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【橋下市長公開書簡】
全文和訳(3) クマラスワミ報告は実証性に乏しい著書に依拠
さらに、ジェノサイドであるナチスドイツのホロコーストと全く違った文脈で起こった「慰安婦」問題とを同列に扱おうとする動きもありますが、ホロコーストは一民族の抹殺であり、人類史上例を見ない犯罪です。「慰安婦」問題は女性の尊厳と人権を蹂躙する決して許されないものですが、戦時における兵士による女性の人権の蹂躙というある種の「普遍性」を持った問題と、民族の抹殺という人類史上極めて特異な人道的問題を同一視する論理は、理解し難いと言わざるを得ません。また1994年のルワンダ大虐殺の組織的レイプはルワンダ国際刑事裁判所でジェノサイドとされましたが、これはあるグループの殲滅を意図した組織的なレイプであり、日本軍によるいわゆる慰安を目的とした慰安婦制度とは目的も方法も違います。
このように、慰安婦問題に関しては、現在までのところ、国家が組織をあげて人さらいのような強制連行を行なっていたというような確たる証拠は何も出てきておらず、そうである以上、日本の立場としては、法的責任はやはり認められないという結論にならざるを得ません。
旧日本兵の慰安婦問題は「特異的である」「特筆すべき」などと表現されることがよくありますが、それは日本の謝罪や和解の取り組みを受け入れていない、また日本の取り組みをそもそも知らないということに止まらず、それどころか慰安婦問題がいつの間にか「確たるジェノサイド的な事実」として誤って国際社会に広まっているからではないでしょうか。