振り返れば電通 [不思議な国日本の不思議]
オリンピック・パラリンピック東京大会公式エンブレムが発表されてから批判の嵐が止まらない。

発想は悪くないけれど、ヴィジュアルとして成立するだろうか。
104点の応募作の中から葛西薫、原研哉、佐野研二郎の三案が残り、佐野案が採用。賞金は100万円。
この選考もオリンピックスタジアム同様、不可思議な形が採用され、応募資格にデザイン界の大きな賞を二つ以上受賞しているデザイナーに限定されている。この「大きなデザイン賞」を二つ以上受賞しているデザイナーというのは、ほぼ例外なく、広告代理店とつながっている。広告代理店とつながっていないと仕事が取れないから。
オリンピックスタジアムのデザイン案は、ゼネコンとつながりのない建築家案にすると公表した途端、辞退が相次いだ。大型建築を手がける建築家でゼネコンと関係のない人はいない。ゼネコンとつながらないと仕事が取れない世界だから。
佐野研二郎氏の会見でも、同席したのは組織委員会マーケティング局長の槙英俊氏。この人、電通から出向している人で、バリバリの現役電通マン。佐野氏は博報堂出身の多摩美術大学教授。
2011年11月、招致ロゴが発表され、このデザインを覚えている方も多いことでしょう。

このデザインは、当時、女子美術大学四年生だった島峰藍さんの作品。そう、電通の影響力が及ばない美大生の作品なのだ。
日本の国花である桜の花をモチーフにオリンピックカラーの赤・青・緑・黄と、江戸・東京の伝統色である紫(江戸むらさき)を配色したデザイン案。リースは「ふたたび戻る」を意味し、活気・震災復興と二度目の五輪開催の願いが込められている。論理的にも完璧なデザインコンセプトを示した。このデザインコンセプトにイチャモンをつけられる審査員はいない。デザインは論理的な組み立てが最重要な世界。哲学をヴィジュアルで示す世界。
オリンピック・パラリンピック組織委員会へ職員を派遣している東京都職員からも「サクラのデザインのほうがいいよね」と聞いた。私は何も言えないので何も言わなかったけれど、公式エンブレムを良いと評価する人は少数だろう。
では、何故、評価の高い招致ロゴを公式エンブレムに採用しないのかというと、公式エンブレムの選考を担当するのも電通だからです。この選考、組織委員会から電通で仕切ってくださいと言われれば、電通にお金が落ちる。招致ロゴを公式ロゴに昇格させるとお金が落ちない。それで招致ロゴと公式エンブレムを分けている。
ADCだ東京TDCだの受賞者じゃなきゃダメと注文をつけたのも電通。ADCや東京TDCのような大きなデザイン賞受賞者は必然的に電通とつながりを持つデザイナーが中心となる。
電通は「うちが選んだわけじゃない」と言うでしょう。ではADCや東京TDC受賞者の項目を外した選考が行えたはず。実際に招致ロゴデザインは「条件付応募」ではなかった。それゆえに、女子美生が一等に輝いた。
電通マンは世界でも有数の仕事ができる人間。これは事実。厳しい選考を潜り抜け、入社後も厳しい出世競争に勝てる人間。そのへんの一般リーマンとはレベルが違う。上場企業の社長職なら余裕でこなせる。そのくらい優秀な人しか残れないから。その一方で「官僚以上の官僚組織」でもある。東京電力と似た体質がある。
この大会は、東京都に組織委員会を設置し、国と民間からの出向者で構成する形がよかったとおもう。主導権は東京都が握る。お金と信用保証をするのが国。東京都と国ができないことを民間が担当する。
運営には広告代理店も必要だけれど、電通一本に絞ったブランディングは成功していない。いまのJリーグを見れば論より証拠です。
東京都には優秀な職員が多く、ブランディングやライセンス知識は疎いけれど、独自に進められる部分が多い。有識者会議と第三者委員会を設置し、東京都主導の組織委員会を構成できればこれほどモメなかっただろう。官僚出身で私大教授の参与を起用しても、元官僚にブランディングもマーケティングもライセンス契約もできない。官僚はどこまでも官僚、電通マンはいつまでも電通マンです。
発想は悪くないけれど、ヴィジュアルとして成立するだろうか。
104点の応募作の中から葛西薫、原研哉、佐野研二郎の三案が残り、佐野案が採用。賞金は100万円。
この選考もオリンピックスタジアム同様、不可思議な形が採用され、応募資格にデザイン界の大きな賞を二つ以上受賞しているデザイナーに限定されている。この「大きなデザイン賞」を二つ以上受賞しているデザイナーというのは、ほぼ例外なく、広告代理店とつながっている。広告代理店とつながっていないと仕事が取れないから。
オリンピックスタジアムのデザイン案は、ゼネコンとつながりのない建築家案にすると公表した途端、辞退が相次いだ。大型建築を手がける建築家でゼネコンと関係のない人はいない。ゼネコンとつながらないと仕事が取れない世界だから。
佐野研二郎氏の会見でも、同席したのは組織委員会マーケティング局長の槙英俊氏。この人、電通から出向している人で、バリバリの現役電通マン。佐野氏は博報堂出身の多摩美術大学教授。
2011年11月、招致ロゴが発表され、このデザインを覚えている方も多いことでしょう。
このデザインは、当時、女子美術大学四年生だった島峰藍さんの作品。そう、電通の影響力が及ばない美大生の作品なのだ。
日本の国花である桜の花をモチーフにオリンピックカラーの赤・青・緑・黄と、江戸・東京の伝統色である紫(江戸むらさき)を配色したデザイン案。リースは「ふたたび戻る」を意味し、活気・震災復興と二度目の五輪開催の願いが込められている。論理的にも完璧なデザインコンセプトを示した。このデザインコンセプトにイチャモンをつけられる審査員はいない。デザインは論理的な組み立てが最重要な世界。哲学をヴィジュアルで示す世界。
オリンピック・パラリンピック組織委員会へ職員を派遣している東京都職員からも「サクラのデザインのほうがいいよね」と聞いた。私は何も言えないので何も言わなかったけれど、公式エンブレムを良いと評価する人は少数だろう。
では、何故、評価の高い招致ロゴを公式エンブレムに採用しないのかというと、公式エンブレムの選考を担当するのも電通だからです。この選考、組織委員会から電通で仕切ってくださいと言われれば、電通にお金が落ちる。招致ロゴを公式ロゴに昇格させるとお金が落ちない。それで招致ロゴと公式エンブレムを分けている。
ADCだ東京TDCだの受賞者じゃなきゃダメと注文をつけたのも電通。ADCや東京TDCのような大きなデザイン賞受賞者は必然的に電通とつながりを持つデザイナーが中心となる。
電通は「うちが選んだわけじゃない」と言うでしょう。ではADCや東京TDC受賞者の項目を外した選考が行えたはず。実際に招致ロゴデザインは「条件付応募」ではなかった。それゆえに、女子美生が一等に輝いた。
電通マンは世界でも有数の仕事ができる人間。これは事実。厳しい選考を潜り抜け、入社後も厳しい出世競争に勝てる人間。そのへんの一般リーマンとはレベルが違う。上場企業の社長職なら余裕でこなせる。そのくらい優秀な人しか残れないから。その一方で「官僚以上の官僚組織」でもある。東京電力と似た体質がある。
この大会は、東京都に組織委員会を設置し、国と民間からの出向者で構成する形がよかったとおもう。主導権は東京都が握る。お金と信用保証をするのが国。東京都と国ができないことを民間が担当する。
運営には広告代理店も必要だけれど、電通一本に絞ったブランディングは成功していない。いまのJリーグを見れば論より証拠です。
東京都には優秀な職員が多く、ブランディングやライセンス知識は疎いけれど、独自に進められる部分が多い。有識者会議と第三者委員会を設置し、東京都主導の組織委員会を構成できればこれほどモメなかっただろう。官僚出身で私大教授の参与を起用しても、元官僚にブランディングもマーケティングもライセンス契約もできない。官僚はどこまでも官僚、電通マンはいつまでも電通マンです。
2015-08-06 00:00
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