ロシア:サハリンで軍事パレード 対日戦勝記念日

毎日新聞 2015年09月02日 21時16分(最終更新 09月02日 23時06分)

第二次世界大戦での日本の降伏から70周年を記念し、終戦まで日本領だったユジノサハリンスク(日本名・豊原)中心部をパレードするロシア軍兵士。左奥の看板には「南サハリンとクリル諸島の解放を祝して」とある=ロシア極東サハリン州で2015年9月2日、真野森作撮影
第二次世界大戦での日本の降伏から70周年を記念し、終戦まで日本領だったユジノサハリンスク(日本名・豊原)中心部をパレードするロシア軍兵士。左奥の看板には「南サハリンとクリル諸島の解放を祝して」とある=ロシア極東サハリン州で2015年9月2日、真野森作撮影

 【ユジノサハリンスク真野森作】ロシアで事実上の対日戦勝記念日となっている2日、ロシア極東サハリン州のユジノサハリンスクと東シベリア・ザバイカル地方のチタで、初めて大規模な軍事パレードが実施された。米欧などとの対立を背景に、陸海空軍全てが参加して軍事力を誇示した。中国の抗日戦争勝利70周年記念式典出席のため移動中のプーチン大統領もチタに寄り、戦没犠牲者の記念碑に献花した。

 日露戦争後から終戦まで日本領だった北緯50度以南のサハリン南部(日本名・南樺太)にあるユジノサハリンスク。2日のパレードは、かつて樺太神社の鳥居前広場だった「栄光広場」を中心に繰り広げられた。軍人約700人が行進し、戦車が目抜き通りを走った。

 コジェミャコ・サハリン州知事代行はあいさつで「我々の先人により、多大な犠牲を伴ってサハリン南部とクリル諸島(北方領土を含む千島列島)が解放された」と語り、北方領土の返還を求める日本をけん制した。

 サハリンには日本統治時代に朝鮮半島から労働者として渡り、終戦後も帰国できなかった朝鮮人とその子孫が約2万5000人いる。戦後生まれのタクシー運転手、アレクサンドル・テンさん(66)は「平和に暮らせるのが一番だ」と語った。

 北海道の北隣に位置するサハリンでは日本車が非常に多く、日本との経済交流も活発。一般的に対日感情は良好で「飛行機が見たくてパレードに来た」と語る若者もいた。

 2010年、当時のメドベージェフ政権は、日本政府が降伏文書に正式調印した1945年9月2日に合わせ、この日を「第二次大戦終結の日」に制定。70年前、ソ連最高指導者スターリンは「日露戦争敗北の雪辱を果たした」と演説し、日本が平和裏に領有していた千島列島の奪取を強引に正当化した。

 サハリンの地元メディアによると、北方領土の国後島では、70年前の9月1日にソ連軍が上陸した場所で集会が開かれ、ロシア軍関係者も参加した。また、千島列島最北端の占守(シュムシュ)島での攻防戦を再現する劇も上演された。

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