震災4年半:独居男性、身元判明 生活保護受給履歴たどり
毎日新聞 2015年09月03日 22時05分(最終更新 09月03日 22時23分)
宮城県警は3日、東日本大震災後の2011年5月に同県気仙沼市で見つかった遺体が、市内の無職男性(当時63歳)と判明したと発表した。1人暮らしで親族などから行方不明届が出ていなかったが、被災後に生活保護の受給が再開していない人を調べ、4年半たって初めて、この男性が震災の犠牲になっていたことが分かった。
遺体が発見された場所の周辺は大規模な火災が起き、遺体は焼けたがれきの中から発見された。県警は、身につけていた服や指輪を公開したり、昨年9月に似顔絵を作成してポスターに掲載したりしたが、情報提供はなかった。発見場所周辺の行方不明者も調べたが、いずれも特徴が一致しなかった。
そこで県警は今年1月から、震災後に生活保護の受給を再開していない人をリストアップ。この男性が浮上し、戸籍から親族を捜し出してDNA型を鑑定したところ、身元を確認できた。遺骨は2日、親族に引き渡された。
宮城県内ではまだ、16体の身元が分かっていない。県警捜査1課の金野(こんの)芳弘検視官は「今後も地道な捜査を続け、ご遺体を家族のもとに返したい」と話した。【本橋敦子】