生命の起源:「隕石の地球衝突でDNAのもと誕生」再現
毎日新聞 2015年08月20日 10時32分
隕石(いんせき)が地球に衝突する現象を再現する実験で、生命の設計図とされるDNA(デオキシリボ核酸)のもとになる塩基が生成されたとの成果を、古川善博・東北大助教(地球化学)らの研究チームが発表した。生命に欠かせないたんぱく質を構成するアミノ酸9種類もできた。生命誕生の起源に迫る研究として注目される。
チームは、生命が誕生したとされる約40億年前の地球を想定。隕石に含まれる鉄やニッケルのほか、当時の地球に存在したと考えられる海水、重炭酸などを円柱カプセル(高さ3センチ、直径3センチ)に入れ、秒速1キロでステンレス弾を衝突させて隕石落下を再現した。
そのとき起きた化学反応を分析したところ、DNAやRNA(リボ核酸)を構成する塩基2種類(シトシンとウラシル)、グリシンやアラニンなどのアミノ酸ができた。
生命に必要なアミノ酸などの有機物は宇宙からもたらされたとの説があるが、今回の実験は、有機物が存在しなくても、隕石の衝突によって生命のもとになる物質が生じた可能性を示している。
古川助教は「有機物に欠かせない炭素のもとは、二酸化炭素が海水に溶けた重炭酸と考えて実験した。隕石衝突が生命のもととなる物質の供給源だったと考えられる」と話した。 【去石信一】