写真広場
写真部のカメラマンが撮影した数々のカットから、お薦めのもう1枚を紹介します
【社会】ラジオ体操第3復活 ちょっぴりハードに健康づくり戦後のわずかな期間だけ放送され、幻となっていた「ラジオ体操第三」が、滋賀県内で復活した。「第一」「第二」よりもちょっとハードな動きが生活習慣病の予防などにぴったりといい、人気は県外にも広がっている。この夏には解説書やCDも登場。ブームは夏休みが終わっても収まりそうにない。 (杉浦正至) 「体側(たいそく)を伸ばす運動〜、大きくダイナミックに」。足踏み、屈伸、ジャンプに首回し。十一種類の動作がテンポの速いピアノ曲にのせてつるべ打ちに続く。三分ほどの行程を完璧にこなすと、汗ばみ、肩で息をするほどだ。 ラジオ体操は一九二八(昭和三)年、旧逓信(ていしん)省簡易保険局が昭和天皇即位を記念して「国民保健体操」を作ったのが始まり。 「第三」は四六年から一年半ほどNHKラジオで放送されたが、戦後の混乱に加え、「動作が複雑で音声だけでは覚えにくい」などの理由で普及しなかった。 復活のきっかけは、龍谷大(大津市)の安西将也(まさや)教授(公衆衛生学)が二〇一三年、同県東近江市から健康づくり事業への協力を依頼されたこと。日常的にできる強めの運動として、以前から存在だけは知っていた「第三」に着目。古いレコード音源や動作解説書を探し出し、同大の井上辰樹教授(運動生理学)と共に曲と動作を復刻した。 「第三」は適度な有酸素運動が続き、一分間の平均心拍数は一二七・七と、「第一」の一〇〇・四に比べて激しい。参加者同士が動作をそろえるのが難しいため、一体感が生まれる効果もあるという。 東近江市に隣接する多賀町は昨年六月に「第三」の庁内放送を始め、始業前に職員が心身をほぐしている。同町税務住民課主任の西村俊之さん(32)は「普段使わない筋肉を動かすので体がしゃきっとする。仕事のスイッチが入る感じ」と効果を実感する。東近江市も昼休みに市庁舎で「第三」を放送し、職員らが体を動かす。 両市町は指導者養成講座や体験教室を開き、市民にも浸透。安西教授の研究室には、県外の自治体や企業から問い合わせが相次ぎ、今年五月にDVD付き解説書、七月にはCDを発売した。 安西教授は「これぐらいの運動は、精神的にもいい作用がある。七十年たっても通用するすごい体操。老若男女の健康づくりの一助になれば」と話す。 解説書はKADOKAWA刊、税別千円。CDは日本コロムビア、税別千二百円。いずれも題名は「幻のラジオ体操第3」。 PR情報
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