2015年9月4日18時00分
■脱北者の証言:55 男性(21) 2012年2月に脱北(同年5月に韓国入国)
――脱北を決意したきっかけは。
咸鏡北道の清津(チョンジン、北朝鮮北東部)の出身。陸軍に入りたかったが失敗した。親戚が中国に住んでいると陸軍には入れない。自分の思い通りにならず、高校卒業の2カ月前に脱北した。韓国で暮らしたいと思った。
――どのように脱北したのですか。
家族には言わず、ひとりで川を越えて中国に渡った。両親が知ったら行かせてくれないから内緒で。
――北朝鮮の暮らしぶりはどうでしたか。
北朝鮮には両親と姉がいる。4部屋ある一軒家に暮らしていた。水はよく出たが、電気はいつも来るわけではない。金を出して電気を24時間分買っても、16時間とか12時間になるときもあり、脱北直前には3時間来ればいい方だった。大便器は家の中にはなく、くみ取り式で外にあった。
――医療態勢はどうでしたか。
気管支の持病があり、脱北する2カ月前に病院に行ってX線を撮った。診療は無料だったが処方箋(せん)だけもらって、薬は自分で買えと言われた。市場では薬の販売が禁止されていたので、個人で売っているところで母が買ってくれた。
◇学校でガンジーや仏教を学ぶ
――どのような教育を受けていたのですか。
1クラス40人で出席は35人ほど。残り5人は病気で出てこなかった。中学校は数学、英語、国語、金日成と金正日の歴史、朝鮮史、世界史、物理、化学を学ぶ。中学4年からは心理学も。金日成の歴史は幼稚園のときから習う。
――女性の教育はどうですか。
昔は、女が勉強して何になる? と言われたが、今は違う。女性の方が勉強ができる。ひとまずは大学に行くため。実際に多くの女性が幹部登用されている。友人の母親も幹部になった。
――世界史では何を学ぶのですか。
米英仏に加え、インドのガンジー、ロシアのレーニンやスターリン、中国は清の歴史などについて学ぶ。
――宗教はどのように教わるのですか。
キリスト教はローマを学ぶ課程で出てくる。詳しくは教わらない。聖書についてもよく知らない。仏教は少し詳しく、釈迦の話も出てくる。ただ北朝鮮では神を信じない。北朝鮮で「神がいる」というと「おかしなことを言う」と笑われる。
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朝日新聞国際報道部
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