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【大相撲】

元関脇若の里が引退

2015年9月4日 紙面から

記者会見で現役引退を表明し、涙を拭う若の里=両国国技館で(潟沼義樹撮影)

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 大相撲で歴代5位の通算出場1691回の記録を持つ元関脇若の里(39)=田子ノ浦=が3日、東京・両国国技館で記者会見し、現役引退を表明した。西十両11枚目だった7月の名古屋場所を4勝11敗で終え、幕下陥落は決定的だったが、8月の地元・青森での巡業に参加するため、引退を先延ばしにしていた。秋場所新番付で東幕下4枚目に降格していた。同日に年寄「西岩」を襲名し、今後は部屋付き親方として後進の指導にあたる。

 鉄人若の里はひと言ずつ、ハッキリと思いを並べていった。「名古屋場所の千秋楽で覚悟はできていました。好きでこの世界に入りましたんでとても楽しかった。本音を言えばまだまだやりたかったけど」

 穏やかな表情で会見した若の里。同期入門で師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が「自分の引退の時よりも少し悲しいような複雑な気持ち」と涙を拭うと、若の里もつられて目を潤ませた。

 勝っておごらず、負けて腐らず。計10度の手術を受けても言い訳は皆無。今も体の2カ所にボルト、1カ所に針金が残る。「けがするところがないぐらいけがをしましたんで。体はもうボロボロ。少し体を休めたいな」と満身創痍(そうい)の体を見つめた。

 親方衆や周囲の力士から一目置かれた名力士。思い出の一番に2つの取組を挙げた。一つは1998年秋場所10日目。中3の時に地元・青森の巡業で稽古をつけてもらい、角界入りを決断させてくれた横綱貴乃花(現親方)との初対戦だ。「その日だけは悔しさよりも対戦できたうれしさの方が勝っていた」。もうひとつは昨年九州場所10日目の十両輝戦。2年間、自身の付け人を務めていたとあって「今までと違った特別な感情がありました」と懐かしんだ。

 23年半の力士生活に悔いは「全くありません!」とキッパリ。「稽古場では厳しく」という先代師匠の鳴戸親方の教えを胸に、西岩親方として第二の人生が始まる。 (永井響太)

 ▽大関稀勢の里(10代のころに若の里の付け人を務めた)「1年半ぐらい付かせてもらった。どれだけスタミナがあるんだというぐらい稽古をしていた。そして、一回も怒られたことはなかった。勝っても負けても熱くならなかった」

 

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