60年代半ばから先鋭的な写真を発表し、映像評論でも知られた写真家・中平卓馬(なかひら・たくま)さんが1日、肺炎のため横浜市の病院で死去した。77歳だった。葬儀は親族のみで営む。後日、お別れ会を開く。

 雑誌「現代の眼」編集部を経て、65年からフリーとして活動。写真同人誌「プロヴォーク」(68~69年)に参加、評論家の多木浩二、写真家の森山大道らと、画像がぶれ、粒子が荒れたモノクロ写真を発表。既成概念を揺さぶる写真表現で衝撃をあたえた。

 77年に病を得て記憶などに障害が残るが、翌年再起。事物をそのままとらえるカラー写真で注目された。03年に横浜美術館で本格的な個展が開かれた。

 著書に写真集「来たるべき言葉のために」「新たなる凝視」、評論集「なぜ、植物図鑑か」などがある。