ケースファンの電圧落とし
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キーワード:「静音化」,「静穏化」,「ケースファン」,「PCの騒音」など
資料:各ファンメーカーの資料,他の静音化について扱っているHP
主としてデスクトップPCは駆動音が大きく,気になりだすと結構な騒音に感じることがある。
この駆動音は,大きく分けてファンの風きり音,CDなどの回転音,ハードディスクなどのアクセス音 が主要なものとしてあげられる。
中でももっとも大きな騒音が,ファンの風きり音 になる。
この騒音を発するファンは空気を循環させてPCを冷却するため に取り付けられているが,これにもいくつか種類が存在する(PCのハードウェア構成を参照) 。
電源ユニット用ファン,CPUクーラー,ケースファンがあるが,前者2つはPC駆動の根幹に関っているのと,改造が容易でない ので,ここでは改善が容易なケースファンの静音化 について解説する。
ケースファン動作
ほとんどのケースファンが,PC部品売り場で売られている状態では,
ケースファンの一般的なデータ |
外寸/ ファンの形状 |
駆動電圧/ 駆動電流 |
回転数 |
風量 |
ノイズ |
8cm/角型 |
DC12V/0.34A |
4000RPM |
46.6CFM |
40.0db |
というようなデータが記載されている。(DELTA社製 CF−80Hデータ)
ここで問題になるのは,
電圧とノイズ である。
40.0dbにもなるとびっくりなくらいうるさい。
対応策
- 1.とっちゃう
- ビジネスソフトとメールとネットサーフィンしかさせないPCならば,さほどの発熱は無いのでケースファン自体を取り払ってしまうのもひとつの手。
- しかし,DVDドライブを使用したり,3Dゲームを動かしたりすると結構なハードワークを強いることになるのでなるべくなら避けたい。
- 2.高級静音設計のファンに取り替える
- そもそも購入するときにノイズの値の小さいものを選択したり,高級な静音設計のファンを購入すれば問題ないし,改造もしなくてすむ。
- しかし,街の電気屋さんに在庫で置いてあるようなファンは大抵はいっぱいいっぱいで動いてくれる自己主張の激しいものがほとんどだし,たかがファンごときにたいそうな金額は払いたくはないもの。
- 3.ファンの回転数を落とす
- この12V/40.0dbというのは,ファンががんばってがんがん働くとき の値で,大抵のファンは12Vで駆動 し,この状態で働いてもらうとうるさいことこの上ない。
- そこで,ファンに供給する電圧を落として,強制的に回転数を落とす ことによって静音化を図ることになる。
電源落としの選択肢
- (1) 5V駆動
- 改造が容易で,静音化を主眼に置くならば最適。
- しかし,電圧が落ちすぎると駆動しなくなるファンや,放熱の激しいPCには冷却が追いつかない などの問題点がある。
- (2) 7V駆動
- ファンの改造としては上級テクニックになる。
- 12V線,5V線ともに改造するため,ショートの危険が高く,気をつけて取り組まないと危険。
- (3) 可変抵抗のケースファン
- 可変抵抗により,ファンの回転数を何段階かに変更できる高級品。
- もとより改造の必要性もなく安全だが,たいそうなお値段になる。
ファンに供給される電源の構成
左図(上面,正面)のとおりケースファンの電源ケーブルは,
・HDDなどの4pinオス線の12V線(黄色)と右GND(黒右側) とを枝分かれしているか
・小さい3pinメスケーブルが延びていて,市販の4pin⇔3pinコネクタにつながれている か
のどちらかになる。
赤がファン+線 で,黒がファン−線 で,いずれの場合も,ファンに届くケーブルは12V+GNDの根元 につながっているので,ファンには12Vの電圧が供給されている。
(ケーブルが赤と青の場合は赤が+,青が−,黄色の線もある場合は,黄色線が回転信号を送る線)
ピンのつなぎ変えによる電圧落とし
実際の電圧変更は12Vにささっている配線を組みかえる ことによって電圧を落とすのだけれども,その際の注意点が3つある。
- 1.PC電源は落としましょう。
(当然です。万一のためにPCの電源ケーブルを電源プラグから抜いておきましょう。)
- 2.配線をショートさせないようにしましょう
(いじらなければそんなこともないのですが,配線を変えたときに互いの線が触れ合っている状態になると,ショートします。)
- 3.電圧を落としてファンが回転しないようであれば元にもどしましょう
(大抵のファンは5Vでも駆動しますが,配線のミスや,低電圧では動かない仕様などで回転しなくなるファンがあります。放っておくと発火しますので速やかに対処しましょう 。)
実際の作業
以降が,実際に行う作業になる。上記の注意点を守って慎重に行おう。
ピンをはずす
左図のように,ピンは突起によってコネクタから抜け落ちないように固定されている。
この突起の部分をマイナスドライバーなどで押し戻す ことによって抜き取ることができる。抜き取った後は,以下にある電圧ごとの所定の位置に差し替えて,突起を元に戻せば改造終了。
5Vに落とす
5Vの電圧を供給するには,ファン+線(赤)を5V(4番)の位置 に,ファンー線(黒)をGND(3番) につなぎかえればよい。
5Vに落とす配線 |
+: |
1番(12V) |
→ |
4番(5V) |
へ |
−: |
2番(GND) |
→ |
3番(GND) |
へ |
7Vに落とす
本来7Vの電圧線など存在しない ケーブルからなぜ供給できるのか。それは,ファンの電源は直流で供給されるため,12−5=7という中学の知識によって仮想的に7V供給が実現する。なので,何かの間違いで直流でない電源供給のファンではさくっと壊れてしまう ので注意しよう。
ファン+線(赤)を12V(1番・変更なし) の位置に,ファンー線(黒)を5V(4番) につなぎかえればよい。
7Vに落とす配線 |
+: |
1番(12V) |
→ |
1番(12V) |
変更なし |
−: |
2番(GND) |
→ |
4番(5V) |
へ |
おまけ
大抵の4pin⇔3pinコネクタには,さらに先へ電源を供給するメスコネクタが延びているので,一旦電圧を落としたケーブルから先には,落とした電圧が供給される。
よってコネクタに直列につないでいくだけで2,3個のファンを一気に静音化できるのでらくちん。
逆に言うと,電圧を落とした先のコネクタにHDDやCDの電源をつないでしまうとあえなく撃沈してしまう ので,それらはつないではいけない。
ファンを複数稼動させない場合はテープなどで保護しておこう 。
我が家の構成
上にも出てきたデルタ社製の8cm角型ファンを5Vに落として前後面吸気で装備して,排気は5インチベイにあいた穴から自然に任せている,
電源ユニットファンとCPUファンははいじりようがないのでデフォルトそのまま。
この状態でとりあえずハードなベンチマークも耐えているうえ,そこそこ静かな状態になっている。