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Listening:<安保関連法案反対運動>「最大デモ」の扱い、各紙で割れる

2015年09月07日

安全保障関連法案に反対する集会で、国会正門前の道路を埋め尽くす人たち=東京都千代田区で8月30日、本社ヘリから森田剛史撮影
安全保障関連法案に反対する集会で、国会正門前の道路を埋め尽くす人たち=東京都千代田区で8月30日、本社ヘリから森田剛史撮影

 8月30日の安全保障関連法案に反対する最大規模のデモについて、新聞の論調は大きく分かれた。全国紙の翌31日朝刊(東京本社発行最終版)は毎日新聞、朝日新聞が1面と社会面で大きく扱ったのに対し、読売新聞、日本経済新聞、産経新聞は社会面にとどめた。地方紙は、戦争被害が大きかった地域や自衛隊駐屯地のある地域を中心に少なくとも20社が1面トップとした。テレビはニュースだけでなく、情報番組やバラエティー番組でも取り上げた。【青島顕、日下部聡】

 ●全国紙

 8月30日のデモは雨が時折降る中、国会周辺に主催者発表で12万人、警察当局の把握で3万人が集まった。そのほか、全国300カ所以上で行われた。

 毎日は1面2番手で「安保法案 反対の波」の見出しとともに報じ、社会面は全国の世代を超えた参加者の声を見開きで伝えた。前日の法案賛成派のデモの様子も記事にした。

 朝日は「安保法案反対 最大デモ」の見出しで1面2番手に記事を置いた。2面では人々が国会に足を運ぶ理由を分析し、社会面は左側ほぼ全面を使って、著名人を含めた参加者の声を拾った。

 一方、読売は社会面で「安保法案『反対』『賛成』デモ」と、賛否双方のデモを対比させた。他の全国紙が国会上空から撮影した写真で、反対デモの参加者が密集する様子を伝えたのに対し、読売は地上で撮影した写真を賛成派デモの写真と組み合わせて使った。

 日本経済は「安保法案反対大規模なデモ」と1段見出しで伝えた。産経は「周辺、雨中騒然」とデモの様子を伝えたほか、中心になった学生団体「SEALDs(シールズ)」に焦点を当てて、警察関係者の話を交えて書いた。

 ●地方紙

 地方紙は30社以上が1面で取り上げた。米軍基地が集まる沖縄県では沖縄タイムスが「『戦争法案』ノー訴え」、琉球新報が「国会前12万人『反対』」との見出しで、ともに1面トップに据え、どちらも計7カ面を使い、社説でも取り上げた。ブロック紙の北海道新聞、中日(愛知県)・東京新聞、中国新聞(広島県)、西日本新聞(福岡県)も1面トップで扱った。河北新報(宮城県)は1面記事を受けた社会面で「震災で助けてくれた自衛隊員を戦場に送るな」との市民の声を掲載した。

 安倍晋三首相の選挙区である山口県下関市に本社を置く山口新聞も1面トップで「広がる安保廃案の声」との見出しを掲げた。京都新聞は1面2番手とし「民主主義の『質』を問う」との社説を載せた。

 一方、北国(石川県)・富山新聞は2面に「全国200カ所超で反安保法案集会」との1段見出しで掲載した。北日本新聞(富山県)も2面での扱いだった。

 ◇バラエティーでも放送

 ●テレビは34番組

安保法案反対デモを放送した番組
安保法案反対デモを放送した番組

 テレビはデモをどのように伝えたのか。8月30、31日の2日間、関東地区のNHK総合と民放キー5局(地上波)について調べたところ、全局の少なくとも計34番組が、計2時間30分47秒にわたって放送していた。各局とも朝から深夜まで、ニュースだけでなく情報番組やバラエティー番組でも扱っており、デモが幅広い層の関心を集めるテーマになっていることをうかがわせた。

 番組は、参加者へのインタビュー、坂本龍一氏ら著名人の参加、公明党に異議を唱える創価学会員などを紹介する内容が目立った。

 放送時間ではテレビ朝日が54分38秒と最長だった。31日のニュース番組「報道ステーション」とバラエティー番組「ビートたけしのTVタックル」の影響による。「報ステ」は海外メディアの反応なども盛り込んで11分34秒にわたって放送した。「TVタックル」は学生団体「SEALDs(シールズ)」への密着取材を18分38秒伝えた。

 TBSのニュース番組「NEWS23」は31日、6分52秒をかけた。

 NHKの放送時間は22分39秒だったが、うち半分以上の14分16秒を31日夕方の「ニュース シブ5時」での特集が占めており、他のニュース番組の扱いは法案審議を巡る動きと絡めるなど控えめだった。「シブ5時」は、40〜50代女性に法案への反対が多いことに焦点を当てて伝えた。

 民放の情報番組では、「モーニングバード」(テレビ朝日)で、安保法案に理解を示すタレントの石原良純さんが「デモを通じて情報発信するのはいい」とコメントした。

 分析に際しては、全録レコーダー「SPIDER(スパイダー)」(PTP社)を使った。

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 ◇全国紙・ブロック紙の扱い

毎日新聞      1面2番手、社会面

読売新聞      社会面

朝日新聞      1面2番手、2面、社会面

日本経済新聞    社会面

産経新聞      社会面

北海道新聞     1面トップ、社会面

河北新報(宮城)  1面中央、2面、社会面

中日・東京新聞   1面トップ、2・3面、社会面

中国新聞(広島)  1面トップ、2・3面、社会面

西日本新聞(福岡) 1面トップ、2面、社会面

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