金曜プレミアム・浅見光彦パート52最新作・神苦楽島【国生み神話と連続殺人】 2015.09.04


(浅見)
日本の国土のほぼ中央に位置するこの淡路島は古来より日本発祥の地とされている
日本最古の歴史書『古事記』によると伊弉諾尊伊弉冉尊の二神が天の浮橋に立ち天の沼矛で海原をかき回しそれを引き上げるとその矛の先から滴り落ちた潮が固まり一つの島になった
それが淡路島である
伊弉諾尊と伊弉冉尊はその島におりてめおとの契りを結びやがて次々に島を生みこの国の礎をつくられたという
ここは言わずと知れた神秘と伝説の島なのだ
そんな島に僕がまるで何かに導かれるように訪れることになるとは…
そのときはまだ想像もしていなかった
なぜなら…
(浅見)世界一周旅行!?またあの飛鳥に乗れるんですか!?
(藤田)そうなんだよ。
この間浅見ちゃんにやってもらった飛鳥のルポが大好評でさ。
またぜひお願いするよ。
ねっ。
お願い。
うんうん。
ありがとうございます。
あっ…痛い痛い…。
編集長ありがとうございます!
(雪江)また豪華客船で今度は世界一周?まあいいわねうらやましい。
今回は特別企画で予算もたくさん出るそうなんです。
(須美子)坊ちゃま期待されていらっしゃるんですね。
いやいや…。
(陽一郎)だとしたらいつも以上にしっかり仕事をして編集長の期待に応えなくてはな。
はい兄さん。
(雪江)今度だけはね旅先でどんなことがあっても探偵まがいのことはご法度ですからね。
刑事局長の陽一郎さんに迷惑が掛かるようなことは絶対にしないように。
あっ。
それは決して。
今度ばかりは旅先では決して探偵まがいのことはいたしません。
お約束します。
トランクと圧縮袋はOK。
あとは会話辞典会話辞典…。
(悠理)うっ…。
どうしました?大丈夫ですか!?
(悠理)モスケ…。
えっ?モスケの…。
モスケ?何ですか?どういう意味ですか!?ちょっ…。
誰か!誰か救急車を!しっかり。
しっかり!で彼女の身元は分かったんですか?
(長谷川)ああ。
所持品の中にですね免許証と保険証があったんですぐに分かりました。
名前は中田悠理32歳本籍淡路島。
淡路島…。
(長谷川)現住所は中野区。
新宿の建設会社に勤めるOLです。
ああ死因は?詳しいことは司法解剖の結果待ちですが…。
おそらくは何らかの毒物による中毒。
ああそれと彼女が最期に口にした言葉…モスケでしたっけ?ええ。
僕の聞き間違えかもしれませんがどういう意味だったのか…。
(長谷川)モスケ…。
ああ…いやこの辺でやめておきます。
はっ?今回は僕は事件には首を突っ込まないんです。
いつもの浅見さんらしくないですね。
僕はあさってから仕事で海外に行くんです。
おおそうなんですか。
この後3時から編集部で打ち合わせなので。
ではこれで失礼します。
失礼します。
(伊藤)長谷川さん。
ガイ者が所持していた携帯電話の着信記録から最後に通話した相手が分かりました。
(長谷川)おおどんなやつだ?
(伊藤)三浦延之。
国土交通省の職員です。
(長谷川)国土交通省?ああ…。
(三浦)隠すつもりはありません。
(伊藤)と言いますと?
(三浦)お察しのとおり私と悠理は交際しておりました。
(伊藤)ってことはつまり不倫?悠理とは真剣に結婚を考えていました。
事実妻とは家裁で離婚調停中です。
調べていただければ分かります。
(伊藤)そうですか…。
(長谷川)とか何とか言って結局は痴話ゲンカの果てにってことじゃないの?フフフ。
(三浦)悠理はいったいどこで?
(伊藤)どこって…携帯の通話記録を調べました。
(伊藤)あなたの携帯から今日の12時7分に中田悠理さんの携帯にかけてるじゃないですか。
彼女が亡くなる1時間前です。
昨日携帯電話を紛失してしまったんです。
おいおい。
(伊藤)はあ?
(三浦)嘘じゃないです。
忙しくてまだ紛失届を出していなくて。
もう少しまともな嘘思い付かんのかね。
嘘っぽい嘘ほど真実ということも…。
(長谷川)あっ?はあ…。
あの…。
はい。
いいんですか?もう行きます。
もう行きます。
行かないと遅れる。
(三浦)私は…。
悠理との未来を真剣に考えていたんです。
(三浦)いつか故郷の淡路島で一緒に暮らそうって。
(長谷川)今回については任意ということですがいずれあらためてお話を伺うことになると思います。
あの1つだけお伺いしても?まだいた。
三浦さんモスケという言葉にお心当たりは?モスケ…。
さあ。
中田悠理さんが死の間際口にした言葉です。
私には分かりません。
見当もつきません。
(伊藤)はい。
うん。
ああそう。
司法解剖の結果が出ました。
胃の内容物からダイシノイドの成分が出たそうです。
ダイシノイド?ああ。
一般的な農薬などに含まれているものです。
ある程度の量だと飲んでも即効性はなくしばらく時間がたってから効き始め死に至る場合も…。
(長谷川)あの…。
大丈夫なんですか?打ち合わせ。
遅刻だ。
ああ遅刻だ!あ〜!うわ〜!ああすいません。
すいません。
打ち合わせ…。
すいません。
(藤田)申し訳ない。
いやいやこちらこそ申し…。
はい?申し訳ない。
ホント申し訳ない。
なっ…何ですか?いや実はさ急に予算が下りなくなっちゃってさ世界一周のあの…。
えっ?えっ?…なっちゃったんだよな。
えっ?いやだから世界一周の船旅は無期限の延期っていうことになっちゃったんだ。
延期…。
ごめんごめん。
編集長それはちょっと…これ。
いやいや…そうね。
その代わりと言っちゃあれなんだけどさ別の所に行ってほしいんだけど。
どこですか?淡路島。
淡路島!?
僕の腕の中で不審死を遂げた若い女性中田悠理
そして事件の秘密を握っているかもしれない国交省職員の三浦延之
そして2人の古里淡路島
僕はまるで見えない力によって事件に引き寄せられているような気がしてならない
これは僕の宿命なのだろうか?
ああ…いやいやあくまで『旅と歴史』の取材だ。
うん。
よし。
(シャッター音)うん。
あの獅子舞の横で踊っているのは?
(宮司)あああれは茂助という踊り手役ですわ。
モスケ!?
(宮司)はい。
モスケの意味が分かりました。
獅子舞の踊り手さん。
淡路出身の人間ならたいていは知ってるそうです。
なのに淡路生まれの三浦さんは知らないと言った。
《私には分かりません。
見当もつきません》やはり三浦さんは嘘をついていたんです。
結婚の約束までしていた中田悠理さんが必死の思いで残したダイイングメッセージなのにそれを知らないと嘘を…。
(長谷川)やっぱりね…。
もう一度三浦さんを呼んで詳しく話を聞くべきです。
それが…。
その三浦が行方不明で…。
えっ!?
あの言葉に嘘はない
(三浦)《私は悠理との未来を真剣に考えていたんです》
いったい何が?
ああ…いやいや…取材取材。
取材に集中。
由良要塞は旧日本陸軍の要塞で大阪湾防衛のためにこの淡路島と紀伊半島の間の紀淡海峡周辺に造られた
えーっと砲台跡は…。
あっこっちかな。
おっとっとっと…。
えっ?あっちょっとすいません。
大丈夫ですか!?ちょっとすいません。
ちょっ…大丈夫ですか!?三浦さん…。

(真弓)そのまま動かないで。
何ですか?
(真弓)すでに警察には通報しました。
私たちはケーブルテレビのクルーです。
全部記録に残りますよ。
いやいや…僕はですね…。
(真弓)言いたいことがあるなら警察に言って!えっ!?・
(パトカーのサイレン)
(佐俣)浅見光彦?ルポライター?はあ…。
(佐俣)そんな人があんなとこで何してたんや?いやですから『旅と歴史』という雑誌の取材で…。
(佐俣)兄ちゃんな警察をなめたらあかん。
いやそんなこと…僕は本当に…。
(北島)んな嘘っぽい嘘で警察だませるわけないやろ。
嘘っぽいからこそ真実なんです。
(佐俣)何言うてんの?・はい。
えっ?警視庁上野東署?あっ…。
うん。
なるほど。
了解です。
でその行方不明の重要参考人の氏名は?はいはいはい。
三浦延之。
その人です!その人が殺されたんです。
(佐俣)あんたは黙っとれ!えっ?どういうこと?
(北島)あんたガイ者と知り合いなんか?ええ。
っていうかあのお電話代わっていただけません?アホか。
(北島)座れ!ああすんません。
(北島)早座れ!今ねその三浦いう男が殺された言うてる男から事情を聴いてるとこやったんですけど。
(北島)淡路島には取材で来たんやな?いやそれが自称ルポライター。
どう見ても怪しいうさんくさい男で。
無駄にイケメンで。
(北島)早正直に言え!えっ?ええ。
確かに…。
いやですから…。
名前は浅見光彦ですが。
はい。
(北島)ネタ全部揃ってきてるんちゃいますか?いや…そんなこと言われてもさっきから…。
それホンマでっか!?
(佐俣)ハッハハハ…。
あっあっ北島。
北島。
どうぞ。
どうぞ。
ああありがとうございます。
すいません。
(北島)佐俣さん?もしもし浅見です。
はい。
世界一周は中止になりました。
(北島)え〜!?それで急きょ淡路島…あっいやいや…そんなことよりあの三浦さんがこっちで他殺死体で見つかったんです。
ええええ。
そうなんです。
僕がたまたま第一発見者ということに…。
えっ?ああ代わります。
(真弓)スクープ撮れました。
今からそっち戻りますね。
あっいやもう見送りなんてもう結構ですから。
あっもうホントにもうここで大丈夫なんで。
いやちょっと…。
(刑事たち)お疲れさまでした!お疲れさまでした!あっ…。
お疲れさまでした。
あっどうも。
誤解が解けました。
あっすいません。
(武井)あっ。
すいません。
(武井)何なん?
世の中には偶然というだけでは説明がつかないことが確かにある
東京のあれだけの人混みの中でたまたま僕の腕の中で死んだ中田悠理さん
その彼女と交際していた三浦延之さんが2人の生まれ故郷でもあるこの淡路島で殺された
そして何より本当は世界一周の船旅に行くはずだった僕がこの淡路島に…
やっぱり僕は何か見えない力によってこの島に引き寄せられてしまったのか…

(コンシェルジュ)浅見さま。
はい。
あちらにお客さまが。
(次男)あ〜!どうもどうも。
神戸新報淡路支局。
新聞記者さんですか。
(次男)叔父から何も聞いてないんですか?叔父さん?
(次男)『旅と歴史』の編集長の藤田克夫。
彼のおい。
え〜!?
(次男)いやぁ今回はどうしても名探偵の浅見さんのお力を借りたいからってそれで叔父に頼んで。
いやじゃ…ちょっと。
ということは僕は偶然ここに来たのでは…。
(次男)僕から叔父にお願いしたんです。
いや…何だ…。
そういうこと…。
で着いた早々申し訳ないんですがよろしいですか?
(次男)そうですか。
浅見さん東京とこっち両方で殺人事件に関わってしまったんですか。
あっいやまあ関わったというか…。
(次男)ほな僕の方の取材に協力していただくんは無理か。
えっ?
(次男)今頭いっぱいでしょ?殺人事件のことで。
あっ…いやいや僕はですねこの淡路に『旅と歴史』のルポを書くために…。
で僕が協力することって?まっいいです。
もうしばらく僕1人で続けてみます。
はあ…。
(山元)いやぁそうですか。
こりゃもう大歓迎ですわ!淡路センターテレビ番組制作部長の山元と申します。
浅見です。
よろしくお願いします。
(山元)『旅と歴史』読んでます。
ああ。
(山元)たまに。
(次男・山元)ハハハ。
あっ…。
(山元)えーっととにかくこの淡路島の魅力が分かる所にお連れすれば…。
あっぜひできましたら。
(山元)あ〜!ちょうどええとこに帰ってきた。
あっ。
あっどうも。
(次男)ほな後はよろしくということで。
えっ?
(次男)山さんホンマありがとう。
いやちょっと…。
(次男)ほな。
ほなどうも。
どうも。
(山元)次男ちゃんまた!真弓ちゃん今から君こちらのルポライターの浅見さんの案内係ね。
(真弓)えっ?
(山元)淡路の魅力存分にご紹介してさしあげて。
凝ってますね。
(真弓)いやでも私は…。

(相島)ええ機会やんか松雪。
(真弓)相島さん。
(相島)淡路島の観光スポットグルメ。
われわれケーブルテレビの最も得意とするところや。
うわ〜!これはおいしそうですね!
(山元)でしょ?淡路は食い物がホンマにうまいんですよ。
(山元)この淡路牛なんか食べたら他の牛食えませんで。
ほら真弓ちゃん君からも売り込んで売り込んで。
あしたから僕付き合わへんよ。
部長編集作業があるんで私会社に戻ります。
(山元)あっ…ま…真弓ちゃん。
あしたは頼むで。
あの松雪さんっていつもああいう感じなんですか?彼女ちょっと難しいところがあって。
実はあの子報道の仕事がやりたくて中学から東京の学校に行ってたんです。
でキー局を目指してたんやけど全部落ちてしもうて。
それでうちのケーブルテレビに入ったんですわ。
ああそうだったんですか。
(次男)ああもしもし神戸新報の藤田です。
今着きました。
もしもし?うわー!・
(ドアの開く音)
(真弓)相島さんどうしたんですかこんな時間まで。
(相島)そんなもん撮ってきてどうするつもりや。
(真弓)それは…。
(相島)うちはケーブルテレビやぞ。
報道番組は作ってない。
(真弓)分かってます。
でも地元に密着したケーブルテレビだからこそできる報道もあると思うんです。
(相島)無駄や言うてるやろ。
うちにそんな余裕はないねんて。
(真弓)どうされました?もしかしてお知り合いですか?えっ?アホか。
そんなわけないやろ。
(コンシェルジュ)あちらのお客さまが。
あっどうも。
あの私が浅見ですが。
(誠吾)東京で亡くなった中田悠理の…。
あっ親御さんですか?
(晴美)警察の方から聞きました。
娘は…悠理は最期浅見さんの腕の中で…。
はい。
(誠吾)それでどんなことでも娘がどんな最期を迎えたのか直接伺いたくて。
はあ…。
あの悠理さんは最期に…。
(晴美)モスケと?はい。
(誠吾)何でこいつモスケやなんて…。
悠理さんのダイイングメッセージではないかと。
ダイイングメッセージ?もしかしたら悠理さんを毒殺した相手を指す。
誰なんですか?娘を殺したのは誰なんですか!?あっ…いやそれはまだ…。
今日も回るんですよね?島内の名所とか。
(晴美)真弓ちゃん?あっ…。
お知り合いなんですか?
(晴美)知り合いも何も真弓ちゃんはうちの悠理とは幼稚園から小学校までずっとおんなじクラスで。
そうだったんですか。
悠理ちゃんのことお悔やみ申し上げます。
驚きました。
亡くなられた悠理さんとは幼なじみだったんですか。
最近は全然会ってませんでしたけど。
そうですか。
で今日はどこ回るんですか?ああ…。
あっちょっと…。
はい浅見です。
えっ?あっ。
ここ。
大丈夫ですか!?まあ。
(北島)洲本城で何者かに突き飛ばされたらしいんです。
えっ!?あんなとこから落ちてようケガで済みましたわ。
(次男)途中の木にリュックが引っ掛かって…痛てて…。
それで命拾いを。
不死身やなぁ。
(藤田)あっ次男!
(次男)叔父さん。
誰にやられたんだよ!?お前大丈夫…。
(次男)痛い痛い痛い痛い…。
編集長落ち着いて。
(次男)痛い!それで?陽修会のことで話したいことがあるからって電話で呼び出されて。
陽修会?ああ淡路の自然と文化を守る会ですわ。
自然と文化を守る…。
(佐俣)誰からの電話やったんですか?分かりません。
加工された声で。
怪しいとは思うたんですがスクープやと思うて。
携帯の通話記録を。
(北島)はい。
(藤田)ああ…次男はここから…。
編集長。
(藤田)うん?次男さんは陽修会のことを調べていたと。
(藤田)そうなんだよ。
あいつ淡路島を舞台にした土地開発疑惑を調べてるって。
(次男)《僕の方の取材に協力していただくんは無理か》土地開発疑惑…それは陽修会とどういう関係が?
(山元)この島にも大手ゼネコンによる土地開発が進められようとしてんですわ。
(山元)その一方で昔ながらの淡路の暮らしを営んでる島民たちもいてる。
(藤田)次男はさ本当は島の自然や歴史を守りたいけど言いだせないでいる島民がかなりいるんじゃないかその辺を踏まえて淡路島がどれだけ素晴らしい島なのかということを浅見ちゃんにルポしてもらえないかと相談しに来たんだよ。
あっ…ということはあの世界一周の船旅は?えっ…。
あっ。
他のライターさんに行ってもらっちゃった。
ちょっとそんな…。
申し訳ない。
いやいやいやだって…。
(佐俣)浅見さんせっかく淡路に来たんやからおいしい地酒でもどうです?
(山元)それはええ。
浅見さん行きましょう行きましょう。
あれは?これを張ってください。
(女性)ありがとうございます。
(佐俣)拝み屋ですわ。
拝み屋?まあいわゆる霊能力を持った…。
(山元)祈祷師のような人ですわ。
霊能力祈祷師…。
(山元)要するに加持祈祷して人々の相談乗ったり悩みを聞いたり。
そういう風習が今でもわずかに残ってるんです。
へえ〜。
(佐俣)あっそうそう。
ほら殺された三浦さん。
はい。
(佐俣)調べたらあの人の家も代々拝み屋さんだったらしいですわ。
あの三浦さんが?拝み屋はその家が代々継いでいかなくてはならないっていう定めがあったんですわ。
30年前当時ももう島には数えるほどしか拝み屋は残っていなかったんですが三浦さんの家は三浦さんが東京の大学に進みたいいう決心を尊重して定めを破って拝み屋を廃業したそうですわ。
それで三浦さんは東京の大学に進むことができて。
で努力を重ねて国交省の職員というエリートコースを進んだいうわけですわ。
(山元)まさに淡路の星やね。
30年前三浦さんの親御さんがもし拝み屋の廃業を決意しなければ彼は…。
でも殺されてしまった。
(山元)分からんもんです。
人の人生いうんは。

(ドアの開く音)
(北島)佐俣さん。
(佐俣)ああ北島。
(北島)洲本城から突き落とされた藤田次男さんの携帯の通話記録が出まして。
(佐俣)おうおう。
(北島)使われてたのは殺された三浦さん名義の携帯でした。
んなアホな。
ほな死人から呼び出されたんかいな。
いや三浦さんの携帯は盗まれていたんです。
(佐俣・北島)えっ?
(三浦)《昨日携帯電話を紛失してしまったんです》やはりあのときの話は嘘ではなかった。
そうなると三浦さん殺害事件と次男さん突き落とし事件の犯人は同一人物の可能性が。
最初の中田悠理さんも盗まれた三浦さんの携帯によって呼び出されています。
つまり3つの事件全てが陽修会に関係している。
《陽修会のことで話したいことがあるからって電話で呼び出されて》・
(ドアの開く音)
(相島)松雪。
お前何してんねん。
あれ?今日もあのルポライターさんのお供違うんか。
(真弓)中止です。
お知り合いの方が事故に遭われたみたいで。
山元部長には連絡しておきましたよ。
(相島)そうか。
(真弓)ちょっと待ってください。
(真弓)何か気になることでも?
(相島)お前自分で回すようになって何年なる?3年です。
(相島)ふーん。
まだまだやな。
全然あかんわ。
手ブレがひど過ぎる。
報道志望が聞いてあきれるわ。
中田悠理さん三浦延之さんの2人は殺され新聞記者の次男さんも危うく…。
(真弓)ハァー。
(真弓)この辺り最近の古民家好きの若い女性には人気スポットになるんじゃないかってうちの山元部長は言ってましたけど。
私には分かりません。
中田悠理さんと三浦延之さんはどうして殺されなくてはならなかったのか…。
(真弓)あの私こういうこと好きでやってるわけじゃないんで。
(真弓)興味ないんなら言ってもらえませんか?考えられるのは口封じ…。
(真弓)帰ります。
松雪さん。
連れてってほしい所が。
ハァー。
いやぁしかしこの辺りに来るとここが島だということを忘れてしまいますね。
海も見えないし。
ここです。
ここが陽修会。
(真弓)以前は田舎の集会所が本拠地だったんですけど。
うん?陽修会は島の開発に反対する運動をしていたのでは?そんなの昔の話です。
(島民たち)《淡路島を守れ!》
(真弓)陽修会が田舎にあった15年前までは確かに土地開発に反対する活動を活発にしてました。
でもあんなことが起きてからは…。
あんなこと?反対運動をする人たちが次々に病気になったり事故に遭ったり…。
えっ?
(真弓)開発に反対する人たちの身の回りでまるでたたられているかのように不幸なことが続いて…。
それは妙ですね。
えっ?いや普通は開発を進めようとする側の人たちが土地を汚す者としてたたられる。
でもここではまったくの逆。
島の開発は淡路の島の神々の意志。
えっ?たたり騒ぎの後で陽修会の代表になったあの人がそう言い始めたみたいです。
新宮日出夫。
講演会。
中田悠理さん…。
(真弓)悠理は陽修会の熱心な会員でしたから。
そうだったんですか。
(真弓)私も何度も悠理に誘われたけどバカバカしくて。
でも最近の陽修会の方針をどう思ってたんですか?さあ知りません。
悠理さんとは幼なじみだったんですよね?お二人でそういう話は…。
(真弓)ですからしばらく会ってないので。
いや…松雪さんあのもう一つお願いが…。
(晴美)悠理は東京で生活を始めてからもずっとこの淡路島のことが頭から離れなかったようです。
それだけ古里のことを気に掛けていた。
(晴美)恐れていたんです。
恐れていた?
(晴美)たたりです。
呪いです。
(真弓)おばさん。
そういう話は…。
(晴美)こうして悠理が亡くなってしまってやっぱりそういうことってあるんやろうかって…。
どういうことですか?浅見さん石上神社はご存じやろうか?石上神社?
(晴美)舟木にある古い小さな神社でそこは古来より女人禁制の神社なんです。
女人禁制。
(晴美)せやのに悠理は子供のころ男の子の友達とその神社に遊びに行ってふざけてその鳥居をくぐってしまって。
はあ…。

(誠吾)つまらん話をするな!悠理が殺されたんは石上のたたりやとでも言うんか!
(晴美)せやけど…。
(誠吾)何のご用ですか?悠理さんがかつて陽修会の会員だったとお聞きしたので。
そのことで悠理さんから何かお聞きしていらっしゃらなかったかと…。
悠理はつい最近も島の開発のことを心配してました。
最近?
(晴美)そのことで三浦さんという人に淡路センターテレビの相島プロデューサーを紹介してもらって。
(真弓)うちの相島を?ええ。
相島さんが悠理さんや三浦さんと関係していた…。
(相島)はい確かに中田悠理さん三浦延之さんとは面識ありましたよ。
この前はそんなこと一言も…。
妙な勘繰りされたなかったの。
勘繰り?
(相島)だいたい私に島の行く末について相談されてもねぇ。
ケーブルテレビの立場で何ができますか?でも…。
(相島)彼女なホンマはお前に相談したかったけど嫌われてしもうたからって。
(相島)ったく迷惑な話や。
こっちも正直深入りしたなかったし。
深入り?
(相島)ちょっと出ましょうか。
(相島)15年前淡路に帰ってきた三浦さんはとっくに廃業した拝み屋を名乗って。
拝み屋を…。
(相島)こっからまったく見えへんはずの場所に死体があると言いだした。
見えないはずの場所に…。
(三浦)《おーい!》《あの島の裏側で人が死んでる!》
(男性)《何やて?》
(相島)当時はちょっとした騒ぎになって発見されたのは当時の陽修会の加藤代表の遺体やった。
陽修会の代表が…。
(相島)結局は釣り好きの加藤代表が夜釣りをしようとボートで島に渡って岩の上から足を滑らせた事故死と結論づけられた。
せやけど島民はみんなあれは島の神のたたりやと。
たたり…。
やめといた方がええって。
下手に首突っ込んだら大変なことになんぞ。
(真弓)結局そういうことなんだ。
えっ?みんな普通に暮らしてるように見えるけど内心ではバカバカしいほどこの島の伝説や言い伝えにがんじがらめにされてる。
悠理が死んだ理由だって…。
ここが女人禁制の石上神社。
松雪さん?ここで待ってていいです。
私あのとき一緒にいたんです。
えっ?私は止めたの。
なのに悠理は…。
すぐ戻ります。
女人禁制。
島の人たちの心に刻まれている古来から伝わる神話や言い伝え。
それを悪事の隠れみのにしようとしている人間がいるとしたら僕は許しません。
これがここで…。
あれ?編集長?おお浅見ちゃん。
何で?
(藤田)いやいや浅見ちゃんの代わりに『旅と歴史』のルポを書こうと思って来たんだけどもさこれ。
太陽の道ですね。
さすが物知りだなぁ。
奈良県の箸墓を中心とする東西約200kmの直線上に太陽の神を信仰する古代の祭祀遺跡が北緯34度32分線上に並んでいることから太陽の道と。
そうなんだよ。
とにかくねその太陽の道というのは神聖なもののはずだろ?ところがさこの間おいの次男が突き落とされた洲本城から見えた土地開発現場の位置がどう見てもその神聖な太陽の道を…。
(真弓)分断してる。
(藤田)そうなんだよ。
そうなんだよ。
いいのかねぇ。
島としてもこんな開発をして…。
(吉岡)これが今回うちが入札した淡路島開発の計画図です。
確かに太陽の道を分断してる。
(吉岡)はっ?開発は問題なく進んでるんですか?
(吉岡)それはもう。
こちらの淡路の自然と文化を守る陽修会の皆さまにも応援していただけてるのが心強いです。
陽修会の方によると何でもこの開発は太陽の道が通る真下に位置するようになるのでその太陽の道をたたえる意味にもなるそうで。
太陽の道をたたえる…。
あんな太陽の道を分断するかのような開発計画で本当に淡路の自然と文化を守るといえるんでしょうか。
(真弓)解釈なんて立場によっていくらでも都合よくできます。
伊弉諾尊と伊弉冉尊は島におりてめおとの契りを結びそこから次々に島を生んで日本の国をつくられた。
そしてこの大地を守るべき自然の神々を生むことになる。
大地を守る神々が生まれたこの島でその大地が開発の名のもと破壊されようとしている。
僕にはそう思えてなりません。
太陽の道をたたえるとはよく言ったものです。
この島の開発によって陽修会自体が何か利益を得ているんじゃないでしょうか。
(真弓)知ってます?淡路島の人たちの自慢。
自慢?
(真弓)よそから来た人にここは思ったよりも都会で島だということを忘れてしまいますねって言われること。
浅見さんも言ってましたよね。
ああ…ああ。
(真弓)島の人たちはみんな分かってるんです。
本当は分かってる。
(真弓)政治やゼネコンによって島が開発されるおかげで島が潤う。
雇用も増える。
だから開発を認める陽修会を支持はしても反対はしない。
できない。
でも悠理は違った。
東京でも時々報道される島が開発されていく様子を見ていつも心を痛めてた。
でもどちらが正しいかなんて私には分からない。
(真弓)島を出て生活の拠点を大都会に移していた悠理にこの島の自然や文化を守れって言われても…。
僕は今まで松雪さんはこの淡路島のことが嫌いなのかと思ってました。
でも逆のようです。
松雪さんはこの島のことこの島の人たちのこれからの生活のことを思ってる。
だからなおさら島の開発に賛成も反対もできないでいる。
それが本当にこの島のことを思う人の偽りのない正直な気持ちなのではないでしょうか。
実は私悠理とケンカしたんです。
三浦さんとの不倫のことで。
私がもっとちゃんと引き留めてれば悠理はあんなことにならなかったのに…。
お二人は真剣に結婚のことを考えていたようです。
えっ?僕はこの目で三浦さんがそう話すのを見ました。
《私は悠理との未来を真剣に考えていたんです》あの三浦さんの言葉に嘘はなかった。
松雪さん。
悠理さんと悠理さんの愛した三浦さんの無念を晴らしましょう。

(山元)どないしたんや?深刻な顔して。
(真弓)どうしても相島さんのことが気になって。
(山元)相島君のこと?
(真弓)武井君に尾行してもらったんです。
えっ!?相島さん新神戸駅で伊勢の宇治山田行きのチケットを買うてたんです。
伊勢…。
伊勢神宮。
あっ!太陽の道の行き着くところは伊勢神宮です。
(真弓)相島さんいったいそこで何を…。
せや。
相島君の出勤簿。
あれ?この日。
11月11日。
この日は東京で中田悠理さんが毒殺された日です。
この日相島君東京に出張してる。
(山元)これって偶然なんやろか。
浅見さん。
太陽を神格化した神である天照大御神を祭る伊勢神宮
天照大御神は伊弉諾尊が黄泉の国の汚れをはらうため左目を洗った際に誕生したとされ伊勢神宮は伊弉諾神宮の真東の太陽の昇る方向に位置する
武井君の話だとこの辺りで観光客の団体に紛れて相島さんを見失ったと。
あっ。
あっ。
ここは…。
あの…すみません。
(受付)はい。
こちらに相島雅一さんという方いらっしゃいませんか。
もしかしたら陽修会の会員かも。
お待ちください。
これ。
陽修会は淡路島のためだけにあるのではなかった。
ここは陽修会の本部です。
お待たせしました。
相島さんという方は会員としての登録はありませんでした。
そうですか。
ありがとうございます。
ここに来ていたのかも分からない。
あっこれ。
(真弓)相島さん。
相島さんはやはりここに来ていた。
会員でもないのに。

(足音)陽修会代表の新宮日出夫。
あの…ちょっとよろしいですか。
(渡部)何ですか?淡路センターテレビです。
ちょっとお話を聞かせてもらえませんか?アポなしの取材は一切お断りしてます。
いやちょっと…。
はい浅見です。
(真弓)話聞かせてください。
お引き取りください。
(渡部)いいかげんにしなさい!
(真弓)お願いします!少しでいいんで。
松雪さん。
(真弓)お願いします!相島さんが死体で発見されました。
えっ?この船から海に飛び込んだのか。
あるいは大鳴門橋から飛び降りたのか。
自殺?まさか…。
(佐俣)局のデスクの上に置いてあったそうです。
遺書ですか。
(真弓)えっ?
(佐俣)「中田悠理さん三浦延之さんの殺害」「そして神戸新報の藤田次男さんを洲本城から突き落としたのは私です」「私は実は以前中田悠理さんと交際しておりました」
(浅見・真弓)えっ!?「彼女を三浦氏に奪われたため恨みが募っておりました」「どうしても2人を許せなかった」「神戸新報の藤田次男さんが私の周辺を調べていると知り発覚を恐れ洲本城に呼び出し突き落としました」「もう全てが終わりです」「死んでお詫びをするしかなくなりました」「相島雅一」そんな理由で。
事件性はなしということになりますかね。
もしかして悠理は相島さんとのことで悩んでてそれを私に相談したくて…。
それは違うと思います。
(北島)あっそういえば浅見さん。
頼まれてたお医者さん見つかりましたけど。
あっそうですか。
ありがとうございます。
(平沢)もうね引退して10年になります。
15年前当時の陽修会が開発に反対する集会を開いて皆で飲食した数時間後数人が苦しみだして。
単なる食中毒かと思われましたが血液検査をしたところダイシノイドの成分が出ました。
ダイシノイド!?《胃の内容物からダイシノイドの成分が出たそうです》
(平沢)まあご存じないかもしれませんが…。
一般的な農薬などに含まれているものである程度の量だと飲んでも即効性はなくしばらく時間がたってから効き始め死に至る場合も。
ようご存じで。
どうもありがとうございました。
ええ。
あっ何カ月か前にもね同じようなことを聞きに来た人が。
えっどなたですか?えっと何て言うたかな。
ああこの人や。

つながった
やはりつながっていたんだ
15年前から
そして相島さんは独自に何かを調べていた
(武井)どういうことですか?
(山元)15年前の毒物事件ってあのたたり騒ぎの?そうです。
相島さんはそのことで何か重大な事実をつかんだ。
あるいはつかみかけていた。
重大な事実って?それはまだ分かりません。
ただこの事件は自殺に見せ掛けた偽装殺人の可能性があります。
すみません。
結局こういうことに。
(陽一郎)お前のことだ。
目の前で事件が起きたらやり過ごせないだろうことぐらい分かっている。
はあ。
まっ母さんには言わないでおくよ。
あっありがとうございます。
それより事件の概略を聞いただけで断定はできないがそいつは事によっては政界汚職事案にまで発展する可能性がある。
(陽一郎)くれぐれも立ち回りには気を付けなさい。
はい。
では。
どうもお待たせしました。
(佐俣)あ…あのそれで浅見刑事局長は何と?はっ?あああの…「くれぐれもよろしく」と。
「よろしく」だぞおい…。
(北島)よしいいぞ。
で何か?ああはい。
亡くなった相島雅一さんのことについて調べてほしいとのことでしたので。
おい。
おいおーい。
(北島)はいはい。
報告報告報告。
相島さんは15年前当時陽修会のメンバーとして活動していたようです。
相島さんが?
(北島)どうやらその時期にあの殺された三浦さんと再会したようで。
(佐俣)2人は同じ小学校の出身で三浦さんの5年ほど後輩のようです。
同じ小学校…。

相島さんは15年前陽修会のメンバーとして活動していた
殺された三浦さんと同じ小学校
でもそれはこれだけ大きな島とはいえ普通にあり得ることだ

(足音)松雪さん。
浅見さんの言うとおり相島さんのデスクにこれが。
やはりありましたか。
僕の胸で亡くなった中田悠理さん
彼女から検出された毒物と15年前の淡路島で起きた農薬混入事件の毒物は同じ物だった
その恋人である三浦さんは刺殺され彼の後輩である相島さんは遺書を残して死亡
相島さんは自然と文化を守る団体陽修会を調べていた
15年前の事件との関わり
淡路島の開発計画と陽修会
その代表である新宮日出夫
複雑に絡み合う事件の真相は?
15年前三浦さんが淡路島を訪れたのはいわゆる淡路出身で国交省の職員になった出世株ということで出身小学校から依頼を受けて講演をするためだったようです。
ところがそのときに何者かから小学校に「講演会を開くと三浦は呪い殺される」との脅迫電話が。
呪い殺される?それはおそらく三浦さんが当時島の開発に異を唱えていたからではないでしょうか。
ああ。
あっそうか。
ただ三浦さんを誹謗するような電話は三浦さんの小学校時代から頻繁にあったようなんです。
小学校時代から?「三浦延之は呪われている」「三浦を殺せ」というような。
でも三浦さんはひるむことなく講演会を行い大成功。
それを聞いていた相島さんは…。
《先輩!》《三浦先輩。
僕です相島です》《あっマー君!》《うれしい!》淡路の先輩として誇らしかった。
でその帰り道。
(相島)《あれ?》《あれ陽修会の加藤代表の車ですよ先輩》当時の陽修会の加藤代表が何者かに自分の車に押し込まれ連れ去られるのを見た。
(北島・佐俣)えっ?で三浦さんは一人…。
《あっ》《マー君》《えっ?》《君は来るな》その車を追っていった。
三浦さんはおそらくたどりついた沖ノ島から去る小舟を見て加藤代表がそこで殺害されたのだと確信した。
しかしだとしたら当時なぜ警察に通報もせずに。
それを警察に言えば犯人側に何をされるか分からない。
そこで拝み屋の家出身だと名乗り霊感により死体が見えたと言い死体を発見させた。
そのころなんでしょう。
三浦さんは国交省の職員として悪事から古里の淡路を守ろうと情報を集めていた。
そんな中同郷の同じく島を憂う中田悠理さんと出会い不倫の関係として結ばれた。
なるほど。
おそらく15年前の農薬混入事件も開発に反対していた陽修会の加藤代表を殺したのもその秘密を暴こうとした中田悠理さん三浦延之さんを殺したのも次男さんを突き落としたのもそして相島さんを殺したのも同一人物です。
(真弓)全てはあの新宮という男が陽修会の会長になってからです。
太陽の道を分断するような建設会社に対し反対運動をするどころかそれを後押しするような活動を。
太陽の道をたたえ島のためになるとうたえば島民は納得しますからね。
陽修会はそうやって島民を押さえ込む見返りとして建設会社側から莫大な利益を得てる。
リベートか。
おそらくバックには政治家も。
(北島)政治家?国交省の職員だった三浦さんは内部資料からその疑惑に気付いて…。
《これはとんでもないことだ》淡路島出身の三浦さんはとうていそれを許すことができず裏金疑惑の証拠となるものを突き止めそれを交際していた同郷の悠理さんに打ち明けた。
証拠物件を手にした2人は告発の機会をうかがっていた。
じゃあ悠理はそのせいで…。
(佐俣)その後三浦さんのことも…。
とにかく口を封じなければならない。
一方独自に陽修会のことを調べていた次男さんや相島さんも…。
それじゃもしかして犯人は三浦さんと悠理がどこかに隠した証拠物件をまだ…。
手に入れてはいないでしょう。
何とかして犯人より先にその証拠物件を。
(佐俣)ああ。
あっそれもそうなんですが。
三浦さんはどうして小学校時代から何者かに誹謗中傷されるほど憎まれていたんでしょう。
(光子)三浦延之君が通うてたころのアルバムです。
あっ恐れ入ります。
(光子)三浦君はいつもクラスの中心的存在で仲のええクラスメートといつもどんなことでも競い合うて遊んでましたね。
ああ。
あっどれが三浦さんですか?
(光子)この子です。
ああ。
(光子)で一番仲の良かったんがこの子です。
うん?ご存じかどうかあれですけど三浦君とこの子の家は代々拝み屋さんやったいうこともあって。
えっ!?あの2人が同級生。
何かお役に立ちましたでしょうか。
モスケ…。
(光子)あれですか。
子供たちが描いたモスケの絵です。
あっあれは?
(光子)踊りに使うお面です。
あれもモスケって呼んでます。
えっ?モスケってお面自体を指す場合もあるんですか!?はい。
失礼します。
モスケ…。
これだ。
ロック解除できました。
開きます。
(北島)ああ。
(佐俣)うん?
(佐俣)これは?
(北島)1人は陽修会の新宮。
他の2人は?
(佐俣)1人は民自党代議士の黒崎正光や。
もう1人は?建設会社の吉岡という担当者です。
《陽修会の皆さまにも応援していただけてるのが心強いです》
(北島・佐俣)建設会社?この写真の感じからすると建設会社の吉岡が他の2人を接待しているという図ですね。
おいおいおい。
とんでもないスリーショットやないか。
(真弓)まさかモスケのお面の中に…。
三者が裏で明らかにつながっていたんです。
山元部長。
(山元)うん?私は今の陽修会の裏の顔をケーブルテレビで公表すべきだと思うんです。
ああ…。
あしたの新宮の講演会乗り込みましょう。
(山元・武井)えー!?
(真弓)カメラを回して。
真弓ちゃん。
(真弓)分かってます。
亡くなった相島さんからも散々言われてました。
「うちは報道番組を制作するスタンスにはない」って。
でも…でも私たちだってジャーナリズムの一翼を担っているという自負を持つときがあってもいいんじゃないでしょうか。
そやな。
わしらにかて放送人としての矜持プライドがあるはずや。
よっしゃ!いっちょやったるか。
責任はわしが取る。
山元部長ありがとうございます!
(山元)いやぁロケに出るなんて久しぶりやな。
何や血が騒ぐで。
(武井)よいしょ。
行きましょう。
(山元)ほれ!ヘヘヘ。
(真弓)あっ気が利きますね。
(山元)とにかく一息ついて備えようか。
(真弓)はい。
おはようございます。
(真弓・山元)おはようございます。
(山元)あっ段取りは?
(武井)ああ。
あっ失礼します。
(男性)行け!あの…どうかしたんですか?
(渡部)あんた淡路センターテレビの。
ああただ事ではないご様子なので。
(渡部)ここの事務所に脅迫電話が。
脅迫電話!?「今日の講演を中止にしないと新宮は呪い殺される」と。
えっ?
(男性)警察に通報した方がいいですかね?・
(新宮)その必要はない。
(新宮)渡部君予定どおり始めなさい。
(渡部)はい。
では後ほど。

(音楽)
(手拍子)
(真弓)まるで宗教ね。
(手拍子)
(手拍子)
(拍手)
(新宮)本日はようこそ。
お忙しい中をおいでくださいまして誠にありがとうございます。
(真弓)行くわよ。
(武井)えっ!?突っ込むんですか?いや僕が。
(真弓)えっ?
(新宮)さてこの大宇宙に生きとし生きるもの全ての中に命が宿りその命に神…。
何ですか?
(渡部)おい!あなたたち陽修会が犯した罪に関してその動かぬ証拠があります。
テレビ屋さんが何事ですか?この島の自然と文化を守る。
この淡路島独自の伝説や言い伝えを守るために陽修会があり太陽の道をたたえることができるところに商業施設を建設する。
よく考えたと思います。
だって悲しいかな。
伝説やいにしえからの文化を守っているだけでは島で暮らす人々を養うことはできません。
雇用を増やし島に定着する若い世代を確保する。
そんなことはこの島だけではなく日本いや世界中で抱えている問題でもあります。
いにしえの伝説よりも家族の幸せを取る。
それ僕は間違ってないと思います。
ただ…。
それを利用して私腹を肥やしそれを暴こうとする相手を亡き者にする。
そういう人間は僕は許せない。
私もあなたが許せない。
ここにお集まりの皆さんだって本当は分かってるんです。
想像はついてる。
新宮さんあなたが私利私欲にまみれた俗な人間だということくらい。
それテレビで撮っていると名誉毀損の証拠になりますよ。
ただ分かってはいても島に産業を生む雇用を生む。
それはとても大事だからと割り切っているんです。
この空間はそういう暗黙の了解で成り立っています。
(新宮)誰か警察を呼びなさい。
警察ならもう外で待機しています。
(ざわめき)
(新宮)皆さん大変申し訳がございません。
あの男が退散をするまで今しばらくご辛抱ください。
私たち人間はある決断をする場合時として神の意志を言い訳にします。
でもそれを繰り返してきたのが人類の歴史でもあるんですね。
君はやおよろずの神を愚弄する日本人ですか?神々は人間とはそういうものだと分かってくださっています。
だからこそ神。
だからこその神。
では本題に。
僕は汚職だとか不正なお金の流れだとかそういうことは実はどうでもいいんです。
僕が本当に解決したいのは僕と出会った中田悠理さん。
彼女の大切な恋人だった三浦延之さん。
そしてその三浦さんに憧れていた相島雅一さん。
その3人の命が奪われてしまったこと。
それに神戸新報の藤田次男さんが大ケガをさせられたこと。
僕の目的はその真犯人を突き止めることしかありません。
しかしその真犯人を特定するための決め手がもう一つ足りませんでした。
そこで僕は賭けに出ました。
すると犯人はその賭けに応えてくれました。
意味不明だな。
この講演会が始まる直前ここに脅迫の電話がありました。
(ざわめき)
(真弓)えっ?「今日の講演会を中止にしないと新宮は呪い殺される」と。
(ざわめき)
(真弓)どういうこと?似たようなことが15年前にもありました。
さらに訳が分からん。
あなたがここ淡路島での活動を始めたころのことです。
そのときの脅迫電話もさっき電話をしてきた男と同一人物のはずです。
そうですよね?山元さん?えっ!?あなたがさっきここに脅迫電話をかけてきたことで動かぬ証拠を残すことになりました。
アハッ…。
浅見さん。
何を言いだすかと思うたらどうかしてますよ。
僕はそんな電話なんてかけてない。
通話記録調べたら分かることや。
あなたは殺された三浦さんから盗んだ携帯を使ったつもりなんでしょう?本当の三浦さんの携帯は…。
ここにあります。
えっ!?昨夜あなたのデスクの引き出しの中に隠してあるのを見つけました。
《あった》そこにいる武井君に協力してもらって事前に入手したこれとまったく同じ携帯電話に全てのデータをコピーしてから引き出しに戻してもらいました。
武井ちゃん?すり替えたんか?あなたがその携帯で脅迫電話をかけたんですね?この講演会をつぶそうとして逮捕されるかもしれない新宮さんを守るために。
何で僕が怪しいと?伊勢の陽修会本部に行ったとき写真パネルが飾ってありました。
ご当地アイドルを招いてのイベントが開かれたときのものです。
その写真に偶然相島さんが写り込んでいました。
その後どうして相島さんがそこにいたのか?その日に何があったのかを知りたくて陽修会の本部に電話をして聞いたんです。
《えっ?》問い合わせて分かったのはその日何があったのかではなくその日がいつだったのかということでした。
《11月11日…》11月11日。
それは東京で中田悠理さんが僕の腕の中で亡くなった日です。
その日相島さんは東京ではなく伊勢にいた。
そこでおかしいと思ったんです。
《この日》
(山元)《11月11日》《相島君東京に出張してる》《これって偶然なんやろか》考えてみればスタッフ全員のスケジュール管理をする立場のあなたならそのくらいの改ざんは容易です。
山元部長どうして…。
小学校時代あなたは三浦さんととても仲が良かったそうですね。
《この子の名前は?》
(光子)《山元博史君です》うちはあいつと三浦の家と同じ拝み屋やった。
でもあいつが「大学に進学したい」と言いだしたらあいつの親は簡単に拝み屋の看板を下ろした。
せやのに俺の親は俺が島を出て進学したいと言うても許してはくれんかった。
(山元の父)《拝み屋を継がなあかん》
(山元)三浦とは子供のころから何かと競い合ってきた。
いっつもあいつが勝ってた。
いっつもあいつはクラスの中心やった。
仲がええなんて上っ面のことや。
俺はいつもあいつが憎うてたまらんかったんや。
それで小学校時代から脅迫電話を?
(山元)揚げ句にあいつは国交省職員という大出世をした。
せやのに俺は拝み屋の家を継ぐことを強いられ島から出ることを許されんかった。
そして15年前…。
新宮さんと出会った。
(加藤)《ほやからなめられるんじゃ!》
(山元)《いやせやかて…》
(加藤)《今日はこれで解散!》
(山元)《待ってくださいよ》《加藤さん》
(加藤)《もう聞きとうない!》《皆さん…》《どけ》
(山元)新宮さんは俺の悩みを聞いて同情してくれたんや。
(山元)新宮さんは俺を淡路の名士にしてくれると約束してくれた。
政治家とのつながりもある。
いずれは国政に出て国会議員になる道もあると。
そうすれば国交省職員ごときの三浦なんて顎で使えるようになる。
やっと三浦に勝てる。
俺は新宮さんのために陽修会のために何でもしようと決心したんや。
そんなとき事もあろうに三浦から電話が。
三浦は陽修会の裏に気付いていた。
島を守るために一緒に不正を暴こうと持ち掛けてきた。
フハハハ…。
事もあろうにこの俺にや。
またまた三浦が俺の人生の邪魔をしてきた。
そう思うても仕方ないやろ!?あなたは15年前開発に反対していた陽修会の加藤代表に多量の睡眠薬を飲ませ…。
(加藤)《うわー!》事故に見せ掛けて殺し…。
悠理や三浦さんも…。
(悠理)《遅いですね》《すいません》《懐かしいな》《うっ!うっ!》《ひろちゃん何で…》
(次男)《もしもし?》《うわー!》次男さんも突き落とした。
また遺書を偽造し相島さんを犯人に仕立てようとして殺したのもあなたですね?俺の人生は陽修会に新宮さんに懸けるしかなかった…。
(山元)新宮さん。
俺はこの15年間あんたの言うとおりにしてきた。
(山元)こいつらがビビッてできないことまで俺はやってきた!
(新宮)あなた言ってることがおかしい。
新宮さん…。
迷惑千万。
あなたのおかげで全てが台無しだ。
あー!山元さん駄目です!
(山元)うわー!うわー!
(渡部)早く止めろ!放せ!
(山元)あー!うわー!山元さん!山元さん!山元さん!殺したる!本当にこの男が憎いなら殺しちゃいけない!山元さんあなたにはこの男の罪を明らかにする義務がある!殺したる!山元さん!山元さん!
(山元)殺したる!殺したる!山元さん!チキショー!チキショー!やっと…。
やっと三浦の上に立てると思うたのに。
(山元)チキショー!三浦さんは死んでもなお真実を伝えようとしてくれたんです。
(操作音)
(新宮のメッセージ)とにかく証拠を出される前に早く三浦延之と中田悠理は消してしまうことが大事です。
あなたの未来のためでもあります。
頼りにしてますよ山元さん。
(アナウンス)この伝言を消去する場合は数字の9を…。

(ドアの開く音)・
(警察官)動くな!
(山元)真弓ちゃん。
相島君はな君の反骨精神を買ってた。
「いつか真弓ちゃんと一緒に報道部門を立ち上げるつもりや」って言うてた。
(佐俣)行くぞ。

その後新宮とつながっていた建設会社の吉岡民自党の黒崎代議士も逮捕起訴となった
そうですね。
しばらく気分を変えて休暇を取るのはいいことです。
(真弓)京都にいる友達の所に遊びに行こうかと思って。
京都!?ああちょうど僕も京都に寄っていこうかななんて思ってたところなんです。
ホントですか?いやホントですよ!ホントにホントです。
嘘っぽい。
ハァー。
嘘っぽい嘘こそ真実だったりするんです。
フフフ。

(真弓)奇麗ですね。
ええ。
ちょうど紅葉の時季でここはいつも奇麗なポイントなんです。

(女性)あのすいません。
はい。
(女性)写真撮っていただけます?ああもちろんです。
じゃあいきますよ。
(女性)えっ?
(女性)お願いしたの写真。
(女性)えっ写真?何か写真ですって何か。
はい。
あっ!あっ!いや…。
み…光彦。
な…何で!?
(雪江)ちょっと。
な…何ではこっちのせりふですよ。
何で…あなた世界一周に行ったんじゃなかったの?何で京都にいるの!?あっいや…それがあのちょっと色々ありまして。
あのこちらの方は?通りすがりの母です。
えっ!?
(雪江)光彦!ちゃんと説明しなさい!えっ?何でちょっと…。
いやあの…。
(雪江)この女性はどなた?ああ…。
2015/09/04(金) 21:00〜22:52
関西テレビ1
金曜プレミアム・浅見光彦パート52最新作・神苦楽島[字][多]【国生み神話と連続殺人】

淡路島を舞台に最大スケールで送る!国生み神話を食い物に金儲けを企む自然保護団体。相次ぐ謎の死に浅見が立ち向かう。

詳細情報
おしらせ
「ワールドカップバレーボール2015女子 日本×アルジェリア」延長の際、放送時間繰り下げの場合あり。
番組内容
 「旅と歴史」ルポライター浅見光彦(中村俊介)は、以前に担当した豪華客船・飛鳥のルポが好評で再度世界一周旅行の取材をしてほしい、と編集長の藤田克夫(小倉久寛)に頼まれて、旅の身支度をするためにショッピングモールを訪れていた。すると、1人の女性が浅見の目の前で倒れ込み、浅見の胸の中で「モスケ」とつぶやき息絶えてしまう。
 警察署まで同行した浅見は、知り合いの刑事課長・長谷川幸一(佐戸井けん太)から、
番組内容2
女性が中田悠理(上野なつひ)というOLで本籍地は淡路島、死因は毒物であると聞く。事件に興味を覚えるも明後日から海外に行くので関わらない、と自分に言い聞かせて立ち去ろうとする浅見だったが、被害者と最後に通話した国土交通省職員の三浦延之(山崎銀之丞)の任意での事情聴取に立ち会う。「携帯は昨晩紛失した」という三浦の証言に「うそっぽいうそほど真実ということも…」とつぶやく浅見。その後、三浦も被害者と同じ
番組内容3
淡路島出身と知った浅見は“モスケ”という言葉について聞くも「知らない」と返される。
 打ち合わせに遅刻して現れた浅見は編集長に謝罪。ところが逆に「海外取材はなくなって淡路島に行って欲しい」と頼まれてしまう。
 早速、淡路島に渡り取材を始めた浅見だったが、取材中に偶然にも男性死体を発見。しかも、ちょうど取材に来ていたCATVのディレクター松雪真弓(安達祐実)らにその現場を撮影されてしまう…。
出演者
中村俊介 
安達祐実 
野際陽子 
榎木孝明 
小倉久寛 
木下ほうか 
山崎銀之丞 
モト冬樹 
佐戸井けん太 
島かおり 
堀内正美 
菊池均也 
隈部洋平 
篠田光亮 
津川雅彦
スタッフ
【原作】
「神苦楽島」内田康夫(文春文庫刊) 

【脚本】
寺田敏雄 

【企画】
増本淳 
加藤達也 

【プロデューサー】
金丸哲也(東映) 
小林浩司(彩の会) 
吉田紀子(彩の会) 

【演出】
葉山裕記 

【音楽】
渡辺俊幸 

【制作】
フジテレビ 
東映

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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