「中国に関する議会・政府委員会」の共同議長を務める共和党のマルコ・ルビオ上院議員も、公聴会の冒頭で「今、習近平政権は文化大革命以来の最も苛酷な弾圧を実行している」と強調した。

 ルビオ議員は上院外交委員会の有力メンバーで、来年の大統領選に向けて立候補した注目度の高い政治家である。特に尖閣問題については、ルビオ議員は一貫して「尖閣諸島は日本に帰属し、中国の行動は侵略に等しい」と述べている。

当局公認の教会も十字架を破壊

 フー会長はさらに証言を続けた。

「中国当局は『家庭教会』と呼ばれる非公認のキリスト教会を邪教と断じ、信者の多い浙江省内だけでもここ1年半に50の教会を破壊し、信者1300人を逮捕しました。当局は、特に信仰のシンボルとなる十字架の破壊を頻繁に行っています」

 フー会長の証言によると、中国政府は共産党の無神論に基づく宗教弾圧だけでなく、キリスト教の外国との絆を敵視して抑圧を強化し始めたという。

 中国には、当局が公認するキリスト教組織として「三自愛国教会」や「天主教愛国会」がある。その信徒は2000万人強とされる。それ以外に5000万~1億人ほどが当局の禁じる家庭教会(地下教会)の信者だと見られている。沿岸部の浙江省には特に信者が多い。

 最近は家庭協会だけではなく、当局公認の教会も十字架が破壊されるようになり、キリスト教信者の心配が高まっている。教会は、尖塔の上に十字架を掲げることが禁止され、建物前面の最上部ではない壁に十字架を埋め込むことを命じられるようになった。それに反対する牧師や信徒は即座に拘束されるという。