警察庁が治安の指標としてまとめる犯罪統計を巡り、大阪府警は30日、2008~12年までの5年間に認知した窃盗や器物損壊などの犯罪約8万1千件を統計に計上していなかったと発表した。管内の警察署全65署が報告を怠っていた。
府警は同日、歴代の刑事総務課長や署長ら計89人を本部長注意などの処分とし、担当者ら179人を業務指導した。
犯罪対策の基礎となる統計の信頼が傷ついた格好。大阪府は10~12年、街頭犯罪の件数で東京都を下回り全国最悪を脱したとしていたが、実際はワースト1のままだった。
府警によると、65署が警察庁に報告していた08~12年の刑法犯の認知件数は計85万621件だったが、実際には計93万1928件で、計8万1307件を計上していなかった。
計上しなかった犯罪は、窃盗が6万9901件と全体の8割以上を占め、器物損壊も7331件あった。窃盗のうち自転車盗は4割を超える3万7013件。各署が報告を怠った背景について、府警刑事総務課は長年ワースト1の状況が続くなか、担当者が事件を計上しにくい雰囲気を感じていた、と分析した。
府警では昨年6月、堺署の巡査長が5年間で約6500件の犯罪件数を計上していなかったことが発覚。対象を広げて調べたところ、同署以外の過少計上が判明した。
安井正英刑事総務課長は「犯罪統計の信頼性を裏切る行為で遺憾。統計業務の適正なチェックと職員への指導を徹底したい」としている。
大阪府警、犯罪統計