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MUSIC

波多野裕文に質問攻め。いまこの時代を生きる表現者の姿勢を問う

インタビュー・テキスト:柴那典 撮影:永峰拓也(2015/09/02)

People In The Boxの波多野裕文と、自由、平和、戦争について、そして、いまの時代をどう生きるかという、とても大きなテーマでの対話をした。

9月2日に新作ミニアルバム『Talky Organs』をリリースした彼ら。「騒がしい臓器(機関)」という意味の言葉をタイトルに冠した本作は、3月にリリースされた会場限定シングル『Calm Society』(こちらは「穏やかな社会」という意味)と、対をなす1枚になっているのだという。

2つの作品を聴いてひしひしと感じるのは、強まりつつある社会の全体主義的な傾向へのアプローチだ。直接的な言葉で何らかのメッセージが放たれているわけではない。むしろその逆で、聴き手がどんな風にも受け止めることのできる表現が選ばれている。音楽として、とても純度の高いものになっている。しかし、だからこそ2015年のいま、これが放たれることの意味合いは強いと感じる。現在47都道府県ツアーで文字通り全国を回っている彼ら。どういう意志を持って音楽に取り組んでいるのかを話し合った。

PROFILE

People In The Box(ぴーぷる いん ざ ぼっくす)
2005年に結成した3ピースバンド。メンバーは、波多野裕文(Vo,Gt)、福井健太(Ba)、山口大吾(Dr)。 3ピースの限界にとらわれない、幅広く高い音楽性と、独特な歌の世界観で注目を集めている。2014年8月にシングル『聖者たち』(TVアニメ『東京喰種 トーキョーグール』エンディングテーマ)、アルバム『Wall, Window』の同時リリース以来の1年1か月振りとなる、ミニアルバム『Talky Organs』を2015年9月2日にリリース。
People In The Box Official Site

これははっきりと言っておかないといけないんですけど、僕がここで、曲を作った時に考えていたことを言う必要があるならば、作品はいらないと思ってるんですよ。

―現在People In The Boxは47都道府県ツアーを行っています。これはバンドにとっては初めてのことですが、なぜこれをやろうと考えたんでしょうか。

波多野:実のところは深い考えがあったわけではないんです。メンバーやスタッフと話していて、これまであまりにも音源を出しすぎているから、「2015年はライブの年にしよう」ということになって。

―しかし今回、ミニアルバム『Talky Organs』が発売されます。しかもそれは、3月にリリースされた会場限定シングル『Calm Society』と対をなす作品になっている。結果的に、年内にCDを2枚作っていますよね。

波多野:そうなんですよ。だから結果的には真っ赤な嘘になってしまった(笑)。


―まず最初に、ツアーをするにあたって会場限定シングルをリリースするというのは、明確な意志があったのでしょうか?

波多野:そうです。言ってしまうと、ツアーを回る理由がほしかったんですよね。それで、音源があればいいよねという話になって、6月から始まったツアーが11月まで続くから、「途中でもう1枚リリースがあってもいいし、さらにそれらが対をなす形になってるといいよね」って大ちゃん(ドラムの山口大吾)が言って。

―『Calm Society』を作る時には、その後に対となるものを出すイメージはあったんですか?

波多野:出すイメージがあったというより、先にそういう運営上の、どこでリリースをするというのが決まった感じです。僕はそういう器が決まってしまえば、中身は何でも作れてしまう。僕の考えていることや感じていることが、その時に出てくる音楽と勝手に一致して、そのまま形になる感じです。

波多野裕文
波多野裕文

―運営上の理由で2つのリリースが決まったというお話ではありますが、聴いている側としては、そこにすごく強い表現欲求を感じるんですけれども。いま思っているものを形にして表現しないといけないという強い意志があったのかなと思うんですが、どうでしょうか。

波多野:そうだなあ……(沈黙)。例えば僕らは、ドラムの山口くんがAメロのドラムパターンだけを持ってきて、それを僕がひとつの曲にしたりする。それって、小説でいうと第二章の情景だけを渡された感じで、僕はそこから物語の全体を作るんですよ。そしてそれは、その時に僕が感じていることや考えていることになるんです。そこに曲という器があれば、必ずそういうことになる。パッケージもそれと全く同じで、「3曲入り」という器が決まっていれば、あとはそこにどんな3曲を入れるかというだけの話で、柴さんが言うように「創作意欲が湧いているから作る」という話ではないんですよね。創作意欲は常にある。ない状態はないし、ネタ切れになることはない。だから、必ずしも年に2枚アルバムを出している人たちが創作意欲に湧き溢れているかといえばそうではないと思うし、その逆も然りだと思います。

―これまでのインタビューで波多野さんも言ってきている通り、基本的にPeople In The Boxの歌詞を読み解いたり、タイトルの意図を問うことは野暮なことだと思っているんですね。でもいまおっしゃったように、考えていたことがそのまま出ているということは、その考えていたこととは何なのかということを訊ければと思うんですが。

波多野:いや、これははっきりと言っておかないといけないんですけど、僕がここで、曲を作った時に考えていたことを言う必要があるならば、作品はいらないと思ってるんですよ。つまり僕が作品を完成と判断する基準は、「これ以上説明を加えなくていい」というラインに達したということなんです。そもそも大前提として、「その頃何を考えてましたか」って言われても、答えられなくないですか?(笑) 柴さんは「こういうテーマで、こういう目的で作りました」ということを訊きたいんだと思うんですけど。


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