生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
「くらしきらり解説」きょうは、こちらのテーマです。
突然の訪問販売や電話での勧誘販売についてトラブル防止策を検討している政府の検討会が先週中間整理をまとめました。
しかし焦点となっている勧誘そのものの規制を強化するかどうかを巡っては結論がまとまりませんでした。
担当は今井純子解説委員です。
今井さん、なぜ結論がまとまらなかったんでしょうか。
今井⇒ひと言で言いますと新聞などの事業者側の委員が規制の強化に猛反発したからなんです。
そもそも今、どういったことが議論されているかといいますと突然の訪問販売や電話勧誘販売を巡ってなんですけれども今の法律では消費者が一度いりませんと断った場合事業者が再び勧誘することは禁止されています。
ただ逆からいいますと不意打ちでも最初の勧誘は認められているわけです。
今回はこの最初の勧誘を規制するかどうか、この点について議論されているんです。
なぜここを規制しようとしているんですか。
といいますのも突然の勧誘を受けた結果住所や電話を知られているので怖くて断れなかったですとか解約したいけれど、なかなか応じてもらえないといった苦情相談が訪問販売、現場勧誘販売にいずれも年間9万件近く全国の消費生活センターに寄せられているからなんです。
これは多いですね。
特に深刻なのが認知症などで十分な判断がつかなくなったお年寄りの被害です。
被害の額が膨れ上がっているのに本人が気付かないという例も報告されています。
それは問題ですね。
そのため政府の検討会では最初の勧誘自体をもっと厳しく規制すべきではないかという意見が上がって検討しているんです。
ただすべての突然の勧誘を原則禁止してしまうのはやはり厳しすぎるのではないか。
そういう声もありましていわば折衷案として消費者側の委員から上がっているのがこうしたお断り制度という案です。
お断り制度ですか。
これが今、焦点になっているんですけれども例えば、訪問販売お断りというステッカーを玄関に貼っておく。
あるいは電話勧誘お断りの登録を政府機関などにする。
こういう制度を新たに法的に作ってこうした意思をあらかじめ示している家庭を事業者が不意打ちで訪問したり電話をかけたりして商品やサービスを勧誘することを禁止しようという考えなんです。
突然の勧誘はこういう人たちには禁止ということですね。
実際に電話では世界の多くの国でまた訪問についてもオーストラリアでは国の制度としてアメリカでは一部の自治体の制度として実際に導入されているんです。
でも今回、日本では結論がまとまらなかったわけですね。
暗礁に乗り上げてしまっている状態ですね。
それは、なぜなんでしょうか。
事業者側の委員の意見を見てみますと例えば、高齢者につけ込むような悪質な事業者ならともかく健全な事業者まで同じ規制を受けるのは納得できないという意見です。
そもそも事業者には営業の自由が認められていて実際飛び込み的な訪問や電話での勧誘が新たなお客さんを獲得するための基本になっている。
事業を続けていくために欠かせない方法なんだというんですね。
利用者について消費者庁が行った調査を見ても例えば過去に訪問販売で契約したことがあるという人のうち、およそ半数が契約してよかったまたは、よかったと思う場合のほうが多いと答えているんです。
それなのに健全な事業者まで規制を強化するということは納得ができないという意見なんです。
一方で消費者側の委員からはどういう意見が出ているんでしょうか。
消費者側の委員からは今検討されているお断り制度というのはわざわざ政府機関などに登録をしたりステッカーを貼ったりしてどのような商品どのようなサービスでも不意打ちの勧誘を私は受けたくない。
ベルを鳴らしてほしくない。
電話をかけてほしくないという明確な意思を示した人が対象でせめてこうした人、家庭を勧誘することは、やめてほしいという制度なわけです。
すべての人ではないということですね。
ですから営業の自由を全面的に否定するわけではないんだと。
また、そもそも悪質かどうかにかかわらず勧誘を受けるかどうかを決めるのは消費者自身の権利ではないかという意見も出ているんです。
またこちらの先ほど紹介した調査内訳を詳しく見てみますと契約した人のうち、もともと自分はなかなか勧誘を断ることができないという人に限って見てみますと62%以上の人、つまり3分の2近い人が今度は、契約しなければよかったあるいはそう思う場合のほうが多いと答えています。
ですからこういう人が事前のお断り制度を活用すれば事業者側から見ても不要なトラブルを防ぐことができるのではないかという意見なんです。
お互いにとっていい面がありますね。
ただ今、折り合いが立っていない状況です。
今でも訪問販売お断りというようなステッカーを貼っている家を見たことがあるんですか。
こちらは実際に熊本市、京都府が作ったお断りステッカーです。
市販のステッカーのほかに一部の自治体が条例でお断りステッカーの制度を導入する例が出てきているんです。
実際に、そうしたステッカーを貼った家では訪問販売が減ったという調査結果もあります。
ただ条例では、努力義務だったり罰則などの強制力がなかったりしてやはり効果に限界がある。
ステッカーを貼っても事業者が来てしまうという声もあるわけです。
そこで電話勧誘も併せて強制力を持った形での全国的なお断り制度これを法律で導入するのが必要だというのが消費者側の委員の考えなんです。
一方、事業者側も何もしていないわけではないんです。
新たな取り組みを模索する動きが一部出てきています。
訪問や電話での突然の勧誘を受けたくないという人が96%に達しているという調査結果があってこれを無視できなくなっているからなんですね。
具体的にどういう取り組みなんでしょうか。
例えば自動車の販売をする事業者の中からはイベントなどのアンケートで連絡先を記入してくれたお客さんに対してあらかじめ了解を取ってから勧誘をするようにしている。
またデパートでもお中元などの案内で電話がいやだというお客さんにはかけないことにしたという取り組みですね。
さらに新聞を販売する事業者の中からも、一部をお断りステッカーが貼ってある家には新規の訪問には行かないように指導しているとかお試しで新聞を配って納得してもらったお客さんを勧誘するようにしているといった取り組み例が出てきています。
あと一歩進めて、例えばお試しの新聞と一緒に関心があったら電話をくださいという案内を入れておくという方法も考えられます。
こういういいものであればいいサービスであれば、いろいろな工夫でお客さんを獲得することは可能だと思うんですね。
お断り制度今後どうなっていくんでしょうか。
この中間整理について親委員会の消費者委員会というところが内容をホームページで公開して今月いっぱい集中的な意見受付の期間として一般の方からも広く意見を受け付けることにしています。
消費者委員会、意見受付で検索すればいいんですか。
検索すると消費者委員会のホームページに行って具体的にどういう方法で意見を受け付けているか分かると思います。
私たちも意見を言えるわけですね。
ちなみに法律の名前は特定商取引法という名前です。
今後、政府の検討会はこういった形で出てきた意見を参考に今後、秋以降、検討を進めていくことにしています。
是非をめぐった意見の隔たりはまだまだ大きいんですが新しい取り組みを模索する事業者が増えていけば折り合う点はおのずから見えてくると期待したいと思います。
これからの高齢化社会をにらんで消費者目線で議論を進めていってほしいと思います。
今井純子解説委員でした。
次回は竹田忠解説委員と共にお伝えします。
2015/09/03(木) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「どうなる? 訪問・電話勧誘お断り制度」[字]
NHK解説委員…今井純子,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…今井純子,【司会】岩渕梢
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ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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