米大統領選:クリントン氏失速 サンダース氏が支持拡大
毎日新聞 2015年08月19日 21時09分(最終更新 08月20日 00時54分)
【ワシントン西田進一郎】来年の米大統領選に向けた民主党の候補者指名争いで、クリントン前国務長官(67)の圧勝ムードが揺らぎつつある。「民主社会主義者」を自任するサンダース上院議員(73)が、中道寄りのクリントン氏に不満を持つリベラル層を基盤に支持を急速に広げているからだ。クリントン氏は全国規模の世論調査で差を縮められ、一部の州では先行を許している。
「この国は、すべての人たちのものだ。ひと握りの億万長者だけのものではない」。サンダース氏は15日、指名争いで初戦の党員集会が行われる中西部の重要州アイオワ州でのイベントで力説し、拍手喝采を浴びた。
サンダース氏は連邦議会で最左派のベテラン無所属議員。高額所得者への課税強化など徹底的な所得再配分を主張し、連邦政府の最低賃金を時給7.25ドル(約900円)から15ドル(約1860円)に引き上げることを主張する。党内リベラル派で待望論があったウォーレン上院議員(66)が立候補しないため、党員でなくても名乗りを上げられる指名争いで労働組合やリベラル層の支持を集めている。
一方のクリントン氏は長官在任中に私用のメールアドレスとメールサーバーを公務に使っていた問題が尾を引き、好感度は低下し続けている。勢いに陰りの見えるクリントン氏と、大規模集会を各地で開いて知名度を上げるサンダース氏の差が世論調査に表れている。
CNNテレビが19日に発表した調査では、民主党支持層におけるクリントン氏の支持率は7月下旬調査に比べて9ポイント下がり47%。逆にサンダース氏は10ポイント増の29%で、差が大きく縮まった。
また、指名争い第2戦の舞台となる東部ニューハンプシャー州の大学が11日に発表した州内の調査では、サンダース氏の支持率は44%で、クリントン氏の37%を抑えて首位に立った。3月の調査ではクリントン氏が47%で、ウォーレン氏の22%、サンダース氏の8%に大差をつけていた。
同州の調査結果には、サンダース氏の地元がバーモント州で、隣のニューハンプシャー州でも知名度が高いことやサンダース氏の勢いに注目する報道が調査直前に多かったことも影響したとみられる。
序盤の重要州で敗れれば、その後の展開に影響を与える可能性がある。民主党の候補者指名争いは混沌(こんとん)とし始め、大統領選への対応を明言していないバイデン副大統領(72)への待望論も出ている。