一方で“ファシズムに対する勝利”を宣伝

 こうした現状を証言したフー氏は、中国の山東省生まれの中国人である。大学生時代の1980年代にキリスト教に入信した。民主化運動にも関わり、天安門事件にも参加した。90年代には中国国内でキリスト教の布教に従事して弾圧され、亡命の形で米国に渡る。そして2002年に「中国支援協会」というキリスト教支援組織を創設し、中国にいる信者たちと密接に連携しながら活動してきた。現在は米国籍である。

 フー氏は、公聴会に並んだ上下両院議員や政府代表に対して、中国政府に人権弾圧をやめさせることを対中政策の中心とするよう迫った。さらに、9月に予定される習主席の米国公式訪問も、中国の人権政策の修正を前提条件につけることを求めた。

 中国当局は9月3日に「抗日戦争勝利」を祝い、“ファシズムに対する勝利”を大々的に宣伝するという。だが、ファシズム政権でもこれほどひどくはなかった宗教や信仰の抑圧を現在の中国共産党政権が実行している事実は、改めて銘記されるべきであろう。