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人生でまさか大仏を造る日が来るとは
相次ぐ自然災害や凶悪事件、政治の不安などを理由に、このところTwitter上では大仏建立の声が高まっている、と聞いた。
その理由や規模などを調べたとき、もしかして大仏は現代でいうとダムなんじゃないか、と思ったのだ。 ダムは現代の大仏である大仏建立という声を聞いて、奈良の大仏のことをちょっと調べたところ、おや、と思った。
たとえば奈良の大仏は、当時疫病や農作物の不作、大地震などの自然災害が相次ぎ、また国内の情勢不安にも悩まされていた聖武天皇が建設を命じたらしい。 大仏もいいけど、ダムを造れば下流に水を安定して供給することができるから、不衛生な水を使って広まる病気を防ぐことができるし、農作物も安定して収穫することができるようになる。地震からの復興にだって水は必要だろうし、少なくとも水不足が原因で農民が困窮することは減るから情勢も多少は安定するだろう。 ダムができれば生活環境は向上するはず
また、奈良の大仏は743年に聖武天皇による詔(みことのり:天皇の命令文書)が出され、745年に工事が開始。そして752年に完成している。計画が始まってから完成まで9年間だ。
ダムでも、たとえば京都府の淀川(宇治川)に造られた天ヶ瀬ダムは1953年に襲来した台風の被害を契機に計画され、1955年に事業が始まって1964年に完成した。つまりこちらも9年間。 ダムの写真は数万枚あるけど大仏の写真を1枚も持ってない
そして、奈良の大仏は9年間でのべ260万人が工事に関わったとされている。
まさか、と思いながら調べてみると、なんと岡山県にある湯原ダムも、のべ260万人が工事に関わったというのだ! ちなみに工事期間は3年なので人数は1日あたり3倍
もうひとつ、奈良の大仏は高さが14.98m。日本の河川法では高さが15m以上のものをダムとしているので、ギリギリ足りないかと思いきや、大仏が座っている蓮華座の高さが約3mある。大仏と蓮華座をセットで考えればおよそ18mで、余裕で河川法上のダム要件をクリアーである。
そして高さ18mは鳥取県の百谷ダムと同じ。つまりもし大仏が川の中に建っていればダムでもおかしくないのだ!!(おかしいよ) ほぼ奈良の大仏と同じ高さのダム
さらに、奈良の大仏は現在の価値に換算するとおよそ4600億円以上もの費用がかかった国家的プロジェクトだったという。
さすがのダムでもそこまでのお金は...、と思ったけど、現在群馬県に建設が進められている八ッ場ダムの総事業費が4600億円だという!(八ッ場ダムは先日記事にしているので読んでください→こちら) 確かに、八ッ場ダムも政権が2回も変わる要因のひとつとなったほどの国家的プロジェクトだ。 ここに造られる本体はおよそ600億円と言われているので国立競技場より安い!
どうだろう。
役割をほぼフォローしているうえ、工期、寸法、人員、予算も範囲内。ここまで書けば十分に理解していただけたのではないだろうか。つまり大仏は現代のダムだということを。 むしろダムは、大仏の背景にある信仰や祈りといった未知数な要素ではなく、流入量と放流量というきっちりとした数字で結果にコミットする。つまり本気で災害や情勢不安を払拭するには、同じ労力をかけるなら大仏よりダムを造るべき、というわけだ。 ここまでで、この記事で言いたかったことはほぼ書ききった。まだ続くけど、以下は蛇足である。 大仏はダムになるのかそれならば、と思った。ダムが現代の大仏だというなら、大仏はダムになるのだろうか。
そこで、大仏をダムにしてみることにしたのだ。 というわけで大仏を造ることになった
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