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福島・楢葉町 住民帰還の課題は
9月5日 6時28分

福島・楢葉町 住民帰還の課題は
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避難指示が解除された楢葉町では、役場やすべての住民が町ぐるみで避難したため、4年半近くにわたって、町の機能はほぼすべて停止していました。このため、町としての機能が回復し、住民が安心して暮らせる環境に戻るにはまだ時間がかかるとみられています。
大きな課題は生活環境の整備です。町役場は去年6月以降、段階的に町内の元の庁舎に戻し、これまでに町の行政機能は再開していますが、暮らしに必要な生活関連サービスはまだ整っていません。
震災前には、食料品などを扱う複数のスーパーのほか、ホームセンターや衣料品店などがありましたが、再開のめどは立っていません。現在、営業しているのは小規模な仮設スーパーとコンビニエンスストアの合わせて3店だけで、買い物の不便さを改善することが欠かせません。
また、医療・福祉の課題もあります。以前は町内にあった医療機関や福祉サービスを解除の時点で再開する施設はありません。町内では来年2月に県立の診療所が開所を予定しているほか、一部の民間事業者などもサービスの再開を検討していますが、介護が必要な高齢者を抱える世帯などからは、不安の声が上がっています。
治安面の不安の解消も大きな課題です。以前に比べ近隣の目が少ないとして、地域の防犯に対して心配する声も多く聞かれ、町では街灯の修繕や新たな防犯カメラの設置など、防犯対策の強化を進めています。
このほか、去年3月に国による除染が終了したあとも、自宅の周りなどで放射線量が十分に下がっていないといった「放射線への不安」や、子育て世代については、避難が長期化する間に、避難先ですでに新たな仕事に就いたり、子どもが学校に馴染んだりして、町に戻りにくくなっているといった事情もあります。
4年半もの長期間にわたって、ほぼすべてが停止していた町の機能を回復させ、住民が安心して暮らせる環境を整えるにはまだ時間がかかるとみられ、避難指示の解除で住民たちがすぐに帰ってくるかどうかは未知数です。

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