安保法案反対:愛知で広がる「黙って抗議」 駅前立つだけ

毎日新聞 2015年09月06日 11時32分(最終更新 09月06日 11時49分)

安全保障関連法案反対のメッセージを掲げて立つ市民たち=愛知県田原市福江町堂前のショッピングセンター前で2015年9月5日、吉富裕倫撮影
安全保障関連法案反対のメッセージを掲げて立つ市民たち=愛知県田原市福江町堂前のショッピングセンター前で2015年9月5日、吉富裕倫撮影

 安全保障関連法案の反対運動の一つとして、駅前などの人が集まるところで黙ってプラカードを掲げて立つ「サイレント・スタンディング」が、愛知県東部の東三河地域で広がっている。ただ立つだけという簡単さが「話すのは苦手だが、いてもたってもいられない」という人の行動につながっているようだ。

 先月発足した市民団体「日本に平和を! 東三河市民の会」は5日、同県田原市内のショッピングセンター前など4カ所での「渥美半島縦断街頭行動」で、初めてサイレント・スタンディングを取り入れた。同会幹事の高先星吾さん(59)は「保守的な土地柄で、立っているだけで相当注目される」と効果を語る。

 同市福江町では、街頭に立つのは初めてという人も参加した。同市の介護福祉士、諸橋幸子さん(58)は「とにかく意思表示がしたかった。東京に行かなくても地元でできるのはうれしい」と話す。

 東三河でのサイレント・スタンディングは豊橋市の英語講師、杉浦俊一さん(63)が6月下旬、豊橋駅前でたった1人で法案反対のメッセージを掲げたのが始まり。その後「豊橋スタンディングの会」ができ、20〜50人が連日活動している。

 これに触発されたのが「人前で話すのが苦手」という同県新城市の長谷川喜一さん(66)。8月下旬に「これならできる」と市内で仲間と立ち始めた。この時の参加者は13人だったが、3回目の今月4日は24人にほぼ倍増した。

 高先さんは「立っているだけでも、法案反対の人は車から手を振ってくれたりする」と、法案の採決が近付く中、スタンディングを続ける。【吉富裕倫】

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