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子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に健康被害を訴える女性が相次いでいる…
子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に健康被害を訴える女性が相次いでいる問題で、厚生労働省は救済策を広げる方針を固めた。予防接種法に基づく定期接種になった2013年4月以前の接種者にも、定期接種の場合と同じ水準で医療費を支給することを検討しているという。
多くの人を対象にする予防接種では、残念ながら一定割合で健康被害は出る。定期接種になると知って法施行前に受けた人もいるだろう。定期接種の前後で救済に差がある合理的な理由は乏しい。等しく救済されるようにすべきだ。
救済の対象者について、厚労省は審査で接種との因果関係が「否定できない」場合として広く救済する姿勢を示している。水俣病などの認定をめぐっては、因果関係を狭く捉えて救済の範囲を狭めてしまうことが過去にあった。ここは字義通りの運用を徹底してもらいたい。
問題となっている子宮頸がんワクチンは、HPVワクチンといって、性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がんの発症を防ぐことを狙いにしている。
厚労省は定期接種化で小6から高1までのすべての女子を対象に積極的に接種を勧めていたが、接種後に全身の激しい痛みやけいれんなどの症状が出たとの報告が相次ぎ、わずか2カ月で積極的勧奨を中止した。
厚労省の検討会は当初「針を刺す痛みやワクチン成分による腫れなどをきっかけに、恐怖や不安などが体の不調として現れ、慢性化した」と結論づけた。「心因性」との受け止めが広がった。
しかし、その後、神経免疫反応ではないかとの研究結果が国内外で発表され、日本医師会と日本医学会は先月「痛みなどについて説明するときは『心因』という表現は使わないようにする」との診療手引を作った。
これまでに集まった被害報告は約2600人分に達し、4分の1は重症という。厚労省内には早期に接種勧奨を再開したい考えもあるようだが、手元にある報告を予断なく精査し、健康被害の発生頻度や重症度を明らかにすることが先決である。
子宮頸がんは国内で毎年約1万人が新たに診断されている。医学界には「ワクチン接種を進めなければ減らない」との指摘もある。だが、ワクチンは将来子宮頸がんの一部を防ぐと期待されているに過ぎない。
日本の検診率は欧米に比べてずっと低い。検診率の向上こそが、いまの患者の早期発見と治療、救命に直結する。
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