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■南十字星の下で

 「危険思想フェスティバル(Festival of Dangerous Ideas)」

 なんとも刺激的な名前のイベントが毎年、この時期にシドニーで開かれている。イベントの会場でもあるシドニー・オペラハウスと、シドニーにある英国教会の組織を母体とする非営利組織「エシックス・センター」による共催だ。

 2009年に始まり、「タブーなくあらゆる過激なテーマも取り上げる」をモットーに掲げてきた。オーストラリア国内や海外からさまざまな思想家や学者、活動家などを講演者として招待。取り上げるテーマも宗教、ジェンダー、政治などあらゆるジャンルにわたっていて、賛否両論の議論を呼んだり、テーマが過激すぎてキャンセルになったりしたトークもある。

 「危険」のタイトルは、決して人集めのためではないのだ。これまでに招かれた講演者の顔ぶれを見ると、もっとわかりやすいかもしれない。

 ウィキリークスのジュリアン・アサンジュ氏。小説「悪魔の詩」を著した英国人作家のサルマン・ラシュディ氏。パキスタンの思想家、タリク・アリ氏。旧ユーゴスラビアのスロベニア出身の哲学者、スラボイ・ジジェク氏などなど。

 7回目の今年は9月5、6両日で30以上のトークイベントが開かれ、約50人が講演した。目玉は、「ブランドなんか、いらない」や「ショック・ドクトリン」などの著書で知られるカナダのジャーナリスト・活動家のナオミ・クライン氏。それと、オーストラリア人記者のピーター・グレスト氏だ。