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【橋下市長公開書簡】
全文和訳(3) クマラスワミ報告は実証性に乏しい著書に依拠
もうひとつの例として、アメリカの大手教育出版社であるマグロウヒル社の高校の世界史教科書「伝統と交流」では、第2次世界大戦を扱った章の中で、「日本軍は14歳から20歳までの20万人もの女性を強制的に連行・徴用し軍用売春施設で働かせた」、「逃げようとしたり性病にかかったりした者は日本兵に殺された」、「戦争が終わる頃には、慰安所でやっていたことを隠すために多数の慰安婦を虐殺した」など多数の虚偽の記述があり、事実とは全く異なる誤った認識に基づく内容があたかも史実であるかのように教育現場に持ち込まれています。日本政府が重大な事実誤認があるとして訂正を求めていることに対し、アメリカ国内ではこれを言論・出版の自由や学問の自由に干渉するものだとする批判がありますが、決してそうではありません。間違った事実の指摘を批判することこそが言論・出版の自由や学問の自由への干渉なのです。
米国の学者らは2015年5月5日の声明で「旧日本軍による慰安婦制度はその規模の大きさと、軍隊による組織的な管理が行われたという点において、そして日本の植民地と占領地から貧しく弱い立場にいた若い女性を搾取したという点において、特筆すべきもの」だと結論づけていますが、規模の大きさや組織的関与の有無が問題なのではありません。規模や軍の関与に関わらず、世界各国の軍によって引き起こされてきた「普遍的」な女性の人権問題と考えなければならないのです。自国の例を直視せず、日本の例を特異なものとしてそこだけを問題視する考え方は、世界各国で貧しく弱い立場にあった女性が受けた苦痛から目を背けることにも繋がってしまうのです。