日本人が恐れる首都直下地震、その「最悪のシナリオ」とは

日本政府、9月1日「防災の日」に大規模訓練実施

 1日午前9時、東京・環状7号線の交差点22カ所の信号が一斉に赤になった。路上では警察官が都心部への一般車両の進入を規制した。これに先立ち、首相官邸では全閣僚が続々と徒歩で集まり、安倍晋三首相の主宰で東京都庁とのテレビ会議が開かれた。NHKは、地震により都内の道路が損壊し、ビルが崩れ落ちるシミュレーション映像を報じた。東京都多摩東部を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、都心部に進入する道路が通行できなくなったとの想定で行われた、大規模な防災訓練だった。

 この日は「防災の日」であると同時に、92年前に関東大震災が発生した日でもあった。首都での直下型大地震を想定した政府訓練をはじめ、日本各地で防災訓練が実施された。自衛隊員・消防士・警察官、地下鉄・鉄道関係者、さらには学生や主婦、会社員など全国で167万2000人が参加した。直下型大地震とは何だろうか。

 日本人が心配する地震には、海側で起こる海溝型地震と陸部直下の活断層により発生する直下型地震がある。海溝型地震は、東京に近い駿河湾の海底でマグニチュード8程度の大地震が起きるという東海地震説が代表的だ。

 一方、直下型地震で特に懸念されているのは首都圏で起きると予測されているものだ。海底の深い場所で地震が起きると地面が水平に揺れるが、内陸の地殻の浅いところで地震が発生すると地面が垂直に揺れる。これが直下型地震だ。

 直下型地震は海溝型地震よりも範囲が狭く、規模が小さいものの、被害ははるかに大きくなる可能性がある。ガラスのコップを置いたお盆を横に揺らしたときと下に落としたとき、どちらの破損が大きいかを考えれば分かりやすい。日本政府の地震調査委員会は、今後30年以内に関東周辺で直下型地震が起きる確率を70%と予測している。

 日本は今回の訓練で、全てにおいて「最悪のシナリオ」を想定した。政府訓練の基本のシナリオは、東京の人口の3分の1が暮らす西側の多摩地域で午前7時すぎ、マグニチュード7.3の直下型地震が起きたというもので、これにより千葉、埼玉、神奈川の3県でも震度6の地震が起きると想定した。

 首都直下地震で被害が最も大きいとされるのは風が強い冬の夕方に発生した場合で、揺れや火災などで建物約61万棟が全壊・全焼すると予測されている。死者2万3000人、負傷者12万3000人、救助が必要な人は5万8000人という想定の下、こうした人々をどう救出するか、官民が丸一日かけて行動を点検した。大企業のオフィスやブランド品ショップが入る六本木ヒルズ森タワーでは、ビルの職員が黄色い防災服を着てけが人を担架で運び出す訓練を行った。

 日本がこれほどまで大規模な防災訓練を行うのは、2011年3月に東日本巨大地震を経験しているためだ。これほどの規模の大地震が起きると、その後も長い間、余震が起こりやすい状態が続く。インドネシアのスマトラ島でも、04年にマグニチュード9.1の大地震が起きた7年後にマグニチュード8.6の地震が再び発生した。日本政府は防災訓練のほかにも、木造住宅の密集地域の解消、設定値以上の震度の地震発生時に電気の供給を自動的に遮断する感震ブレーカーの普及などを進めている。

金秀恵(キム・スヘ)社会政策部記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース