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海外で暮らす被爆者に対し、国が被爆者援護法に基づく医療費を支給しないの…
海外で暮らす被爆者に対し、国が被爆者援護法に基づく医療費を支給しないのは違法だ。
最高裁がきのう、そんな判決を言い渡した。
この問題をめぐっては3件の訴訟があり、下級審の判断は割れていた。最高裁が違法と断じた意義は重い。国はただちに法に従って医療費を支給し、ほかの2件の訴訟についても解決を図るべきだ。
援護法は、被爆者健康手帳を持つ人が病気で保険診療を受けた場合、自己負担分の医療費を国が全額支給すると定める。
ところが厚生労働省は、世界に約4300人いる在外被爆者にこの規定を適用していない。
援護法は日本の医療制度を前提にしているため、医療や公的保険の制度が異なる海外での診療は、治療内容や金額が適切か判断できない、というのが国側の主な言い分だった。
その代わりとして、国は在外被爆者に法の枠外で医療費を助成してきたが、原則として年30万円までという制限がある。
最高裁は判決の中で、被爆者援護法に在外被爆者への支給を拒む明文の規定がない以上、区別するのはおかしい、とした。法の下の平等に照らし、当然の判断だ。
広島、長崎の被爆者は国が起こした戦争の結果、原爆の放射線を浴びた。生涯、後遺症に苦しむ被爆者を救済する責任が国にあるという国家補償的な考え方が、被爆者援護法の根底にある。
旧原爆医療法ができ、国費による被爆者の治療が始まったのは57年だった。その後、94年に同法と旧原爆特別措置法を一本化した被爆者援護法が成立した。条文上、居住国で救済内容に差をつけたことはない。
それなのに国は、通達や法解釈で在外被爆者の救済範囲を狭めてきた。03年にようやく国内の被爆者と同じように健康管理手当の受給を認めるなど、司法に非を指摘されるたびに少しずつ見直す、という対応を繰り返してきたのが実態だ。
在外被爆者の高齢化は進んでいる。今回の判決を最後に、国はその場しのぎの歴史に終止符を打つべきだ。
厚労省によると、昨年度は2960人の在外被爆者が計5億6千万円の医療費助成を受けた。本来なら援護法に基づいて支払われるべきお金だ。日本と制度が違い、給付のための実務的な難しさはあろう。しかし海外の医療機関に照会するなど、個別に対応する方法はある。
「被爆者はどこにいても被爆者」が援護法の基本精神だ。
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