米ホワイトハウスは30日、アラスカ州にある北米大陸最高峰マッキンリー山(6194メートル)を「デナリ」に改称すると発表した。オバマ大統領が31日正式に明らかにする。

 デナリはアラスカの先住民の言葉で「偉大なもの」との意味で、改称を求める声が上がっていた。

 同山は1984年2月に冒険家の植村直己さんが世界初となる冬季単独登頂後、行方不明となったことで知られる。

 オバマ氏は8月31日~9月2日の日程で氷河の融解が懸念されているアラスカ州を訪れ、気候変動が喫緊の課題だと訴える。温暖化対策強化のためアラスカ州当局や先住民と連邦政府との連携を進めたい考えで、先住民に特別な思いがある名称に変更することで、地元への配慮を示す狙いがある。

 植村直己冒険館(兵庫県豊岡市)の吉谷義奉館長(62)は「植村イコール・マッキンリーという思いがあり、改称は寂しい。だが名称が変わっても、植村本人にとっては、マッキンリーが持つ自然の偉大さは何ら変わらないだろう」と話した。

 アラスカ州は保守色が強く、二酸化炭素(C〓(Oの横に小文字の2))の排出削減を目指すオバマ政権の温暖化対策行動計画に強く反発する共和党の地盤。

 オバマ氏は8月31日にアンカレジで米国務省主催の北極に関する国際会議に出席する。9月2日には北極圏にある同州西部コツェビューを訪れる。AP通信によると、現職米大統領が北極圏に足を運ぶのは初めて。

 米メディアによると、アラスカ州政府は1975年、第25代大統領マッキンリーにちなむ山の名称をデナリに変更。マッキンリー氏の地元オハイオ州の議員らが反対し、連邦政府はマッキンリー山と呼び続けてきた。

 ◆マッキンリー山 米アラスカ州にある北米大陸最高峰で標高6194メートル。第25代大統領ウィリアム・マッキンリーが、1896年に大統領選の共和党候補者に指名された際、山周辺にいた開拓者が名付けたとされる。地元の先住民は「デナリ」と呼んでいた。アラスカ州政府も1975年からデナリを用い、連邦政府にも同じ措置を求めていた。日本では冒険家の植村直己さんが1984年2月に登頂後、行方不明になった山として有名。(共同)