ゴールドマン:中国の米国債売り、利回りへの影響は大したことはない
2015/09/03 04:05 JST
(ブルームバーグ):中国が米国債を大量に売ることで利回りが上昇するとの心配は、少なくとも今のところは無用だと、ゴールドマン・サックス・グループは分析している。
中国人民銀行(中央銀行)は突如8月に人民元を切り下げて以降、為替レートを維持するためにドル資産を売り、人民元を買っている。最新のデータは7日まで公表されないが、3兆7000億ドル(約444兆円)の準備資産のうち、8月11日以降で米国債を含む少なくとも1000億ドルが手放されたとソシエテ・ジェネラルは推計する。
しかし中国による売却の影響はあまり直接的なものにならないと、ゴールドマンのマクロ・市場調査共同責任者のフランチェスコ・ガルザレリ氏(ロンドン在勤)は2日付のリポートで指摘した。債券利回りの方向は通常、マネーの流れよりも世界経済の見通しの方に左右されることが多いと同氏は分析。世界2位の経済国の成長が減速し、世界的に金融市場が動揺している現在、中国による米国債売りの影響は、債券への資金流入によって部分的に相殺されるという。
「資金フローを狭義的に追うアプローチは勧めない」と同氏はリポートに記述。「マクロ的な見通しの変化が最終的には強く影響するものだ」と続けた。
ただ長期的にみれば、米国債を合計11兆4000億ドル相当保有する中国など中央銀行で準備が減少すれば、いずれ民間の投資資金が債券からリスク資産へとシフトすることになるため、ドル建て債券にはマイナスに作用すると、ガルザレリ氏は解説した。
米国債の保有額トップの中国は、6月の時点で1兆2700億ドル相当を持っていた。国際通貨基金(IMF)がまとめる国際準備資産のデータに基づけば、中国の準備資産の約3分の2をドルが占めている。
ゴールドマンは米10年債利回りが今年を2.5%で終えると予想。マクロ経済ファンダメンタルズに基づく同社の適正価値モデルが示唆する3%を下回る。
原題:Goldman Says China Burning Reserves No Big Deal for Treasuries(抜粋)
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更新日時: 2015/09/03 04:05 JST