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福島第一原発 新汚染対策で地下水くみ上げ開始
9月3日 18時24分

福島第一原発 新汚染対策で地下水くみ上げ開始
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福島第一原子力発電所で、建屋の周辺などからくみ上げた地下水を浄化して海に放出する新たな汚染水対策について、東京電力は、3日から地下水をくみ上げる作業を始めました。海への放出は今月中旬にも行われる見通しです。
福島第一原発では、地下水が建屋に流れ込み毎日300トンの汚染水が新たに発生していることから、これを抑えるため、1号機から4号機までの周辺に掘られた「サブドレン」と呼ばれる井戸などから地下水をくみ上げ、浄化して海に放出する計画です。
東京電力は3日午前10時から、建屋より上流側の20か所で地下水をくみ上げる作業を始め、午後3時ごろまでにおよそ168トンを専用のタンクに保管しました。
くみ上げは、今後も断続的に行われ、タンクに一定量がたまったところで浄化設備で処理を行い、放射性物質の濃度が基準値を下回っていれば海に放出することにしています。
いつ放出するかは地元と協議中のためまだ決まっていませんが、今月中旬にも行われる見通しです。
東京電力は、今回の対策によって、建屋内で発生する汚染水の量を半分程度に減らせる見通しだとしていますが、地元は万が一トラブルが起きた場合の影響に懸念を示していて、国と東京電力は慎重に作業を進めることにしています。

漁業者からは不安や厳しい意見

東京電力福島第一原子力発電所で、新たな汚染水対策として、建屋の周辺などからの地下水のくみ上げが始まったことについて、福島県相馬市の漁業者からは、「消費者の理解が心配だ」とか、「信用できないが、責任を持って取り組んでほしい」といった不安の声や厳しい意見が聞かれました。
沖合で漁を行う底引き網漁船の51歳の漁師の男性は「だめだといっても今回の汚染水対策には従わざるをえない状況だ。漁師が前向きに協力しても一般の消費者が福島の魚を買ってくれるのかとても気になります。国と東京電力には散々裏切られてきたので信用できない部分があるが、一歩一歩復興や廃炉に向けて進まなければならない。ほかの仕事に就ける年でもないし、従うしかありません」と話していました。
同じく、底引き網漁船の22歳の漁師の男性は「流す水は本当にきれいなのか、流すことで悪影響はないのか、そして魚が売れなくなることはないのか、不安があります。振り出しに戻ったら何の意味もありません。やると決まったからもう止められないけど、トラブルだけはなくしてほしい。今の願いは、震災前の姿に戻ることです」と話していました。
また、沿岸部で漁を行う小型漁船の35歳の漁師の男性は「何を言って反対しても絶対に流すのでどうしようもありません。これまで何度もごまかされてきたので、国と東京電力を信用してはいませんが、やる以上は責任を持って取り組んでほしい」と話していました。
同じく小型漁船の23歳の漁師の男性は「ショックであり、不安な気持ちです。試験操業ではなく、本格操業にいつ切り替えられるのか。今回の対策実施で、また長引くのではないかと考えてしまいます。安全な福島の魚を消費者が買ってくれるように、国には説明するよう求めたいです。心が折れそうにはなりますが、自分たち漁師は頑張るので原発で働く人たちもなるべく早く収束できるように頑張ってほしい」と話していました。

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