(刑事)今日はわざわざどうもありがとうございました。
(亀山薫)うちの一課の方からまた連絡が行くと思いますので。
(2人)よろしくお願いします。
はぁ〜腹減ったなぁ。
ちょっとあんた!
(小見山勇司)…なんすか?何やってるの?警察に用事?何もしてないよ…。
あんた誰よ?こういう者だけど。
何やってるの?あんた刑事か?刑事だよ。
おおっ…なんだなんだお前!?あんた刑事か?ああ…すいませんこんな時間に。
(杉下右京)構いませんよ。
こいつが電話で話した小見山勇司です。
君に自首してきた方ですね?はい。
よし行くぞ!人を殺したとか…?ええ。
しかも20年前に。
当時犯人の正体すらわからなかった事件ですねぇ。
本当にあなたがその事件を?20年前ですから5年前に時効が成立していますね。
民事の時効もひと月前に成立してます。
つまり法律ではもう裁けない…。
ええ。
しかし謝罪の気持ちがあるのですね?…小見山さん?おいだから俺に自首したんだろ?それとも酔った勢いで自首してしまった?違うよな?俺…誰かに狙われてんだよ。
え?助けてくれよ…。
何言ってんだお前は。
狙われてるってお前…誰に狙われてんだよ?おい!
(一同)おはようございます。
(内村警視長)犯人に間違いないのか?
(中園警視正)間違いありません。
(三浦信輔)当時の捜査資料を洗いました。
奴の供述と完全に一致してます。
(伊丹憲一)それも犯人しか知らない事実で…。
自首したのは何時だ?
(芹沢慶二)昨夜の10時頃特命係に…。
またあいつらか!?どうしましょう?正式に取り調べろ。
するんですか!?自首した者をしないわけにはいかんだろう?しかし取り調べても20年も過ぎてます。
刑事も民事も法的には…。
記者発表用だ。
このまま帰して後でバレたらどうする?
(一同)はい。
(三浦)自首しといてだんまりか?当時坪井里子さんを殺した動機を訊いてんだよ。
(芹沢)もういいじゃない時効なんだからさ。
(三浦)被害者と面識があったかどうかぐらい訊かせろよ。
おい!だったらお前なんで自首してきたんだ!?狙われてんだよ俺…。
(三浦)らしいな。
聞いたよ。
誰に狙われてるの?それはわからないんだ…。
おい!お前まだ酔ってんじゃねぇのか!?ずーっと人目が気になってね…。
そりゃ20年も逃げてりゃ気になるだろ。
違う!何が?気になったのは最近だ…。
え?最近?ひと月ぐらい前から…。
訳わかんねぇなあ!きっと俺を殺そうとしてんだ。
だから誰が?わかんねぇんだよ!お前逆ギレ出来る立場か!?
(三浦)「なるほどな…。
それで怖くなって自首したか」
(小見山)「ああ頭がおかしくなる」
(三浦)「それが罪悪感だ」
(小見山)「罪悪感…?」
(三浦)「お前みたいな奴にもあるんだよ」
(伊丹)「謝れよ遺族に!」
(小見山)「許しちゃもらえない」
(芹沢)「罪悪感和らぐかもよ」
(小見山)「そんな事したら俺はどうなるんだよええっ!?」「遺族に会ったら俺の顔とか勝手に発表されて…」「ハハハ…町歩けなくなるじゃねぇかよ!」それだけの事したんだろうが!「一生冗談じゃねぇ!」
(伊丹)「お前なぁ…一生謝り続けなきゃならない罪も…」
(伊丹)「何やってんだよお前!」
(小見山)「もういい!」「おいお前待て!」
(小見山)「離せよ」
(三浦)「何!?」「もう俺を捕まえられないはずだろ?」
(小見山)「たとえ俺を送検出来ても絶対に起訴はされない」
(芹沢)「でもあんたが自首した事はマスコミに公表されるよ」
(小見山)「だが俺の名前や顔は公表出来ない」
(芹沢)「よくご存じで」
(小見山)「公表したら違法だもんなぁ」
(伊丹)「法律破ってでもしてやりてぇよ!」「そんな事したら告訴してやる」「俺はもう罪人じゃないんだよ!自由なんだよ!」
(小見山)「自由なんだよ…」「ここを出るのも…自由だ!」
(3人)「おい待てよ!」
(小見山)「離せよ!」
(3人)おい待てよ!おい!待てこらぁ!!どけよ。
お前本当に謝る気ねぇのか?あ?遺族に謝罪する気はねぇのかって訊いてんだ!そんなつもりなら20年も逃げなかったよ。
待てこの野郎!この…!
(つばを吐く)なんだよこんな事していいのか!?告訴するならすりゃあいいだろうが!フッ…それが狙いか?そんなバカな事はしねぇよ。
なんだとこの野郎!
(机を叩く音)
(角田六郎)おい。
あれ右京さんは?…俺に訊くなよ。
ならいいっす!ああ…一課の二係。
二係?そう。
昔の事件の継続捜査してる部署。
恐れ入ります。
当時殺害された女性はまだ高校生…。
(港功)坪井里子17歳でした。
よく覚えてらっしゃいますね。
仕事ですから。
この事件はこれを見れば大体の事はわかります。
どうぞ。
ありがとうございます。
(記者)もう一度お願いします。
(内村)だから20年前の面影橋女子高生殺人事件です。
(記者)「その犯人が自首したって事ですよね?」
(内村)「先程からそう言ってます」
(記者)「でももう時効成立してますよね?」
(内村)「残念ながらそういう事になりますね」自首した犯人の名前は?それは公表出来ません。
以上!
(奥寺美和子)ちょっと待ってください!
(美和子)「今後に向け何か対策は立ててるんですか?」
(食器が割れる音)
(坪井貞一)幸子!?幸子!幸子…。
これを小見山がやったんですね。
すごいですねぇ港さん。
は?500人体制の捜査本部だったんですねぇ。
ええ…そのようですね。
にも関わらず犯人の目星すら付かなかった…。
被害者の彼女に目立ったトラブルがなくて…。
被害者坪井里子さんに目立ったトラブルはなかった…。
ええ。
その事実はどの調書に書いてありました?ああいや…。
当時の捜査員共通の印象っていうか…。
つまり20年前あなたはこの事件の捜査員だった?…私が刑事になるきっかけになったヤマです。
そうでしたか。
(大久保康雄)その事件ならもう終わったろ?…終わった?こうして夕刊にもなった。
本当に終わったと思ってますか?何が言いたい?キャップ私この事件を特集してみたいと思うんですけど。
特集ってこれ以上警察突いても犯人の素性は明かしてもらえないぞ。
そういう決まりだ。
過ぎた事件は忘れて今の事件に全力を注げ!
(大木刑事)被害者遺族?
(小松刑事)ほら例の時効の…。
ああ…。
けどなんで特命係に?たらい回しにされてきたんだよ。
(小松)都民相談コーナーから刑事部回って。
昼間ニュースで見ました。
そうでしたか。
教えてください。
里子を殺した犯人を!残念ですがそれは…。
教えられない。
何度も聞きました。
復讐殺人を防ぐために絶対に教えられないと。
加害者の親類縁者の人権を守るという理由もあります。
被害者は守ってもらえないというのにですか?…理不尽だとは思いますが非常に残念です。
妻が倒れました。
…え?犯人の自首を知って…。
付いていらっしゃらなくてよろしいのですか?今病院ですぐに帰れると…。
そうですか。
すぐに帰る…。
あの日も妻はそう言って家を出たんです。
(坪井幸子)里子買い物に行ってくるわ。
(坪井里子)お母さん帰ってきたら話があるの。
いい話!何かしら楽しみだわ。
じゃあね。
いってらっしゃい。
(貞一)高校生だった里子は希望していた会社に就職が決まったばかりでした。
いい話とはその事だろうか?それとも恋人でも出来たんだろうか?そんな事を考えながら…。
(貞一)妻は急いで家に帰ったそうです。
(悲鳴)
(貞一)結局里子は何を話すつもりだったのか…。
(貞一)どうして殺されなければならなかったのか…。
私たちは今でもそんな事ばかりを考えているんです。
娘が殺された1週間後妻が手首を切りました。
私が仕事に出ている間に…。
ではご主人がそれを見つけて?近くの交番のお巡りさんがちょうど巡回に来てくれて…。
でもあの時死んでいればよかった…。
え?妻は今でも時折そう言います。
そんな妻に私は何も言えないんです。
この20年ずーっと何も言えないんです…。
犯人の名前は…。
お教え出来ません。
残念です。
…また来ます。
坪井さん。
何度でも来ます。
(ピアノの演奏)何なんすかねぇ時効って…。
時効の根拠ですか?ありませんよねそんなもの。
時間の経過で捜査が困難になり冤罪を作りやすくなる…。
そんなの捜査側の都合ですよ。
犯人が長い間良心の呵責をもって暮らしていた場合実際に罰を受けたのと同じ状態になるとも言われます。
奴は遺族への謝罪を拒否したんですよ。
公表したら告訴するとまで言いましたねぇ。
奴は20年逃げ延びただけ…。
逃げ得ですよ。
しかしそれが現在の法律です。
(伊丹)おいこいつ小見山だぜ!
(三浦)どういう事だよ!?
(伊丹)時効犯が自首するなり殺されるって…。
(三浦)そういやこいつ狙われてるって言ってたよな?
(米沢守)監察医の先生の話だと頸部圧迫による窒息死だそうです。
(三浦)同じだな。
(伊丹)ん?20年前の女子高生殺しと手口が。
あじゃあ…。
かもしれねぇな。
(米沢)彼に娘を殺された親が復讐したって訳ですか?可能性はあるだろ。
手口が同じなんだから。
大変な事になったな。
だが1つ疑問が残る。
ああ。
どうやってこいつが20年前の犯人だと知ったか?記者発表では名前や素性は明かしてない。
おい!お前家に行ったのか!?…は?遺族の家だよ!昨日ここに来た…。
今下のロビーに来てる。
昨晩家に来た刑事に会わせろってな!行ったんですか?被害者遺族の家に。
はあ…。
なんて事してくれたんですか!?家の前で引き返しました。
遺族には会ってません。
見たんだな…そんなお前の姿を。
(伊丹)特命係のいつもいつも勝手な事をする亀山ぁ!ちょっとツラ貸せ!理由はわかってますよね?待ってください。
待てませんね。
亀山君が昨日被害者遺族の家を訪ねた件ならまず上司の僕が話を訊いてそれからにしてください。
そんな悠長な話じゃないんですよ。
(芹沢)小見山勇司が殺されました。
…え!?
(大河内春樹)坪井夫妻の家を訪ねたのは?…昨晩の9時頃です。
(大河内)家を出たのは?家には入ってません。
遺族にも会ってません。
自首した犯人の死亡推定時刻は何時ですか?
(内村)昨夜の11時から12時…。
俺が犯人教えたっていうんですか!?その後遺族が犯人を殺害する事は可能ですね。
いえ…ですから俺は昨晩遺族には会ってません。
会ったとか会わなかったではなく今言ったような事が時間的に可能だという事が問題なんです。
でも…遺族が小見山殺したっていうのは…。
真っ先に浮かぶ被疑者だ。
彼らは今日もうちに来てます。
犯人教えてほしいって。
カモフラージュかもしれん…。
今度という今度は本当に困った事をしてくれたな!
(三浦)いつかこんな事仕出かす奴だと思ってました。
そこまでバカな亀じゃねぇと思うけどな…。
でももし先輩が遺族に犯人教えてたら?殺人が起きてる以上大問題だ!問題の遺族今特命係に来てますけど。
またか…。
彼らが被疑者なら事情を訊くチャンスです。
…よし頼む。
(大河内)かなり厳しい処分になるでしょう。
処分の結果は3日後に出ます。
…はい。
いいですか3日後ですよ!私にはそれが精一杯です。
…また来ます。
あ!あなたは教えてくれますよね?いや…。
里子を殺した犯人。
それは…。
じゃあなんで昨晩家に来たんですか!?ちょっとよろしいですか?
(貞一)は?捜査一課の伊丹です。
芹沢です。
お2人にお訊きしたい事があるんですが。
お時間は取らせませんから。
(貞一)はあ…。
少しだけお話を。
(貞一)…はい。
どうぞ。
…おい!君がご夫婦に期待させてしまったのです。
そして彼らを被疑者にしてしまった…。
君の底の浅い同情心のせいです。
あのご夫婦にとってこの20年は何だったのでしょう?え?犯人が死んでしまった今娘さんはなぜ殺されてしまったのか?あの日母親に何を言おうとしていたのか?その真相は永遠にわからなくなってしまいました。
…無念です。
ええ…。
やり切れませんよ。
時効の前では無力ですね我々警察官は。
今我々に出来る事はあのご夫婦の容疑を晴らす事だけです。
…はい!
(大家)そうねぇ〜。
でも…なんでもいいんです。
小見山の事で気付いた事。
まあここひと月くらい少し苦情があったわねぇ。
苦情…というと?なんか夜中まですごい音で音楽聴いてたみたいで。
音楽?うん。
そう…それで管理人室に苦情がね。
(芹沢)何してんですか先輩?おいおい…手柄でも立てて汚名返上しようってかあ!?そんなんじゃねぇよ!この部屋からは小見山本人の指紋以外に2つの指紋が検出されました。
それから…。
こことですねあと…ここ。
指紋を拭き取った跡がありました。
慎重なのか杜撰なのかわからない犯人ですねぇ。
はい。
警部殿。
困りますねまた勝手に…。
いえもう用は済みました。
アリバイありませんでしたよ。
はい?あの被害者遺族。
…そうですか。
(鈴木隆)隣でかなり激しく言い争ってて…。
(伊丹)どんな事話してました?いやあ内容までは…。
(伊丹)その口論の相手どんな人だったかは…?おっさんでしたね。
どうしておっさんだと?入って来るなよお前は!押すなよこの野郎!
(伊丹)でどうしておっさんだと?ああ…見たんで。
見た!?あんまりうるさかったから。
(伊丹)いつです?そのおっさんが帰る時ここから覗いたんですよ。
何時頃ですか?夜11時頃でしたね。
(伊丹)死亡推定時刻と一致するな。
ええ…。
そのおっさんこの人では?
(鈴木)いや違いますね。
え!?…確かですか?ええ。
(米沢)ガイ者の部屋から見つかった2つの指紋に前科前歴はありませんでした。
そうですか…。
(ノック)…どうも。
また警察?すいませんね何度も。
今大切な時期なんだけど。
え?司法試験の一次受かったばっかりで。
では3か月後には二次試験ですね。
だから一分一秒惜しいんです。
ああ…すぐ終わらせるからね。
やっと静かになったと思ったのに…。
ああなんか隣うるさかったみたいね。
ひと月くらい前から大音量でレコードかけてて…。
レコードを?夜中まで。
そのお隣さんだけども訪ねてくる人とか結構いた?見た事ないけど。
管理人も同じ事言ってましたね。
近所付き合いもなかったみたいだって。
あなたもですか?え?お隣と近所付き合い?殺されるまで隣の人が「小見山」って名前だった事も知りませんでしたよ。
そうですか。
来客はほとんどなかった。
って事は…やっぱりこれ犯人の指紋ですかね?1つはそうでしょうねぇ。
…もう1つは?
(貞一)犯人の名前を教えてください。
(幸子)私…ずーっと後悔してるんです。
あの時私が里子を置いて出かけた事を…。
(幸子)そんな事ずーっと後悔してるんです…。
捜査一課の二係に?
(美和子)坪井里子さんが殺された1週間後母親が自殺未遂してるのよ。
ああ自殺未遂な。
(美和子)その事訊きに行ったんです彼に。
彼って?二係の港さんですね。
当時現場近くの交番に勤務していたらしくて…。
近くの交番のお巡りさんがちょうど巡回に来てくれて…。
私が刑事になるきっかけになったヤマです。
港さんだったんだ…。
その後署長推薦と刑事講習受けてこの事件の捜査本部に立候補したんだって。
やっぱり港さん力入ってたんですねこの事件に。
…そのようですねぇ。
(ヘリコプターの飛行音)
(ノック)…またですか?弁護士になっても警察を目の敵にしないでね。
この調子じゃお約束出来ませんねぇ。
…あ!やはりそうでしたか。
この人なんですか?ええ。
あの夜…。
(鈴木)隣から出てきたおっさん。
(港)おはようございます。
殺された小見山勇司の部屋から出た指紋です。
照合の結果あなたの指紋でした。
どういう事か話を訊かせていただけますか?話はこちらで伺いましょうか?勝手に鑑識使って指紋照合しましたね?港さんちょっと来てもらえますか?
(一同)おはようございます。
どうなってるんだ一体!?今監察官が取り調べを…。
被害者のアパートを訪ねた事は認めました。
指紋は一致してます。
まさか…。
考えたくはありませんが…。
うちの二係から殺人犯が出るって事か!?冗談じゃない!いつわかったんだそれは!?今朝特命係がそれを…。
…またあいつらか!どんどん状況が悪くなるな。
(中園)記者発表はどうしましょう?当然殺人の動機が問題になりますが…。
殺されたのが20年前の殺人犯だって事がバレるな。
はい。
我が刑事部が時効の成立した犯人を明かす事になる…。
それは俺のクビで済む話か?おい暇か?…んな訳ないか。
何か用ですか?そうそう下にお客さん。
客ってあの…?いつもの。
今日は奥様は?はあ…。
体の具合を悪くして家に…。
そうですか。
君は逃げる気ですか?せめて我々警察官だけは彼らのような人々から目を背けてはならない…。
そうは思いませんか?俺は…そんな強くなれません。
はい?さっき伊丹から聞きました。
何をですか?もうすぐ全部公になるそうですね。
全部とは?あの夫婦が知りたがってた犯人の名前もそいつが殺された事も…。
しかも殺したのは刑事かもしれないんですよ。
かつてあの奥さんを自殺未遂から救った刑事かも…。
それを知ったらあの夫婦はどうなりますか?きっと今以上に苦しみます。
だから彼らにはもう会いたくありませんか?…残酷すぎますよ!君はわかっていません。
…え?現実はもっと残酷なんですよ。
ずっと気になっていました。
これ港さんの…?ええ。
それで全て謎が解けました。
ああそういえばこっちは…?問題は誰が殺したかではなくなぜ殺されたかだったんです。
…え!?行きますよ。
(小野田公顕)さっき被害者遺族に会ってたよね?いつまで続けるのかな?ああいう事。
ああいう事といいますと?お前らしくないよね。
仕方のない事なんだよ。
そうでしょうか?警察の組織には限界があるんだから。
だとすれば時効という制度にも限界が来たのかもしれませんね?お前らしいね。
(大河内)二係にいるあなたなら可能ですね?先日自首した犯人が誰かを知る事は…。
彼の部屋に行きました。
何のためにですか?…遺族に謝罪させようと。
それを小見山勇司に強要したのですか?でもあいつは応じなくて…。
どんなに説得してもあいつは応じなくて…。
(内村)今監察官が事情聴取しております。
(ノック)
(ノック)
(足音)…またですか!?お買い物でしたか?確認したい事がありまして。
本当…怒るよ!殺された隣とは付き合いがなかったって言ってたよね?なかったよ。
じゃあ当然隣の部屋に入った事も…?ないよ。
何度も言わせんなよ!不思議ですねぇ。
何が?あなたは彼が夜遅くまでレコードをかけている事を知っていました。
そりゃあんだけでかい音で鳴ってりゃわかるよ。
それは演歌でしたか?はぁ?それともポップス…。
あジャズとか?クラシックだったよ。
確かですか?音楽には詳しくないけどそれくらいわかるよ。
ああ…そう言えばお隣にはクラシックのレコードがたくさんありましたねぇ。
…だろ?しかしそうするともう1つ疑問が出ます。
なんだよ…。
あなたはなぜレコードだとわかったのでしょう?は?確かに他の部屋の人たちも言ってたよ。
小見山勇司がひと月ほど前から大きな音で音楽鳴らしてたって。
しかしレコードだと特定したのはあなた一人だけですよ。
確かにお隣にはレコードプレーヤーがありました。
しかしそれは部屋に入らなければわからないはず。
…「言葉のあや」だよ。
言葉のあや?レコードだって特定して言った訳じゃない。
そうですか…。
人付き合いのないお隣の部屋にまだ1つだけ…正体不明の指紋があります。
え?どうでしょう。
あなたの疑いを晴らすためにあなたの指紋とこの指紋照合してみませんか?隣には一度も入った事がないんだよねぇ?…鈴木さん!す…すいません。
僕です。
ずっと殺してやりたいと思ってました。
…ずっと?こっちは勉強してんのに毎晩大音量で…。
それであの夜隣へ行ったのか?あなたがおっしゃってたおっさん港刑事が帰った後ですね?一言文句言ってやろうと思って。
それがどうして殺しになるんだよ!?訳わかんない事言うからだよあいつが!
(クラシック音楽)
(鈴木)ホントにすごいんですよ。
あのヘッドフォンで聴いて…。
(小見山)そんな生活はもうごめんなんだよ!何言ってるかわからない…。
こっちはずーっとそうやってきたんだよ!だからすごいんですよ…。
20年そういう生活してきたんだバカ野郎!
(鈴木)訳わかんねぇよあいつ…。
そんな奴のせいで全部パアだ…。
弁護士としての未来がパアだよ!あなたは弁護士になるべき人じゃなかった。
ただそれだけの事ですよ。
では…?発表する必要ないでしょう。
(大河内)殺されたのが自首した犯人だという事もですか?ええ。
20年前の事件については一切。
…いいんでしょうかそれで?犯人は刑事ではなく民間人だった訳ですから。
被害者も殺人犯ではなく単なる被害者にすると?いけませんか?
(内村)いやそうしましょう。
ありふれた殺人事件として発表するんですか?そういう事です。
しかし…。
それより服務規程を破り時効成立犯である小見山と会った港刑事の処分は?この場合懲戒処分が適当ではないかと…。
ああ…そうすると大事になっちゃうよ。
(小野田)だからここは辞令を出すだけにしない?
(小野田)所轄の交番勤務に戻すなんてどうかな?
(内村)では特命係の亀山の処分は?
(小野田)彼の場合はまあ今回のお手柄と相殺して1か月の減俸と3日間の謹慎なんてどうかな?
(内村)甘すぎませんか?だからほら…これが大事にすると…ね?
(内村)ええ…まあ今回は本当によかった。
ええ本当に。
(テレビ)「殺人の容疑で逮捕されたのは新宿区に住むレンタルビデオ店アルバイトの鈴木隆26歳で被害者の小見山勇司さんとはアパートの部屋が隣同士であり…」
(テレビを消す音)あなた。
うん…よしいくぞ。
おはようございます。
ああ帰ってください。
はい?君は今日から3日間の謹慎だそうです。
おい暇か?ちぇっ…隠さなくても知ってるよ。
いいねぇ。
暇な上に休みまでもらえて。
何か用ですか?ああ。
下にお客さんだから。
いつもの。
君は帰ってもらって構いませんよ。
いえ…。
同席させてください。
(貞一)明日妻が入院する事になりました。
そんなにお悪いんですか?今度いつ退院出来るかわかりません。
ですから今日が最後のお願いです。
(幸子)里子は17で殺されました。
生きてれば37です。
ええ。
子供もいたかもしれません。
ええ。
それなのに殺人の時効は15年。
(幸子)どうして民事でも20年なんですか?里子を殺した犯人を教えてください。
残念ですが…。
教えられません!申し訳ありません。
(貞一)どうして…!こんなに頼んでもダメなんですか!?こんなに頼んでも…。
すいません!
(貞一)わかってます…。
あなたが苦しんでいる事はわかっています。
わかっていますが…。
あの姿を我々は忘れてはいけません。
2015/09/02(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season3[再][字]
「ありふれた殺人〜時効成立後に真犯人自首!?」
詳細情報
◇番組内容
“警視庁一の変人”だが天才的頭脳で鋭い推理をみせる杉下右京(水谷豊)と“おひとよしな熱血刑事”亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑む!
◇出演者
水谷豊、寺脇康文 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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