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クロマグロ資源管理 緊急制限ルール作成へ9月3日 14時06分
乱獲による減少が続く太平洋クロマグロの資源管理について話し合う国際会議で、資源が枯渇するおそれがある場合には禁漁も含めた厳しい漁獲制限を緊急に行うルールを来年までにまとめることで各国が合意しました。マグロの資源管理が一段と強化される道筋がつくことになります。
太平洋クロマグロの資源管理について話し合う「中西部太平洋まぐろ類委員会」の小委員会は、3日まで4日間の日程で札幌市で開かれ、参加国の間で今後の漁獲制限の在り方について議論が交わされました。
会議では、成長して大人になった成魚の資源量を2024年までに現在の倍近い4万3000トンに増やす目標を打ち出し、ことしから重さ30キロ未満の幼魚の漁獲量を厳しく制限しています。ことしの会議では、アメリカがさらに厳しい措置を求めて2030年までにおよそ12万トンに成魚の資源量を増やすべきだと提案しましたが、日本が現実的な目標ではないと反対し、提案は取り下げられました。
一方、日本は、幼魚が著しく減って資源が枯渇するおそれがある場合には禁漁も含めた厳しい漁獲制限を緊急に行うルールを来年までにまとめることを提案し、各国が合意しました。
会議では、今後、具体的な制限の内容や適用条件について議論していくことになり、マグロの資源管理が一段と強化される道筋がつくことになります。
会見した水産庁の遠藤久審議官は「新たに漁獲制限のルールを作成することが決まり、クロマグロの資源管理について進展がみられた」と評価しました。
会議では、成長して大人になった成魚の資源量を2024年までに現在の倍近い4万3000トンに増やす目標を打ち出し、ことしから重さ30キロ未満の幼魚の漁獲量を厳しく制限しています。ことしの会議では、アメリカがさらに厳しい措置を求めて2030年までにおよそ12万トンに成魚の資源量を増やすべきだと提案しましたが、日本が現実的な目標ではないと反対し、提案は取り下げられました。
一方、日本は、幼魚が著しく減って資源が枯渇するおそれがある場合には禁漁も含めた厳しい漁獲制限を緊急に行うルールを来年までにまとめることを提案し、各国が合意しました。
会議では、今後、具体的な制限の内容や適用条件について議論していくことになり、マグロの資源管理が一段と強化される道筋がつくことになります。
会見した水産庁の遠藤久審議官は「新たに漁獲制限のルールを作成することが決まり、クロマグロの資源管理について進展がみられた」と評価しました。
マグロ漁の種類
マグロを漁獲するにはさまざまな方法があります。
水産総合研究センター・国際水産資源研究所の推計によりますと、去年1年間に日本が漁獲した太平洋クロマグロは成魚と幼魚合わせておよそ9600トンでした。
このうち、全体の半数を超える5400トンを漁獲したのが「巻き網漁」です。「巻き網漁」は、主に沖合漁業で行われる漁の方法で、動き回るマグロの群れを見つけて大型の網を円形に広げ、包み込むように取るのが特徴です。大量のマグロを一度に効率よく漁獲できる方法ですが、マグロの幼魚や、取る必要がないほかの魚を取ってしまい、乱獲につながるという指摘もあります。
次いで多いのが「定置網漁」で、漁獲量は全体の19%に当たる1900トン。「定置網漁」はマグロの通り道となる場所に網を仕掛けて1度入ったら出られない仕組みになっている部分に誘導して漁獲する方法です。北海道や青森県など北日本で盛んに行われている漁法です。
小型の漁船で釣り糸を船で引きながら漁をする「ひき縄漁」はおよそ1000トン。
また、「はえ縄漁」による漁獲はおよそ700トン。はえ縄漁は、沿岸漁業から遠洋漁業まで広く活用されています。長さ数十メートルから長いもので150キロに及ぶ縄に何本もの釣り針をつけて、マグロの群れを追いかけながら行う漁の方法です。多くの餌や漁船の燃料代がかさみますが、釣り針の大きさを調整することで、狙った大きさのマグロを漁獲することができるということです。
釣りざおで釣り上げる「一本釣り漁」は5トン。マグロの群れを見つけてマグロを一本ずつ取るため、マグロに傷をつけにくい漁獲方法です。青森県の大間ではこの方法で漁獲され、正月などにマグロ一本が市場で高値で取り引きされています。
水産総合研究センター・国際水産資源研究所の推計によりますと、去年1年間に日本が漁獲した太平洋クロマグロは成魚と幼魚合わせておよそ9600トンでした。
このうち、全体の半数を超える5400トンを漁獲したのが「巻き網漁」です。「巻き網漁」は、主に沖合漁業で行われる漁の方法で、動き回るマグロの群れを見つけて大型の網を円形に広げ、包み込むように取るのが特徴です。大量のマグロを一度に効率よく漁獲できる方法ですが、マグロの幼魚や、取る必要がないほかの魚を取ってしまい、乱獲につながるという指摘もあります。
次いで多いのが「定置網漁」で、漁獲量は全体の19%に当たる1900トン。「定置網漁」はマグロの通り道となる場所に網を仕掛けて1度入ったら出られない仕組みになっている部分に誘導して漁獲する方法です。北海道や青森県など北日本で盛んに行われている漁法です。
小型の漁船で釣り糸を船で引きながら漁をする「ひき縄漁」はおよそ1000トン。
また、「はえ縄漁」による漁獲はおよそ700トン。はえ縄漁は、沿岸漁業から遠洋漁業まで広く活用されています。長さ数十メートルから長いもので150キロに及ぶ縄に何本もの釣り針をつけて、マグロの群れを追いかけながら行う漁の方法です。多くの餌や漁船の燃料代がかさみますが、釣り針の大きさを調整することで、狙った大きさのマグロを漁獲することができるということです。
釣りざおで釣り上げる「一本釣り漁」は5トン。マグロの群れを見つけてマグロを一本ずつ取るため、マグロに傷をつけにくい漁獲方法です。青森県の大間ではこの方法で漁獲され、正月などにマグロ一本が市場で高値で取り引きされています。
マグロ国際資源管理の枠組み
マグロは回遊魚で世界じゅうの海を泳ぎ回るため、各国が連携して資源管理に取り組んでいます。
現在、5つの国際管理機関があり、大西洋や中西部太平洋、インド洋など、海域とマグロの生息域によって区分けされて管理が行われており、日本は5つの機関すべてに加盟しています。
クロマグロは日本が世界の漁獲量の3分の1を占めており、中西部太平洋と東部太平洋、それに大西洋の3つの海域を管理する枠組みで資源管理が行われています。3日まで札幌で開かれた国際会議は中西部太平洋マグロ類委員会の小委員会です。3つの海域のうち、資源の減少が進む太平洋では、ことしから漁獲制限が強化されていて、中西部太平洋ではことしから重さ30キロ未満の幼魚の漁獲量がこれまでの半分に削減されたほか、東部太平洋でもことしから2年間は年間の漁獲量を去年に比べて40%削減しています。一方、大西洋では、厳しい漁獲制限を行った結果、資源が回復したとして、ことしから3年間、漁獲枠が毎年、およそ20%ずつ増やされています。
クロマグロは、日本では高級食材として人気ですが、去年、国際自然保護連合から絶滅危惧種に指定されるなど、海外では野生生物として保護を求める声が強まっています。日本としては、国内の漁業者と消費者がクロマグロを将来にわたって持続的に利用できるよう、それぞれの枠組みで規制を強化していく積極的な姿勢をアピールしながら資源管理の議論を主導したい考えです。
現在、5つの国際管理機関があり、大西洋や中西部太平洋、インド洋など、海域とマグロの生息域によって区分けされて管理が行われており、日本は5つの機関すべてに加盟しています。
クロマグロは日本が世界の漁獲量の3分の1を占めており、中西部太平洋と東部太平洋、それに大西洋の3つの海域を管理する枠組みで資源管理が行われています。3日まで札幌で開かれた国際会議は中西部太平洋マグロ類委員会の小委員会です。3つの海域のうち、資源の減少が進む太平洋では、ことしから漁獲制限が強化されていて、中西部太平洋ではことしから重さ30キロ未満の幼魚の漁獲量がこれまでの半分に削減されたほか、東部太平洋でもことしから2年間は年間の漁獲量を去年に比べて40%削減しています。一方、大西洋では、厳しい漁獲制限を行った結果、資源が回復したとして、ことしから3年間、漁獲枠が毎年、およそ20%ずつ増やされています。
クロマグロは、日本では高級食材として人気ですが、去年、国際自然保護連合から絶滅危惧種に指定されるなど、海外では野生生物として保護を求める声が強まっています。日本としては、国内の漁業者と消費者がクロマグロを将来にわたって持続的に利用できるよう、それぞれの枠組みで規制を強化していく積極的な姿勢をアピールしながら資源管理の議論を主導したい考えです。