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<携帯販売>抱き合わせ「レ点商法」やめられない理由

毎日新聞 9月6日(日)9時30分配信

 ケータイ買い替えで、オプションサービスや、アプリの契約を勧められることが多い。割引の条件として、半ば強制的に契約させられるケースもある。いわゆる「抱き合わせ」的販売だ。苦情の多いこの問題商法を、携帯業界はなぜやめられないのか。野村総研上席コンサルタントで、情報通信政策に詳しい北俊一さんが業界のウラ事情を解説し、利用者に対して「使わないオプションはすぐに解約を」と呼びかける。

 強制ではなく、「消費者からちゃんと承諾を得ていますよ」という証拠を残すため、契約書類の□マークに、説明したことを示すチェック「レ」を入れることから、“レ点商法”とも呼ばれている。この「抱き合わせ」的販売は、2014年度下期にエスカレートして苦情相談が増加し、問題視されて若干下火にはなったが、量販店や併売店を中心にいまも続いている。

 ◇「アプリ付け率」で競争させられる販売店

 それらのオプションサービスは、お試し期間として30日間無料のものが多い。このため、「必要なければ30日以内に解約すると1円もかかりませんよ」というスタッフのトークにつられて、契約してしまう。しかし、結局使わずに料金だけ支払っている利用者はかなりの数に上るだろう。

 日本の大手通信事業者3社は、使われずに支払われているサービスやアプリ代金で一体どれだけの収益をあげているのだろうか。おそらく数千億円は下るまい。

 なぜ、このような「抱き合わせ」的販売をやめられないのか。その背景には二つの要因がある。

 一つは、どんな良いアプリでも、使ってみなければ良さが分からないという考え方があること。もう一つは、通信事業者がショップや代理店を評価する指標の一つに、アプリの「付け率」(ケータイ販売数に対するアプリの付与率)があるため、とにかく付けまくらなければその高い目標をクリアできないことがある。

 [使ってみなければ分からない]ということが、誰彼かまわずアプリを売りつける言い訳になっているのだ。使われずにお金だけを支払っているユーザーは、本当に“いい”お客さんだ。

 ◇総務省研究会も「抱き合わせ」的販売を問題視

 最近は、さすがに付け率だけでなく、利用率(短期解約によるペナルティー)も、ショップや代理店に対する評価指標に入るようになってきた。すると、販売現場では「30日以上使ってください。その代わり500円のクオカードを差し上げます」といった売り方が登場するなど、まさにイタチごっこだ。

 筆者もメンバーとして参画した総務省「ICT安心・安全研究会」は昨年12月に報告書を公表した。その中で「オプションサービスなどの契約の無料期間は、利用者にさまざまなサービスに触れる機会を提供するが、まったく利用がないオプションサービスは無料期間終了後も自動継続され、課金される場合がある」と問題提起した。

 そして、「オプションサービスについては、例えば、無料期間終了後に一度契約を終了するなど、利用意思を確実に確認する取り組みを推進することが適当であると考えられる」と提言した。

 これを受けて、各通信事業者は、契約書面や契約案内メールにアプリの無料期間終了日を掲載したり、無料期間終了前にEメールで継続意向を確認したりするといった取り組みを始めているが、とても十分とはいえない。

 ◇誠実な販売店を探し、必要なアプリだけを付ける

 そもそも、ショップスタッフが客との会話を通じて、使えば喜ばれるであろうアプリを紹介し、使われていないようなら解約までサポートする、そうなれば、通信事業者と代理店、利用者の3者がウィンウィンとなる。そのようなショップは少数だが存在する。量販店は、基本的に販売機能だけでアフターサポート機能がないため、そのような売り方は期待できそうもない。

 通信事業者には、ショップや代理店を付け率ではなく、実利用者数(あるいはその増加数)や、稼働顧客数に対する実利用者比率などで評価する方法を、ぜひ検討してほしい。

 そして、私たち消費者に今できることは、抱き合わせ的な販売を強いるお店からは絶対にケータイを買わず、必要なオプションサービスやアプリだけを薦めてくれる誠実なお店から買うこと。そして、使わずに料金だけを支払っているオプションサービスやアプリを、即刻解約することだ。

最終更新:9月6日(日)9時30分

毎日新聞

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