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福島・楢葉町 原発事故に伴う避難指示解除
9月5日 0時50分

福島・楢葉町 原発事故に伴う避難指示解除
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東京電力福島第一原発の事故で、福島県内に出された避難指示のうち、楢葉町のほぼ全域に出されていた避難指示が、5日午前0時に解除されました。原発事故に伴う避難指示の解除は3例目ですが、役場とすべての住民が避難していた自治体での解除は初めてです。
福島第一原発の事故で避難指示が出されている地域のうち、楢葉町はほぼ全域が原発から20キロの距離にあり、早期の帰還を目指す「避難指示解除準備区域」となっていました。
政府は、国による除染が終わるなど自宅に戻って暮らす環境がおおむね整ったとして、5日午前0時に避難指示を解除しました。原発事故に伴う避難指示の解除は、田村市都路地区と川内村の東部の一部地域に続いて3例目ですが、国の指示で役場とすべての住民が町ぐるみで避難した原発周辺の7つの町と村では初めてです。
避難指示の解除で、楢葉町では7300人余りの住民が住み慣れた自宅での暮らしを再開できるようになるほか、これまで許可が必要だった商店や企業などの事業が自由に行えるようになり、復興に向けた動きが活発化することが期待されます。
一方で、放射線への不安をどう解消していくかに加え、買い物や医療などの町の機能を4年半ぶりに再開させて、住民が安心して戻れる環境をどう整えていくかが大きな課題となります。
福島第一原発周辺では、今も9つの市町村、およそ7万人の住民に対して避難指示が出されています。政府はできるだけ早く元の生活を取り戻せるよう、除染を終えるなど生活環境がおおむね整った地域から、避難指示を解除していく方針です。

ろうそくに火をともし町の再生誓う

原発事故による避難指示が解除された福島県楢葉町で、復興への思いを込めて、およそ3000本のろうそくに火が灯され、住民たちが町の再生へ気持ちを新たにしていました。
この催しは、避難指示が解除された楢葉町の復興に向けた思いをろうそくの明かりに込め、住民の思いを1つにしようと町が開きました。役場の担当者や住民、それに県外から訪れたボランティアの大学生たちが4日夕方から町の総合グラウンドに集まりました。用意されたおよそ3000本のろうそくには、「笑顔あふれるならはが続きますように」とか「大好きな町楢葉」などと、避難を続けてきた住民たちの思いが、メッセージとして書かれています。参加した人たちは1本1本地面に並べ、震災後に楢葉町がキャッチコピーとしてきた「こころつなぐならは」ということばをろうそくで作りあげ、日暮れとともに火をともして町の再生へ気持ちを新たにしていました。そして避難指示の解除の時刻となった午前0時には、松本幸英町長が最後の1本に火を灯しました。
松本町長は「すべての町民が避難した町としては、初めての解除なので、けん引役としても一歩一歩着実に復興に向けて取り組んでいきたい」と話していました。
いわき市に避難している63歳の男性は「うれしさと今後への不安が半々ですが明るく頑張っていきたい」と話していました。

被災地復興の「試金石」として注目

今回の楢葉町の避難指示解除は、今後の被災地の復興の「試金石」として注目されています。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で福島県内では多いときで11の自治体に避難指示が出され、去年から解除の動きが始まりました。初めて避難指示が解除されたのは去年4月、田村市の都路地区で、去年10月には川内村の一部の地区でも避難指示が解除されましたが、いずれも自治体の一部で、対象は合わせて600人余りでした。
今回の楢葉町は、避難指示の解除としては3例目ですが、対象は町のほぼ全域の7300人余りに上り、役場とすべての住民が避難していた自治体での解除は初めてのケースです。楢葉町では去年6月以降、役場の機能を段階的に元の庁舎に戻し、行政機能はすでに再開しています。一方、4年半近く町ぐるみの避難を続けてきたため解除の時点では町に医療や福祉のサービスを受けられる施設はなく、買い物のできる商店も少ないなど、住民が安心して帰還できる環境が整うにはまだ時間がかかるとみられています。
楢葉町の解除のあとも、福島県では9つの市町村で避難指示が出されていますが、現在、南相馬市と川俣町、それに葛尾村の3つの市町村が来年春の避難指示解除を目指しています。
また、政府はことし6月、放射線量が比較的高い「帰還困難区域」を除き、避難指示を再来年の平成29年3月までに解除する指針を閣議決定しています。
こうしたことから福島県では今後、各地で避難指示の解除が続く見通しで、楢葉町が、買い物や医療、それに教育や産業などといった生活の基盤をどう整備し、住民の帰還と復興を進めていくか関心が集まっています。

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