サンパウロ=田村剛
2015年9月3日16時26分
広島で被爆し、白血病で亡くなった少女・佐々木禎子(さだこ)さんが闘病中に折った「サダコの鶴」が、ブラジルの被爆者団体に寄贈された。広島平和記念資料館が所持していたうちの1羽で、南米に贈られたのは初めて。「平和のシンボル」としてサンパウロ州議会のホールに展示される。
折り鶴はセロハンで折られ、縦横2センチほど。禎子さんは2歳で、原爆投下後に放射性物質とともに降った「黒い雨」を浴びて白血病を発病し、12歳で亡くなるまで鶴を折り続けた。鶴は米ニューヨークの同時多発テロの犠牲者追悼施設などに贈られ、世界ではブラジルが5カ所目。
橋渡しをしたのは、「ブラジル被爆者平和協会」の渡辺淳子さん(72)。禎子さんと同じ2歳の時、広島の黒い雨で被爆したことから、禎子さんに強い親近感を抱いてきた。2010年に米ニューヨークで禎子さんの兄・雅弘さん(74)と出会った際、その思いを知った雅弘さんが「ブラジルに贈りたい」と申し出た。
同国在住の被爆者は100人以上。1日の寄贈式で、日本から訪れた雅弘さんは「禎子が命をかけて折った鶴。生きたいと願い続けた心を感じ取ってほしい」。展示場所の州議会には1日約3千人が訪れる。渡辺さんは「この鶴がブラジルでも平和の大切さを考えるきっかけになればいい」と話した。(サンパウロ=田村剛)
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朝日新聞社会部
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