以前からオキシトシンの効果は指摘されていましたが、データが蓄積されてきたということでしょうか?
それにしてもあまりにもオキシトシンが魔法の薬のように扱われすぎているのが気になります。
どうも有名になったのはこの研究者がきっかけのようです。
ポール・ザック:信頼と道徳性、そしてオキシトシン | TED Talk | TED.com
この研究者は「ドクター・ラブ」の異名をとっているそうです。
オキシトシンが増えると 人はよろこんで財布を開け 知らない人にも気前が良くなります
騙される人の脳内でオキシトシンが分泌され つい財布を開け お金をあげてしまうのです
オキシトシンが相手への共感や信頼を生み、騙される原因ともなりうるほどのパワーを持っているということなのでしょう。
しかしながら、これに対する反論もあります。
モリー・クロケット「でたらめ神経科学に気をつけろ」 | TED Talk | TED.com
前にも記事に書きましたが、2つ目の動画では次のようなことが指摘されています。
オキシトシンの増加が 嫉妬を強めたり 人をあざ笑う気持ちを 強めるという研究もあります オキシトシンの増加が 自分の集団のために 他集団を犠牲にする傾向を強めることもあります 時には オキシトシンが協力し合う気持ちを 減少させることもあります
つまり、オキシトシンは道徳的な行動の原因にも、不道徳な行動の原因にもなりうるというのです。
そもそも、オキシトシンによって行動が好ましくなるとされている発達障害の人たちをどう扱うかにもオキシトシンが影響していると可能性があることがこの指摘から考えられませんか?
オキシトシンを万能視する状況は、なんだかSSRIを魔法の薬扱いしたときとソックリに感じます。
こちらもそもそもということがあって、日本で魔法の薬扱いされていた時、欧米ではすでにSSRIの危険性は指摘されていたのです。
同じような事にならないと良いのですが。
蛇足ですが、NHKでは以前、iPS細胞を発見した山中教授が出演したNHKスペシャルでドクター・ラブ氏の研究を紹介していました。
しかし、オキシトシンの負の要素については全く触れていなかったと記憶しています。
最近のNHKで気になるのは右に寄っているとか政府に配慮しているかよりも、わかりやすい結論しか提示しなくなってきていることです。
BSプレミアムで放送していた「幻解!超常ファイル」という番組があります。
もともとの放送では前半は不思議なことも実は科学的に説明できることや、明らかな詐欺であるということが示されますが、後半にはまだ科学ではわからないこともあるとする事例も取り上げていたりしました。
しかし、地上波では放送時間が短くなった関係もあり、前半の全てがインチキか科学で説明できることだけであるかのような内容に変わってしまっていました。
NHKはうつ病治療の問題や問題のある状況が変わりつつあることも伝えていますが、もう少し一方に片寄らない、物事を単純化しない番組を作って欲しいです。
結局、そういった単純なわかりやすさを求める番組の作り方は、クローズアップ現代のやらせ問題にも繋がるのではないかと思います。