GDP:年率1.6%減 4〜6月、3四半期ぶりマイナス
毎日新聞 2015年08月17日 08時56分(最終更新 08月17日 18時35分)
内閣府が17日発表した2015年4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%減、この状況が1年続いた場合の年率換算で1.6%減となり、14年7〜9月期以来、3四半期ぶりのマイナス成長だった。日本経済は昨春の消費増税後の低迷から持ち直しつつあったが、輸出の大幅な落ち込みと個人消費の低迷などで、今春以降は足踏みしている状況が浮き彫りになった。
記者会見した甘利明経済財政担当相は「天候不順など一時的な要素が大きく、回復の見込みはかなりある。中国経済の動向は楽観はしていないが、中国政府が適切な政策対応を取ると期待している」と述べた。7〜9月期は、原油安やボーナス増額の効果などでプラス成長に戻るとの見方が多いが、中国経済の急減速などの波乱要因もある。
実質GDPの内訳を見ると、輸出は中国や東南アジア向けが落ち込んでいるほか、米国向けも増勢が弱まり、前期比4.4%減と6四半期ぶりにマイナスに転じた。最大の輸出品目である自動車が中国、中東、ロシアなどで減少、中国向けのスマートフォン用電子部品や米国向けの産業機械なども不振だった。中国と経済的なつながりが深いアジア各国の景気も減退し、生活用品などの輸出が大きく減少した。内需低迷で輸入も2.6%減少したが、輸出の落ち込みの方が大きく、輸出から輸入を差し引いた「外需」は成長率を0.3ポイント押し下げた。
GDPの6割を占める個人消費も0.8%減で、4四半期ぶりのマイナスだった。軽自動車の増税などで自動車販売が落ち込んだほか、初夏の気温が低かった影響などでエアコンや衣料品が不振だった。実質賃金が伸び悩む中、円安などに伴う食料品など生活必需品の相次ぐ値上げも、消費者の節約志向を一層強めた。
企業の設備投資は0.1%減と3四半期ぶりの減少だった。好調な企業業績を背景に、6月調査の日銀短観では大企業を中心に設備投資に積極的だったが、まだ実体経済を押し上げるほどの勢いはないようだ。投資の中身も、生産増強というよりは、これまで控えていた老朽化設備の更新が多く、力強さに欠けるとの見方が多い。
一方、住宅投資は1.9%増、公共投資は2.6%増だった。
サラリーマンや公務員などが受け取る給与・報酬の総額を示す雇用者報酬は、名目で前年同期比0.8%、物価上昇の影響を除いた実質でも0.7%増。実質は13年10〜12月期以来、6四半期ぶりにプラスに浮上した。堅調な雇用情勢などを反映した。
物価変動を反映し、より生活実感に近い名目成長率は前期比0.0%増、年率換算で0.1%増だった。【横田恵美】