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命懸けで欧州へ 難民・移民が急増
9月4日 19時14分

命懸けで欧州へ 難民・移民が急増
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中東やアフリカから、ヨーロッパに流入する難民や移民はことしに入って急増しています。また、船で渡ろうとして遭難するなど、ことしの死者はすでに2700人に達しています。
IOM=国際移住機関によりますと、ことし1月からこれまでに流入した人の数は36万4000人と、去年1年間の21万9000人をすでに大幅に上回っています。
ヨーロッパへの経路は主に2つあります。1つは内戦が続くシリアを逃れ、トルコを経由して、最も近いヨーロッパであるギリシャに流入するルートです。ことしの夏以降急増し、ことしに入って24万5000人がギリシャに到着しています。
もう1つはエリトリアなどアフリカ諸国からリビアを経由して、イタリアに渡るケースで11万6000人に達しています。
難民や移民が増えている背景には、中東やアフリカで政治の混乱や治安の悪化が続き、苦しい生活を強いられている人々が、少しでもよい生活を求めてヨーロッパを目指していること、また、海の天候が安定している夏のうちに、ヨーロッパ側にたどり着きたいと考えていることなどがあるとみられます。
その一方で、難民や移民が地中海を船で渡ろうとして遭難したり、悪質な密航業者のあっせんで、すし詰め状態の船倉に押し込められ、窒息死したりするケースはあとを絶たず、ことしはこれまでに死者が2700人に達していて、去年を上回るペースで増え続けています。

欧州各国 足並みそろわず

中東やアフリカから多くの難民や移民が押し寄せている問題への対応を巡って、ヨーロッパ各国の足並みはそろっていません。
EU=ヨーロッパ連合のルールでは、難民や移民が最初に到着した国が登録や保護、滞在許可の審査など一切の責任を負うことになっています。
しかし、地中海沿岸のイタリアやギリシャ、それにオーストリアなど難民や移民が殺到している国々、さらに、ドイツやフランスなど経済的に豊かですでに多くの難民らを受け入れている国々は、負担が大きすぎるとして現在のルールを見直し、EU各国で受け入れを分担するよう強く求めています。しかし、ハンガリーやポーランドなどの東ヨーロッパ諸国やバルト3国は、経済的な負担が大きいなどとして受け入れの分担には否定的です。
また、EU域内の人の自由な移動を認めている「シェンゲン協定」についても見直して、国境での審査を強化すべきだという声が一部で上がっていますが、EUはヨーロッパ統合の理念を支える根幹の協定だとして、維持する姿勢を強調しています。

UNHCR「EUは共通の方策を」

中東などからの難民や移民がヨーロッパに流入している問題を受けて、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のグテーレス高等弁務官は4日、声明を発表し「今はEUにとって正念場で、この危機に全力で対応するしかない。問題を解決する唯一の方法は、EUとすべての加盟国が責任と団結、信頼に基づいた共通の方策を導入することだ」と述べました。
そのうえで、EUがシリアとエリトリア出身の難民4万人を受け入れる方針を示しているのに対して「およそ20万人にヨーロッパへの移住の機会を与える必要がある」と述べ、一層の難民の受け入れを求めました。
また「ヨーロッパが共通の対応をしないことで得をするのは、密航業者や人身売買業者だけだ。何千人もの難民が自分たちの子どもの命を危険にさらしてまで密航船に乗せるのは他に選択肢がないからだ」と指摘し、難民がヨーロッパに合法的に入ることを可能にする根本的な対策が必要だとしています。

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