変な仕事と関係ないようなあるようなワークショップにいって来た。
講師は自分の仕事をストイックに愛している変人とてもユニークなひとで、前回すぐにfacebookをidを聞いてふだん何をしているのか読ませてもらっていた。特にのろけを書いているわけではないんだけど、奥様が大好きなんだなあ・・・と行間のはしばしから感じられてさらに好感を持った。ワークショップでもすこし奥様の話が出たので、終わってからなれそめなどうかがった。
「妻はいいですよ。僕をおもしろがってくれるんです。面白がってくれないとつらい。前の彼女は僕をおもしろがらなかった。『もっとかっこいい服を着て』とか言って」
「いまみたいな服じゃなかったんですか?」
「いや、こんな感じでした。でももっとかっこよくなってほしかったみたい」
わかる。彼は長身で顔立ちも悪くない。でもちょっと話せば誰でもすぐにこの人が万人受けする二枚目でないことがわかると思う。元彼女は「素材はいいんだからこことあそこをなおせば」と思ったのだろう。リノベーション希望者だ。
わたしも「はてこさんはモテると思うんだよね。化粧を変えて、髪型を変えて、話し方を変えれば」と言われたことがある。でもたいていの人は化粧を変えて、髪型を変えて、話し方を変えればある程度モテ仕様になるんじゃないのか。とても好意的な笑顔で「豊胸すれば?」といわれたこともある。増改築可能物件か。*1
見た目を工夫してで雰囲気を変えるのは、人気物件に手が届かない人に、それ風にリフォーム増改築したお手ごろ物件をすすめるのと似ている。難あり物件をいじって洋館風、日本家屋風にするように、美人風、セレブ風、アイドル風、イケメン風の容姿に見せる。劇的ビフォー・アフターだ。
でも今風の建売より古民家を面白いと思う人もいるし、ガウディの教会がすばらしいと思う人もいる。さかなくんが魚の話をするのをやめて、変な帽子を被るのもやめて、普通の話し方をしていたら、もっと女性に惚れられていただろうか。もしかしたらそうかもしれない。でもそんなのさかなくんじゃないよね。
わたしはむき出しの自分をありのままに愛してくれる人を探すべきだとは思わない。ただ自分を磨くことと、自分を作り変え、覆い隠すことは違うことだと思う。
モテ指南は一律人をよく似た感じにフランチャイズ化してしまう。理想のイメージに近い人の中から予算内で手が届きそうな人を探している人は、似た感じの人の中から少しでもいいと思うほうを選ぶ。わたしはそんな土俵に上がっていい思いが出来るとは思えなかった。化粧と服と言動を変えて、豊胸しても、本物の美人や本物のかわいこちゃんや本物の大和撫子に適うわけがないし、それを貫き通すに値するようないい思いが出来るとも思えない。そりゃ独裁者の寵愛を受けないと拷問にあって殺されるとかなら別だけどさ。*2
それで講師がリノベーションを断り、憧れの女性を奥様として迎え、面白がられて暮らしていると聞いて親近感を持った。さかなくんの奥様もおしあわせなことだろう。もちおも妻をおもしろがっている。リノベーションよりメンテナンスだよ。傷ついたところは修復復元して、本来のよさを取り戻すんだ。