-第一章-
「アルト、これよりお前を援護するっ!」
VF-27ルシファーに乗ったブレラは、敵の包囲網に囲まれたアルト
を救出。その後いきなり無線越しにこう言い放ってきた。
「ぶ、ブレラ!?」
「お、お兄ちゃん!?」
VF-25メサイヤに乗っていたアルト、そしてマクロスクォーターにい
たランカも同時に驚いた。グレイスの呪縛から逃れたブレラは
、
アルトと一緒に戦う決意をしていたのだ。
「いいかアルト!バジュラの頭を狙え!バジュラは腹で物を考える」
援護に回りながら、ブレラは的確な指示をアルトに出す。
「バジュラは…お腹で歌うんだよ!アルトくん!」
クォーターにいるランカも、アルトに向かってヒントを出す。
「お腹…そ、そうかっ!!」
VF-25は反転してバジュラクィーンの放つフォールド断層に向かった。
ブレラもアルトの背中を守るように、一緒に断層に突っ込んでいく。
「お前らに縛られててよく解った…人は…どこまで行っても一人だ!」
ブレラの突然の裏切りに、バジュラクィーンの中にいたグレイスも
当然のごとく反論の言葉を述べた。
「だから…我らは…!」
だがそこにアルトの機体が突っ込んでいく。バジュラをただの
道具としてしか扱わなかったグレイスに向かって…
「人は…一人だから…だから、誰かを愛せるんだぁぁーっ!!」
この言葉を合図にブレラ、アルト両機はバジュラクィーンに向かって
最後の特攻を駆けた。まるで最初から打ち合わせでもしているかのように、
二人の機体は息のあったコンビネーションを見せる。
両側から敵のバトルギャラクシーのミサイルが飛来する。
だが今の二人の前には、そんなものはもはや通用しない。
御互い背中を預けるように、次から次へと飛来してくるミサイルを交わす。
そしてアルトはバジュラクィーンの頭部の下にロックオン。
クィーンと接続されているバイパスを、多数のミサイルポットで破壊。
「ぐ、ぐぅっ!!」
それがグレイスの最後の言葉だった。アルトはミハエル…ミシェルの
忘れ形見でもあるスナイパー用銃を、バトロイドの段階で即座に構えた。
そして…標準をグレイス単体に絞ってロック…
沈んで行くクィーンの頭部…そして、沈んで行くグレイスの声…
こうしてマクロス級最大の規模を持つアイランド…フロンティアは、
無事にバジュラ星へと強行着陸が出来た。犠牲も大きかったこの
戦いの中で、アイランド1、そして少しばかりの残りのアイランドが
星に降立てたのは、アルト、ブレラ…そして、シェリル、ランカ両方の歌姫の
力でもあった。そして…あの戦野から二日が過ぎていった。