り上げが平成23年度実績で84億１千900万円となっている。
しかしＮＨＫとの取引は４千900万円で売り上げ全体のわずか０・６パーセントにすぎない。
つまりＮＨＫとは独立した旅行代理店、生涯学習教室といった存在なのだ。
この会社に「ＮＨＫ」という看板が果たして適切なのか。だが、そもそも国民の受信料で番組を制作しておきながら
、それを二次的に使用した関連事業でさらに私腹を肥やしていること自体、もっと批判されるべきである。
■日放労が左翼の温床となって
一方、’13年度の事業計画によると、受信料収入減少の対策として民事訴訟を各地で起こして増収を狙うという。
自身らの待遇には甘い一方、視聴者に対しては厳しい。昨年10月１日から受信料が120円値下げとなったが、
これも口座・クレジット払いの場合だけだ。
しかし、ＮＨＫは巨大な利権構造を生み出す一方で、左翼的で異様な偏向報道も少なくない。
その代表的な番組が’09年、戦前の日本の台湾統治を一方的に「悪」と報じた「ＮＨＫスペシャル
ＪＡＰＡＮデビュー」であり、さらに遡れば’01年１月30日に放送された「戦争をどう裁くか」の第２夜「問われる戦時性暴力」
でも、一部左翼団体の主張に沿った制作で「番組改変問題」につながった。最近では福島原発事故報道についても
「空白の初期被ばく」（１月13日）で、都合のよいデータだけを用い、事実関係に問題があったという指摘もある。
だが、こうした報道スタンスも「元社会党員で日放労中央執行委員長として権勢を振るった上田哲（元参議院議員）
以来、左翼勢力の温床になってきた日放労の影響が大きい。だいぶ弱まったとはいえ、
いつまた息を吹き返すかわからない状態だ」（ＮＨＫＯＢ）という。
松本会長の“号令”により、ＮＨＫ改革は次第に進み、偏向報道もだいぶ減ってきた。
しかし、来年１月の会長選を睨んで再び、ＮＨＫお得意の“怪文書合戦”が噴出する可能性もある。
視聴者はその動きをしっかり監視すべきである。
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