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 宇宙飛行士の油井亀美也さんが滞在中の国際宇宙ステーション(ISS)。日本の存在感は増しつつあるものの、さらなる成果を求める声は大きい。日本は2020年まではISS計画に参加することが決まっているが、その後はどうするのか。年内にも決まる参加延長の是非は、今後の宇宙開発にも大きな影響をあたえる。

■政府内、成果求める声

 8月24日夜、日本の無人補給船こうのとり5号機がISSに到着した。ISSに長期滞在中の油井さんがロボットアームを操作してつかまえ、地上では先輩にあたる若田光一さんが通信の責任者を務めた。スムーズな作業で、予定より20分ほど早かった。

 昨秋以降、米ロの補給船が相次いで失敗し、プレッシャーもかかっていた。「チームジャパンで成功させたことは、我が国の技術力の高さが改めて確認された」。担当の下村博文文科相はこう強調した。

 こうのとりを載せたH2Bロケットも5機連続で成功。H2Aと合わせると27機連続で、主力ロケットの安定感も増してきた。

 ISS計画は、冷戦末期に米国の提唱で始まった。その後、ロシアなど15カ国が参加し、国際協力のシンボルに。1998年に高度約400キロの軌道上で組み立てが始まり、2000年からは常に宇宙飛行士が滞在している。

 当初、日本の存在感は薄かったという。しかし、09年に実験棟きぼうを完成させ、こうのとりの連続成功などで急速に実績を積んだ。5カ国・地域しか保有していない補給船のランデブー技術もその一つだ。

 ただ課題も抱えている。米ロをはじめ国際的にはISSを24年まで使う方針だが、日本は20年までの参加しか決まっていない。文部科学省は「宇宙先進国としての地位を維持するために必須」と延長を求めているが、政府内の合意はまだ得られていない。