2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムが白紙撤回された問題で、大会組織委員会がエンブレムの再公募にあたり、応募要件の緩和に向けた検討を始めた。過去の受賞歴などの応募資格を見直し、国内外のデザイナーから「国民に愛されるデザイン」を広く募る方針だが、インターネットでの“疑惑追及”に対するデザイナーの懸念は強く、新エンブレム選定には曲折も予想される。
「毎日、誹謗(ひぼう)中傷のメールが送られ、家族や無関係の親族の写真もネット上にさらされる」「もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況だと思う」。エンブレムを撤回したデザイナー、佐野研二郎氏は自らのデザイン事務所のホームページ(HP)で、取り下げに至った経緯を説明した。
エンブレムをめぐっては、ベルギーの劇場ロゴに「似ている」との指摘をきっかけに、匿名のネットユーザーが佐野氏の過去の作品について、盗用・転用疑惑を次々に提起。トートバッグのデザインの模倣や、写真の無断転用などを暴き出し、白紙撤回が報じられると、「大勝利」「当然だ」と喜んだ。佐野氏がHPに掲出したコメントについても、「自業自得だろ」「デザイナーとしてはもう終わりだな」などと辛辣(しんらつ)な言葉が並んだ。
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